著 者:エリザベス・コストヴァ 訳:高橋素子
出版社:日本放送出版協会
出版日:2006年2月25日第1刷 3月20日第3刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
ドラキュラの消息を追うミステリー。怪奇小説のドラキュラ伯爵のモデルとされる、15世紀の封建領主、ワラキア公ウラド・ツェペシュが、「死なざる者」となって現代に至っているという設定。歴史家(ヒストリアン)たちが、その存在を追い詰めていく終盤のヤマ場は、なかなかのものだった。
本書は、主として3つの時制が並行して進む。ドラキュラを研究していて失踪した教授の体験(1930年代)、その教え子が失踪した教授を、教授の娘とともに捜す物語(1950年代)、教え子も妻を捜すために姿をくらましてしまい、娘が父親の消息を追いかける話(1970年代)の3つ。そして、最後の父親を捜している娘が本書の著者、ということになっている。
さらに、冒頭の「読者へ」を見ると、日付が2008年!なんと未来だ。つまり自分の経験を30年経ってから書いた、ということらしい。おやっ、と思わせる小技だけれども、本書にとってはあまり意味を持たない。(意味があったとしても、少なくとも私にはまだわからない)
上下巻で1,000ページにはなろうという大作で、一気には読めない。出てくる場面数も多く、ストーリーも長い。時制が絡み合って一見複雑なようだが、慣れれば決して分かりにくくはない。しかし、3つの時代で、それぞれの人間が体験する物語が進展するので、3倍読まないと先へ進まないことになる。必然的に話の進展が遅く感じられて、退屈にもなってしまうかもしれない。それでも、結末を目指して読み進めましょう。
途中に細かな伏線が少しずつ挿入されている。その多くは、最後になって説明される。読み終わって余力があれば、読み返して伏線を探し出すのも良いかも。
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