61.鈴木博毅

「超」入門 空気の研究

著 者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2018年12月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さんから献本いただきました。感謝。

 帯でもPRしているけれど、著者には「「超」入門 失敗の本質」という著書がある。旧日本軍の組織的問題を分析した「名著」と言われる「失敗の本質」を、今日的な事例も使って分かりやすく説明した本。これが一部では(私の周辺では)「元の本よりいいのではないか」と評価が高い。

 本書は先の著書に続いての「「超」入門」で、これも「名著」の「空気の研究 」を元にしたもの。紹介も先の著書に倣うと、「空気の研究」を今日的な事例も使って分かりやすく説明した本、となる。

 ここでいう「空気」とは「空気を読め」の「空気」。それに反する言動をとると叩かれる「同調圧力」があり、それは絶対的支配力を持つ。そして「空気」は、場合によっては破滅を招く。「空気の研究」で、旧海軍の中将の言葉が紹介している。「全般の空気よりして、当時も今日も(戦艦大和の)特攻出撃は当然と思う

 著者はこの「空気」を「ある種の前提」という言葉に置き換えることで、「空気」の正体を明らかにすることを試みる。その過程で、日本的ムラ社会を動かす「情況倫理」、日本人を思考停止に追いやる要因、などを解き明かしていく。実に説得力がある。今の日本を覆う「空気」に疑問を感じているなら、一読をおススメする。

 「今の日本を覆う~」と書いたけれど、本書は「現在の日本への警鐘」だ。著者は明示的には書いていないけれど、私は文章の一つ一つにそう感じた。「はじめに」に紹介された「空気の研究」の一文が象徴している。「もし日本が、再び破滅へと突入していくなら、それを突入させていくものは戦艦大和の場合の如く「空気」であり(後略)」

 もう一文、著者の言葉を紹介する。「このような国で、言葉と行動がまったく違っても、恬として恥じないウソつきがいれば、社会に大混乱を引き起こし、国家を未曽有の破滅に誘導できてしまうのです

 これは「オキナワノミナサンノココロニヨリソイ」と言ったあの人のことなのではないか?もちろん著者はそんなことは一言も言っていないけれど...。 

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1時間で歴史とビジネス戦略から学ぶ いい失敗 悪い失敗

著 者:鈴木博毅
出版社かんき出版
出版日:2018年1月22日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書はタイトルを見て分かるとおり「失敗」をテーマとしたもの。基本的には「失敗」はネガティブな出来事で、できれば避けたいものだ。そこに「いい失敗」という、本来は「失敗」とは相容れない、ポジティブな言葉をキーワードとして設定することで、考察の新しい視点を提供している。

 その「いい失敗」を設定するにあたって、著者は一つの考え方を導入する。それは「ミス≠失敗」という考え方。「ミス」を犯したとしても、それが悲劇的な結果につながらなければ「失敗」ではない。「ミス」と「失敗」の間には、意味的にも時間的にもギャップがある。

 つまり「ミス」も、悲劇的な結果につながらなければ「失敗」ではない。それどころか、後の扱い次第で成長や成功につながることもある。その場合は「失敗」であっても「いい失敗」だ。「あれ?悲劇的な結果につながらなくても「失敗」なの?」と、定義に混乱はあるけれど、言いたいことは分かる。要は「後の扱い次第」ということだ。

 本書は全編を使って、この「後の扱い」に注目してたくさんの例を挙げて「いい失敗」と「悪い失敗」を区分けする。例えば「いい失敗:成長に転換できる/悪い失敗:甚大な被害になる」「いい失敗:客観的に見ている/悪い失敗:感情にとらわれてしまう」「いい失敗:失敗をプロセスと考える/悪い失敗:失敗を終点と考える」...

 私たちは「早く忘れてしまいたい」と思うあまり、失敗を見つめることをしない。でも、何かに挑戦すれば失敗は避けられない。失敗を避けて何にも挑戦しなければ、そのこと自体が失敗だ。このように「失敗」が不可避なものなら、そのことを見つめてよく知ろう。分析することで成功に転じる方法が分かる。この本はそう言っている。私にも異論はない。

 最後に。「失敗の分析」と言えば、先に「失敗の本質」という名著がある。本書での言及は少ないけれど、著者はその解説本である「「超」入門失敗の本質」を記している。これがとても分かりやすい本で、著者はここからも本書のヒントを得たに違いない。 

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「超」入門 失敗の本質

著 者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2012年4月5日 第1刷 2012年7月1日 電子版 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 名著と言われる「失敗の本質」を解説した本。「失敗の本質」を、戦略論であり「日本人特有の文化論」でもあると捉えて、そこから抽出した「エッセンス(日本語に訳すと「本質」。つまり「失敗の本質」の本質)」を、今日的な事例も使って分かりやすく説明してある。

 抽出されたエッセンスは全部で23個。それを「戦略性」「思考法」「イノベーション」「型の伝承」「組織運営」「リーダーシップ」「日本的メンタリティ」の7つに分類して、それぞれに一章を割り当てて「失敗しないための処方箋」を描く。

 例えば第一章のタイトルは「なぜ「戦略」が曖昧なのか?」。著者は、「失敗の本質」を読んで最初に感じる点として、「日本軍の戦略があまりに曖昧だった」と言う。そして「目標達成につながらない「勝利」が多い」ことを指摘する。個々の戦闘、戦術では秀でた点もあって、勝利することも多いのだけれど、それが「戦争の勝利」につながらない。

 その原因は、グランドデザインがないこと、そのために目指すべき「指標」が間違っていること、とする。日本軍で言えば「戦争の勝利」をどのように描いていたのか不明だ。「どこかの戦場で大勝利すれば勝敗が決まる」という「決戦戦争」思想があったようだけれど、勇ましいだけで曖昧さは免れない。

 これを著者は現代的な事例に当てはめて見せる。例えば、インテルはマイクロプロセッサの事業展開にあたって「活用しやすさ」を指標と定め、マザーボードを開発した。日本企業を含む他の企業は「処理速度」を指標にして高速化を競った。市場シェアを見ると、どちらの指標が事業の成功につながったかは明らかだ。

 このような感じでとてもよく分かりやすい。「失敗の本質」を読んで、ここまで読み取れる人はそうはいないだろう。むしろ「失敗の本質」にはここまで書かれていない。上に「(失敗の本質」の)エッセンスを、今日的な事例も使って..」と書いたが、実体としては「今日的な事例を、(「失敗の本質」の)エッセンスを使って」分かりやすく説明した本だ。

 つまり主客が転倒しているのだけれど、これでいいのだ。実際のところ私たちにとって大事なのは、今日的な事例の方であり、それを今後の自分の判断に生かすことだから。 

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好調を続ける企業の経営者はいま、何を考えているのか?

著 者:鈴木博毅
出版社:秀和システム
出版日:2017年4月25日 第1版第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書は、著者が8つの超成長企業の経営者にしたインタビューをまとめたもの。「超成長企業」の意味するところは、過去5年間に売上高が2~5倍、経常利益についても同水準で増加している「一部上場企業」だ。一時期よりは持ち直してはいくけれど、まだまだ経営環境は厳しい。その中で伸び続けている企業には「何かがあるはず」、それを聞き出そうという意図だろう。

 その8社は具体的には「ユーグレナ」「ディップ」「ファンコミュニケーションズ」「朝日インテック」「LIFULL」「イーブックイニシアティブジャパン」「日本M&Aセンター」「オプティム」の8社。「一部上場」というと「有名企業」というイメージがあったけれど、浅学の私は半分以上知らなかった。

 8社のすべての社長さんのお話がどれもとても刺激的だ。特に最初の「ユーグレナ」の出雲社長の話が心に残っている。社長は、ミドリムシの食用屋外大量培養に成功し、同社はその多様な商品開発を行っている。事業化のパートナーを探して500社に断られた話、エネルギー問題への取組、「世界をよい方向に変える」という理念。

 本書が魅力的なのは、「超成長企業」の社長の話の魅力に負うところが多い。ただ、それだけでは「成功事例」を集めただけになってしまう。著者は「新業態を打ち出す」「業態を変更する」という、2種類の「業態変革」を切り口にして、各社の分析を試みている。それも示唆に富んでいいと思う。

 実は私は少しだけれど株式投資をやる。基本的には東証一部の企業しか買わない(それなのに「半分以上知らなかった」のだから、恥ずかしい限りだ)。これからは、ここに載っている会社にも注目しておこうと思う。(※本書では全社が「一部上場企業」のように読めるけれど、調べてみると1社は二部のようだ) 

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最強のリーダー育成書 君主論

著 者:鈴木博毅
出版社:KADOKAWA
出版日:2015年10月30日 第1刷発行
評 価:☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書はマキアヴェリの「君主論」を読み解いて、そのエッセンスを現代のリーダー育成のためのテキストに編み直そうというもの。念のため補足すると、マキアヴェリは15~16世紀のイタリアの政治思想家。「君主論」はそれまでの様々な君主・君主国を分析した著作。

 マキアヴェリズムと言えば「目的のためには手段を選ばない」という主義のことで、「君主論」はその由来にもなっている。そのような冷徹さは「君主論」の一側面を表しているがすべてではない。約500年前の著作が、今でもこうして読み継がれているのだから、読む人を惹きつけるものが他にあるのだろう。

 そして本書について。「ケチであれ 冷酷であれ 自ら仕掛けよ」「力を求め、力を愛せ」「悪を学んで正義を行え」「誇り高き鋼の精神を養う」「運も人も正しく支配する」の5章建て。テーマに合わせて君主論の中の一節を、現代にアレンジして解説する。

 読んでいて戸惑いを感じた。マキアヴェリの分析が多岐にわたるから仕方ないのかもしれないけれど、項目が多くて散漫な感じがした。中には「軽蔑されるな」とか「決断と責任から逃げる者は君主ではない」とか、「当たり前」のことも少なくない。

 また「君主論」が念頭に置いているのは中世の君主、軍事力で侵略から国を守る(場合によっては領土を拡大する)立場の者だ。現代の「リーダー」とのギャップは相当に大きい。だからこそ著者が「アレンジ」して解説するのだけれど、会社の社長ぐらいならまだしも、部下を持つ上司に当てはめるのは難しい。その果ては、家庭とか恋人との関係まで例えとして出てくる。

 とは言え「君主論」は、上に書いたように500年も読み継がれ、今もトップリーダーたちに影響を与えているらしい。その内容が気になる方は、本書を手に取ってみてもいいかもしれない。 

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この方法で生きのびよ!

著 者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2015年9月7日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書は所属する組織やビジネスの枠組みを「船」に見立て、社会を激変させるような大きな流れを「氷山」に例える。迫りくる「氷山」への対処を知っていれば、衝突や沈没を避けられる、衝突しても海に投げ出されることを免れられる、うまく利用できればチャンスにさえなる、ということだ。

 著者があげる「氷山」は5つ。「代替」「新芽」「非常識」「拡散」「増殖」。言葉だけではどうしてこれが「氷山(=大きな流れ)」なのか分からないだろう。例えば「代替」は、交通手段としての「馬」が「自動車」に、デジカメやゲーム機などのいろいろなものが「スマホ」に、取って代わられた、ということを差している。何かが「代替」となって市場を失う、という流れだ。

 その他の4つも簡単に。「新芽」は、困難に直面した時に、新しい発想によって復元すること。「非常識」は、文字通り常識に囚われず、それまでの世界観から抜け出すこと。「拡散」は、それまで存在しなかった分野に商品が拡がっていくこと。「増殖」は、ある商品を買った消費者が、その商品の熱心なセールスマンになるようなこと。

 読んでいてどうもしっくりこない感じがしていた。本書は、誰に対して何を促そうとしているのか?著者が言うように、従来のビジネス書が描く「日常の仕事の効率化」と違い、「大きな変化」を本書が描き出しているのは間違いない。しかしその大きな変化に乗れる人とはどういう人?という疑問が湧く。

 しかもその「大きな変化」の例が、「「馬」が「自動車」を代替」では「つまり「第二の自動車」を発明しろってこと?」と思ってしまう。その他にも「巨大帝国を築いたアレクサンダー大王の「非常識」」というのもあったけれど、例えがあまりに大きすぎる。

 タイトルが「この方法で生きのびよ!」だから、生きのびるための具体的な方法が書いてあると思うと肩すかしを食う。私の「しっくりこない」感の原因もここにある。本書は、もっと大きな戦略レベルの思考の枠組みを提供する。そのつもりで読めば得るものがあるだろう。 

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戦略の教室

著 者:鈴木博毅
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2014年8月28日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さまから献本いただきました。感謝。

 本書は、孫子からマッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループまで、古今東西の「戦略」を紹介したもの。「リーダーシップ戦略」「軍事戦略」「効率化戦略」「実行力戦略」「目標達成戦略」「競争戦略」「フレームワーク戦略」「マネジメント戦略」「イノベーション戦略」「21世紀の戦略」の10分類に分けて、全部で30の戦略論が取り上げられている。

 登場する人物を年代の古い方から上げるとまず、孫武、アレクサンダー大王、ずっと下ってマキアヴェリ、さらに下ってナポレオン。その次は、テイラー、ランチェスター、シュンペーターと、前世紀初めに活躍した経済学者。

 さらには、ドラッカー、コトラー、ポーターと、現代のマネジメントとマーケティングの巨匠たち。日本人では野中郁次郎や大前研一らの名前が挙がっている。30年前にマーケティング専攻の学生だった私としては、テイラー以降はその著作を教科書として読んだ人々で、なんとも懐かしかった。

 本書に書かれていることは、それぞれの戦略論の10ページ前後の要約。何かを要約すると何か大事なことが抜け落ちてしまい、あまり深く理解するには至らないものだ。ただし著者は現代の事例を挙げて、その戦略論を理解しやくする工夫をしている。シュンペーターのイノベーションを表すのに「うまい棒」の事例を持ってくる、といった具合に。こうした工夫がけっこう効果的だった。

 「なるほど」と思ったことがあった。それは「暗黙知」と「形式知」に関する考察。1980年代までの日本企業の強さは、「暗黙知」を基にした知識創造によって成り立っていた。90年代以降にそれらが研究され「形式知」に変換されたことで、海外企業が容易に活用することができるようになり、結果として日本企業が遅れをとることになった、というものだ。

 さらには本書のテーマである「戦略論」も、もともとどこかの企業や業界で(「暗黙知」として)行われていることを、他でも活用できる形(「形式知」)に整えたものだと言える。少し視野が晴れたような感じがした。 

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「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法

監修者:鈴木博毅
出版社:マガジンハウス
出版日:2013年9月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 著者の鈴木博毅さんから献本いただきました。感謝。

 言うまでもなく本書が言う「空気」とは、しばらく前に流行った「KY(空気が読めない)」の「空気」のこと。例えば、連敗中のスポーツのチームを覆う重々しい「雰囲気」や、結論が最初から分かっている会議の「暗黙の了解」など。

 重々しい雰囲気を払拭すれば勝てるチームになれる。暗黙の了解を作り出せれば結論を自由に導き出せる。このように「空気」を変える方法が分かれれば、本書のタイトル通りに「思い通りに人を動かす」ことができる。

 タイトルを見れば、本書にはその「空気を変える方法」が書いてあると思うだろう。当然だ。しかし、そう思って読むとガッカリするかもしれない。その「空気を変える方法」は、最終章になるまで待たなくては出てこないからだ。

 本書の他の大部分は「空気」についての事例研究と解説だ。そう思って読めば、なかなか読み応えのある本だった。また、プロローグの1行目で著者自身が、山本七平さんの著書で1970年代に出版された「「空気」の研究 」を紹介している。もしかしたら本書は、この本へのオマージュの意味もあるのかもしれない。

 だからと言って、手っ取り早く「空気を変える方法」を知りたい人は、最終章だけ読めばいい、とはならない。分量のアンバランスを感じないわけではないが、前段の「事例研究と解説」が必要なのだ。最終章だけではその意味するところがしっかりとは分からないだろう。

 最後に。他の本の著者の複数から聞いたのだけれど、本のタイトルは、出版社の広告宣伝の範疇だそうだ。内容に対してタイトルに違和感があるのは、そういった事情かもしれない。このタイトルには確かに吸引力がある。

 ここからは書評ではなく、この本を読んで思ったことを書いています。お付き合いいただける方はどうぞ

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