3.ミステリー

ブレイズメス1990

著 者:海堂尊
出版社:講談社
出版日:2010年7月15日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 医療エンタテインメントを堪能した本。

 「ブラックペアン1988」から2年後。舞台は東城大学医学部付属病院、主人公は世良雅志と、前作と同じ、登場人物もほぼ共通。しかし冒頭に世良の姿は南フランス・コート・ダジュールにあった。なんとなく全く新しい物語の始まりを予感させる出だしになっている。

 世良の渡仏の表向きの目的は、国際循環器病学会のシンポジストとして参加する先輩の垣谷講師のお供。3年目の医師にタダでそんなおいしい役目が回ってくるはずはなく、教授先生から直々に「達成するまで日本に戻ってはならん」と厳命された任務がある。隣国のモナコ公国の病院に勤める天才外科医の天城雪彦へ教授のメッセージを渡すことだ。

 「全く新しい物語の始まり」の予感は正しく、天城を中心に据えた物語が展開する。天城は、中東の王族などの富豪を相手に「全財産の半分」を対価に手術を請け負っていた。東城大学医学部付属病院に来ても、日本の大学病院の価値観とあうはずもなく、病院も世良もそして読者も天城に振り回される。難題が幾度も降りかかるけれど、周到さと機智と強運で乗り越える。キザで派手な「ドクターX」。

 上々のエンターテインメント・ドラマだった。突き抜けた感のある天城の登場で、物語が明るくテンポよくなった。莫大な報酬を求める天城は「報酬で患者を差別するなんてトンデモナイ」と、ほぼ総スカンをくらうけれど、高度医療にはお金がかかるのは事実。経済的に自立しないと救える患者も救えない、ということもあり得る。

 エンターテインメント性の高い作品だけれど、問いかけるものは意外と深い。

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むかしむかしあるところに、死体がありました。

著 者:青柳碧人
出版社:双葉社
出版日:2019年4月21日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。

 正直でいい人が報われる昔話も、ちょっと視点を変えるとこんなことになる、という本。

 日本人なら誰もが知っている昔話の舞台と設定で殺人事件のミステリー、という趣向。俎上に上がった昔話は「一寸法師」「花咲かじいさん」「つるの恩返し」「浦島太郎」「桃太郎」の5つで、それぞれが短編になっている。昔話の原型は相当にブラックなものだった、と聞いたことがあるけれど、本書の各編も相当にブラックだ。

 ネタバレになるので詳しくは書かないけれど、登場人物たちのイメージが全然違う。一寸法師は昔話どおりに知恵が回るけれどワルだし、花咲かじいさんは思わぬ人の不興を買っていたし、つるの恩返しの弥兵衛もどうかと思うやつになっているし、竜宮城は嫉妬が渦巻いているし、桃太郎は若い鬼たちを諭すときに使う怖い存在になっていた。「正直に暮らさないと、また桃太郎がこの島にやってくるよ」と。

 この「全然違うイメージ」が、昔話のストーリーを現実社会に置き換えたら
「確かにそうかも」と思ってしまうところが、面白いというか哀しいというかだ。だって、どこまでもどこまでも善人で欲のない人なんて、まずいそうにないし、いたら周囲は迷惑してるかもしれない。

 謎解きミステリーとしてもよく出来ているので、昔話のパロディという以外にも、犯人捜し真相探しの謎解きとして楽しんでもいいと思う。

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ムゲンのi(上)(下)

著 者:知念実希人
出版社:双葉社
出版日:2019年9月22日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。

 読み終わると、思っていたところと全然違うところに着地している。そんな本。

 主人公は識名愛衣。神経精神研究所附属病院の神経内科の医師。「突発性嗜眠症候群、通称「イレス」の患者3人の主治医。イレスは世界でも400例ほどしか報告されていない疾患。普通に眠っていただけの者が、目を醒ますことなく昏睡に陥る奇病。その奇病が東京の西部で同時に4例発生、4人ともがこの病院に入院し、そのうち3人が愛衣の患者となった。

 愛衣には本人も知らなかった別の側面があった。愛衣の祖母は、かつては沖縄のユタで、不思議な力で探し物の場所を言い当てたり、病気を治したりしていたという。そして、その力は愛衣にも受け継がれているはずだ、というわけ。「不思議な力って、そんなものあるわけないじゃない」というのが、愛衣の最初の感想だったけれど、その力は実在した。

 というわけで、愛衣はユタの力を使って患者を治療する。患者の「夢幻の世界」に入り込んで、そこで「ククル」という生き物の導きで、患者の「マブイ」という魂のようなものを修復して取り戻さないといけない。「夢幻の世界」とは、患者が見ている「醒めない夢」のこと。「イレス」は、「マブイ」が傷つくことで強制的に仮死状態になった状態だったわけ。

 面白かった。愛衣がが勤める病院や実家の団らんなどの「現実パート」と、患者の夢幻の世界の「ファンタジーパート」、その中で明らかにされる事件の「ミステリーパート」。それから愛衣自身が抱える23年前の事件。そうした複数の要素が配合されている。私としてはちょっと「ファンタジーパート」が冗長なところがあるかな?と感じたけれど。

 最後に。「現実パート」の背景に、猟奇的な連続殺人事件が描かれている。同じく本屋大賞ノミネート作品の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」もそうで、これは今年の本屋大賞の傾向なのかな?と思った。エグいのは好きじゃないんだけど..。

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medium 霊媒探偵城塚翡翠

著 者:相沢沙呼
出版社:講談社
出版日:2019年9月10日 第1刷 12月9日 第5刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 こういうミステリーも有りか、ぐらいに軽めに思わせておいて、大仕掛けが仕掛けられていた本。

 本屋大賞ノミネート作品。「このミステリーがすごい!2020年版」第1位

 主人公は香月史郎。推理作家。年齢は30代か?警察の捜査に協力していて、ここ最近はいくつもの殺人事件を推理し解決に導いている。それにはウラがあって、実は、死者の魂を呼び出せるという霊媒の美少女がいて、彼女の助言によって犯人を特定しているのだ。香月はその犯人に導く論理を構築している。警察に「死んだ被害者に聞きました」とは言えないから。

 ミステリーに霊媒、それもホンモノが登場していいのか?という疑問はある。被害者から教えてもらえるなら、捜査も推理も必要ないのだから。でも、ミステリーには「ホワイダニイット(Why done it?)」「ハウダニイット(How done it?)」というジャンルもある。香月の論理構築はその変形で、これもミステリーには違いない。

 物語は、香月が新しく依頼された猟奇的な連続殺人事件を背景に置きながら、香月と霊媒の美少女とのコンビが解決してきた事件を順に描く。言い遅れたけれど、この霊媒の美少女の名前が、タイトルになっている「城塚翡翠」。あれ?とすると、主人公は推理作家の香月史郎ではなくて、霊媒の美少女の城塚翡翠の方なのか?...

 上に「ミステリーには違いない」と書いたけれど、面白いかどうかは別。私は、オカルト趣味が半端な感じがしたし、翡翠の振る舞いが何とも思わせぶり(私の世代がよく使った「ぶりっ子」というやつ)で、コンビによる事件解決はそんなに面白くなかった。でも、この物語は最終話まで読んで欲しい。面白いか面白くないかを判断するのは、最後まで読んでからだ。

 最後に。「女性の目から見れば、明らかに芝居だと見抜けるでしょうけれど、ほとんどの男性は信じ込んでしまうんですから、不思議なものです」。これは翡翠のセリフ。辻村深月さんの「傲慢と善良」でもそういう場面があったけれど、「そうなのか?男はダメだな」と思った。

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店長がバカすぎて

著 者:早見和真
出版社:角川春樹事務所
出版日:2019年7月18日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 本屋さんを舞台にしたコミカルな物語。本屋さんが好きな人なら楽しめそうな本。

 本屋大賞ノミネート作品

 主人公は谷原京子28歳。武蔵野書店吉祥寺本店の契約社員。時給998円。小さいときから本屋で働きたいと思っていて、武蔵野書店には憧れの書店員がいて..希望を実現した形ではある。それでもよく「こんな店、マジで本気で辞めてやる!」と思っている。主な理由は「店長がバカすぎて」

 今年四十歳になる店長は、毎朝の開店前のクソ忙しい時間に朝礼で長い長い話をする。「明後日か明明後日に自分に来客があるはずなので、私につないでください」とか言う。次の日には「明日か明後日に..」。そんなことはその日の朝に言え!いや言わなくても店長に来客があれば店長につなぐだろ!一事が万事そんな感じ。

 物語は、京子さんの奮闘を描く。ちょっとしたミステリーもある。京子さんの周辺には様々な人がいる。店長、憧れの先輩書店員の他、アルバイトの大学生、お店のお客さん、出版社の営業、作家の先生..。全部で6話あるタイトルはそれぞれ「店長がバカすぎて」「小説家がバカすぎて」「弊社の社長がバカすぎて」「営業がバカすぎて」..大変そうだ。

 大変そうだけれど、みんなバカであってもユーモラスで憎めない。だから面白く読める。京子さんのお父さんがやっている小料理屋があるのだけれど、京子さんは、そこでうまく気分転換ができている。それは読者も同じで、書店の中だけではいささか飽きるけれど、絶妙なタイミングで舞台が転換する。いいアクセントになっている。父娘の関係もなんとなくいい感じ。

 ひとつだけ。物語中に「本屋さん大賞」という書店員が選ぶ賞の話題が何度も出てくる。「本屋さん大賞」が出てくる「本屋が舞台」で「本屋の店員が主人公」の小説を「本屋の店員たち」が「本屋大賞」にノミネートしている。自分の尻尾を追いかけてグルグル回る犬が頭に浮かんだ。

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ノースライト

著 者:横山秀夫
出版社:新潮社
出版日:2019年2月28日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 一家失踪のミステリーが人間ドラマに展開する本。

 本屋大賞ノミネート作品

 主人公は青瀬稔。一級建築士。45歳。大学の同期が経営する設計事務所で働いている。8年前に離婚した元妻のゆかりとの間に、中学生の娘の日向子が居て、父娘の面会が月に1回ある。バブル崩壊のあと所属していた事務所をクビを宣告される前に辞め、不遇をかこっていたが、友人の岡嶋の事務所に拾われた。

 青瀬には代表作と言える家がある。信濃追分に建つ浅間山を望む「北向きの家」。「Y邸」と呼ばれるその家は、大手出版が日本全国の個性的な家を厳選した「平成すまい二〇〇選」に選ばれた。タイトルの「ノースライト」は、この家で採用した「北側から採り入れた明かり」のこと。

 ところが、この家に誰も住んでいないことが分かった。「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」と言われて設計したこの家は、建築士としての青瀬を立ち直らせた仕事で、施主の吉野夫妻にもとても喜んで貰えた。それなのに住んでいない。一家五人が姿を消してしまった...。

 幅広く奥深い広がりを持った物語だった。姿を消した5人はどうしていなくなったのか?どこ行ってしまったのか?というミステリーを入口に、昭和初期の著名なドイツ人建築家の遺作を巡る謎、青瀬や岡嶋の家族のあり方、そして青瀬の生い立ちにまで遡った事情など、多くの要素が縦横に絡む。

 予想したところとはずい分違うところに着地する。その裏切り方が心地よくて先のページへと急がせる。それから、物語の中で行われた建築コンペで、岡嶋の事務所が作った提案がとても魅力的だった。建築家ではない著者がこれを考えたのか?いや小説家だからこそ考えついたのかも?と思った。

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名探偵カッレくん

著 者:リンドグレーン 訳:尾崎義
出版社:岩波書店
出版日:1965年3月16日 第1刷 2005年5月26日 第27刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 やっぱり海外の児童文学を読むのは楽しいな、と思った本。

 本書は、上橋菜穂子さんが選書されたブックリストにあり、また、著者のリンドグレーンさんの半生を描いた映画が先月公開されたことで読んでみた。

 舞台はスウェーデンののどかな街にあるストゥールガータン街。主人公はカッレくんは、その通りにある食糧雑貨店の息子。13歳。隣家のパン屋の娘のエーヴァ・ロッタと、靴直し屋の息子のアンデスと仲良しで、大人をからかうイタズラをしたり、別のグループと「白バラ・赤バラ戦争」をしたりして過ごしている。

 それからカッレくんは、シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロなどの名探偵に憧れている。探偵になるための修行として、街で怪しいことは起きていないか注意したり、何か変わったことがあれば手帳に記録したりしている。ただ「いねむりをして夢をみている」ストゥールガータン街では、事件はなかなか起きない。

 ところが事件は起きた。エーヴァ・ロッタのお母さんのいとこ、と名乗る「エイナルおじさん」が街にやってくる。この人が何かと怪しくて、カッレくんが調査に乗り出す。それが、警察を巻き込んだ大事件に...。

 面白かった。子ども向けに書かれた物語なので、子どもが読んでどう思うか?が大事。と分かっていても、大人になってしまった私は、面白く読みながらもちょっと「批評」してしまう。例えば「子どもがこんなことしたら危ないじゃないか」とか。バラ戦争も悪者との対決も、いろいろなことが「やりすぎ」で、規範からはみ出している。

 「批評」に続けて「分析」もすると、「子どもが読んでどう思うか?」に立ち返れば、この「はみ出し」がウケるのだと思う。「えーっ、そんなことしちゃうの!」ほどワクワクすることはそんなにないから。

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極北クレイマー

著 者:海堂尊
出版社:朝日新聞出版
出版日:2009年4月30日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 描かれているのはかなり深刻な医療崩壊だけれど、物語としては気楽に楽しめた本。

 海堂尊さんが描く物語世界「海堂ワールド」の作品の中で、登場人物が「北の案件」と度々口にする。その「北の案件」の始まりが、、架空の都市である北海道極北市を舞台とした本書であるらしい。海堂ワールドの踏破に向かって、新しいシリーズを読んでみることにした。

 主人公は今中良夫。外科医になって8年目。極北大学の医局から極北市民病院に派遣された。実は極北市は観光誘致に失敗し、その際に建設したスキー場やホテルなどの負担が財政を圧迫、財政破綻を噂されている。市民病院も赤字で、財政を圧迫しているという意味では同じだ。

 物語は、極北市民病院を舞台として、その病院のありえない体たらくが次々とあらわにする。ナースステーションではカーラーを髪に巻いた看護師が煎餅をかじっている。病室では患者が床ずれを放置されている院内の薬局では勤務時間中も薬剤師がずっとテレビを観ている。事務長は院長の言うことをまったく聞かない。

 そんな病院を派遣されてきた今中が、摩擦を起こしながらも改善していく...そんな物語かと思ったらそうではない。そういうことは、今中より1か月ほど後に赴任してきた、皮膚科医がやってしまう。その皮膚科医の名前は姫宮香織。

 姫宮は、これまでの海堂作品でも登場した「超優秀なのにトンデモな」官僚で、これで作品世界がつながった。その後に、この極北市民病院での出来事は、医療と司法の対立という大きな策謀に巻き込まれ、まさに「北の案件」になる。

 続編「極北ラプソディ」を読むのが楽しみだ。

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アリアドネの弾丸

著 者:海堂尊
出版社:宝島社
出版日:2010年9月24日 第1刷 10月14日 第2刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 シリーズの他の作品と比べて、いつになく剣呑な雰囲気にドギマギした本。

 「チーム・バチスタの栄光」から始まる「田口・白鳥シリーズ(著者は「東城大学シリーズ」としているそうだ)」の第5作。実は先に第6作の「ケルベロスの肖像」を読んでしまっていて、後戻りして読んだ。

 主人公は、東城大学医学部付属病院の講師田口公平。「不定愁訴外来(通称愚痴外来)」の責任者。院内ではヒマだと思われている。ただし、病院長のムチャ振りで「院内リスクマネジメント委員会」の委員長や、厚労省の検討会の委員などを兼務している。そして今回は新設の「Aiセンター長」にも就任。ちなみに「Ai」とは「Autopsy Imaging」で「死亡時画像診断」の意味。このシリーズのテーマの一つでもある。

 「Aiセンター」はまだ建設中。どういうわけか警察関係には「Ai」に対して強い反対勢力があるらし。人事にも介入されて、副センター長に警察庁の元刑事局長が送りこまれたり、オブザーバーに現役の警視が入ったりする。物語を通して、この二人が何とも剣呑な雰囲気を漂わせ、終盤に向けて危険さを増していく。

 病院が舞台なので、これまでにも「死」はあったけれど、今回は殺人事件がらみ。そして、東城大学医学部付属病院の崩壊の危機。本当に「崖っぷち」な感じだった。主人公は田口センセイだとしても、厚労省の白鳥技官の活躍が目覚ましい。いつもは議論を引っ掻き回して混乱させる役回りだけれど、今回は論理的な推理が冴える。

 「ジェネラル・ルージュの伝説」のレビュー記事で紹介したけれど、著者の作品は広大な物語世界を構成している。本書にも他の作品からのリンクが多数ある。まだ読んでいないシリーズも読みたくなった。

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小説 天気の子

著 者:新海誠
出版社:KADOKAWA
出版日:2019年7月25日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 大ヒット上映中の映画「天気の子」の小説版。映画の方は「公開34日目で興行収入100億円を突破」、前作「君の名は。」を上回るペースだそうだ。

 登場人物もストーリーも映画と同じ。主人公は森嶋帆高、高校一年生。島の出身で、家出して船で10時間以上かけて東京に来た。東京は家出少年に冷酷で、どこを歩いても人にぶつかり、道を尋ねても答えてもらえず。街をさまよい、路上に居場所を見つける他にないが、それも容易には見つからない。

 そんな中で、一人の少女に出会う。陽菜、帆高よりひとつ年上の17歳。マクドナルドで3日連続でポタージュだけの夕食を取っていた帆高に、ビッグマックをくれた店員。帆高が、タチの悪そうな大人から助け出した少女。彼女は「100%の晴れ女」。彼女が祈れば短い間だけれど、雨が降っていても雲が割れ晴れ間が覗く。

 物語は、帆高と陽菜の「恋愛未満」の関係を描きつつ、帆高が身を寄せた編集プロダクションの社長の須賀と、アシスタントの夏美、陽菜の弟の凪の3人を加えた、5人の物語が進む。帆高は家出少年であるだけでなく、ある出来事から警察に追われる。また、晴れ女の陽菜に関する重大な事実が明らかになる。

 読み始めてすぐの第2章で、戸惑いとともにグッと引き込まれた。夏美が一人称で語り始めたからだ。映画では、それなりに重要な役割を果たすにしても、あくまでサブキャラクターで、多くは語られなかった人物。それが帆高のことと自分のことを語る。これによって「重要な役割」にも深みが増した。

 映画が大ヒットしていることで分かるけれど、ストーリーは抜群に面白い。それに加えて、映像では表現が難しい、人物の心情や背景や、場面の設定が書き込まれている。それも監督自身の手によって。「君の名は。」の小説版の時と同じだけれど、映画を観て「良かった」と思う人には特におススメ。

 最後に。映画の物語のラストの評価が分かれているようだけど、私は「これすごくいい」と思った。

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