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ケーキの切れない非行少年たち

著 者:宮口幸治
出版社:新潮社
出版日:2019年7月29日 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 いろいろなことが分かったけれど、これはちょっと重たい問題だと思った本。

 発売されたころに新聞や雑誌などでさかんに取り上げられていたので、帯のいびつな円の「三等分」とともに書名は知っていた。きっかけがあって読んでみた。

 著者は、現在は大学の臨床心理系の教授。前歴は、児童精神科医として病院で勤めた後、医療少年院に法務技官として勤務している。本書は、その医療少年院での勤務経験が元になっている。医療少年院というのは、発達障害や知的障害を持ち非行を行った少年たちの「矯正施設」のこと。

 まずケーキの話から。医療少年院で、ある粗暴な言動が目立つ少年の面接で、円を描いて「ここに丸いケーキがあります。3人で食べるとしたらどうやって切りますか?皆が平等になるように切ってください」という問題を出した。すると少年はまずケーキを縦に半分に切って、その後「う~ん」と悩みながら固まってしまった、というエピソード。タイトルが「~非行少年たち」と複数になっているように、こうした少年(少女も含む)は、医療少年院に大勢いるらしい。

 ケーキが切れない理由は何かと、これの何が問題なのかと言うと「少年たちは、こんな簡単なことも分からない。ちゃんとした教育を受けられなかったこと」ではなく、ましてや「ケーキを切ってもらうような家庭環境になかったこと」なんかではない。(タイトルだけを見て考えると、こんなことを思う人もいそうだけど)

 ケーキが切れない理由は「認知機能に問題がある」からなのだ。そして問題は「この少年たちへのこれまでの支援が役に立たない」ということ。これまでの支援というのは「認知行動療法」と言って、ワークブックなどで思考の歪みを修正して対人関係スキルなどを改善するもの。しかし「認知機能」に問題があれば効果は期待できない。この点については著者からの解決策の提示がある。

 さらに発展した問題。医療少年院や児童精神科に来た少年たちは「発見された」わけで、まだ発見されていない少年たちが存在する。「認知機能」に問題があると、簡単な問題が解けない。想像ができないので、他人の気持ちがわからない。先のことを考えられないので、目標を立てられないし、それに向かって努力もできない。そんな子どもは、本来は支援を必要としているのに、「困った子」「悪い子」と思われている可能性が高い。そして「少年」はいつか「大人」になる

 正直に言って、どう消化していいのか分からない。今は「知ること」で第一歩だと思うしかない。

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テミスの休息

著 者:藤岡陽子
出版社:祥伝社
出版日:2016年4月20日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 信頼できる人と一緒に居られる、ということが、心の平安につながるのだと、改めて思った本。

 主人公は弁護士の芳川有仁と、芳川の事務所の事務員の沢井涼子。物語の初めでは、涼子が44歳で、芳川は4つ年下。8年前に涼子は夫と別れ、息子と2人で鶴見で暮らし始めた。同じころ芳川は大手法律事務所から独立して鶴見で事務所を立ち上げる。涼子が求人に応募して採用された。つまり2人は8年の付き合い。どうも、芳川は涼子のことを憎からず思っているらしい。

 物語は、芳川法律事務所で受けた相談を軸にして、芳川のこと、涼子のこと、そして2人のことを、語っていく。相談は例えば、突然に婚約破棄された音楽教師、殺人罪で起訴された青年、不倫相手の妻に支払った慰謝料を取り返したいという女、交通事故を起こした母親、息子の過労死の労災認定を求める父親、など。

 何とも暖かい気持ちになる物語だった。裁判になれば勝ち負けがある。勝った方がいいのは間違いないけれど、勝てばいいというものでもない。帯に「依頼人が、ほんの少し、気持ちを楽にして元の場所に戻ってくれればいい」とある。芳川の弁護はそういう弁護だ。その芳川について涼子は「人の狡さや愚かさや弱さに日々触れる仕事をしながらも、穏やかな気持ちで過ごせるのは、本心から信じられる人と向き合っているからだ」と感じている。

 主人公が弁護士と事務員だけれど、法廷のシーンはほとんどない。多くは、事務所のソファで話される相談と、芳川と涼子が並んで歩きながら話す会話で綴られる。それによって、芳川と涼子の人柄がにじみ出るように分かる。

 ちなみに本書は「陽だまりの人」というタイトルに改題して文庫化されている。「陽だまりの人」とは、恐らく芳川のことだろう。あるいは涼子が芳川にとっての「陽だまりの人」、という意味かもしれない。

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真田忍者で町おこし

著 者:くノ一美奈子
出版社:芙貴出版社
出版日:2019年9月14日
評 価:☆☆☆☆(説明)

 忍者の実在を強く実感した本。

 著者のくノ一美奈子さんは長野県上田市の温泉旅館の女将さんで、真田忍者をテーマとした街の活性化の活動に取り組んでおられる。2015年から地元の新聞に連載をはじめ、本書はその連載を基に加筆修正を行って、5年間の活動をまとめたもの。

 全7章。第1章で「町おこし」のことを語り、第2章で「忍者食」を研究、第3章で「忍者の修行」を現代のスポーツにつなげ、第4章で「真田忍者のルーツ」を史書によって探求、第5章は「くノ一」の考察、第6章は「真田家の歴史」を忍者を軸にして俯瞰、第7章で「真田十勇士と立川文庫」を研究。変幻自在。「忍者」というワンテーマを入口にして、その奥に、これほどの豊饒な世界が広がっているのに驚く。

 全編にわたって興味深いことが書かれているのだけれど、特別に強い印象が残ったのが、第4章に含まれる「伊与久一族」に伝わる伝承。伊与久一族は、真田忍者である「吾妻衆」の一翼を担った家系。この文章は伊与久家の末裔である伊与久松凮氏の特別寄稿。そこには松凮氏が祖母から伝えられた伝承と、自身が身をもって体験した体術などの修行が記されている。

 「特別寄稿」を強調したのでは著者に申し訳ないけれど、これも著者の熱心な活動あっての寄稿だと思う。私はこれで忍者の実在(それも現代まで続く)を強く実感した。

 巷に流れる風聞に、外国人に「忍者って本当にいるのか?」と聞かれたら「最近はとても少なくなった」と答えると喜ばれる、というのがある。私はこれからは自信と実感を持って答えられる。「とても少なくなった」と。

 Amazonでの取り扱いがないようなので、興味を持たれた方は、出版社の芙貴出版社(TEL 0261-85-0234)にお問い合わせください。

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2018年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。小説部門、ビジネス・ノンフィクション部門ともに10位まで紹介します。
 このランキングも今年で10年目です。これで小説部門は100作品、ビジネス・ノンフィクション部門は75作品を、選んできたことになります。
  (参考:過去のランキング
2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は102作品でした。☆の数は、「☆5つ」が3個、「☆4つ」が53個、「☆3つ」は40個、「☆2つ」が4個、「☆1つ」が2個、です。
 「☆5つ」は、この数年は3個か4個で安定しています。「☆4つ」「☆3つ」もたいたいこのぐらいの割合で、今年も読書を楽しめました。「☆1つ」を付けたのは10年ぶりです。

■小説部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
みかづき / 森絵都 Amazon
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昭和の高度成長期に、理想を持って学習塾を立ち上げた創始者夫婦と、その一族三代の大河小説。大らかな夫と意思の強い妻、その血を受け継いだ子ども達が、衝突しながらも支え合うドラマ。
カフーを待ちわびて / 原田マハ Amazon
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沖縄の離島の海と空、ゆったりとした時間を背景にしたラブストーリー。商店を営む男性と、遠くから来て住み込みで働く若い女性の暮らしぶりを描く。デビュー作にして完成度の高い作品。
ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ / 辻村深月 Amazon
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殺人を犯して逃走中の幼馴染を案じて、その行方を捜すライターが主人公の第一部と、逃走中の幼馴染が主人公の第二部からなる二部構成。ミステリーと女友達の人間ドラマの2つが楽しめる。
また、同じ夢を見ていた / 住野よる Amazon
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主人公は小学生の少女。他人にどう思われようが、正しいと思ったことをする。学校に友だちはいないけれど、町には親しくしている大人がいる。少女の成長を感じる物語。大仕掛けあり。
キッチン風見鶏 / 森沢明夫 Amazon
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港町にある洋食屋が舞台。その従業員やお客さんが入れ替わりで主人公を務める。その何人かは幽霊や守護霊が見える。たくさんの物語が同時に進む「誰かを思いやる心」を描いた作品。
最果てアーケード / 小川洋子 Amazon
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使用済みの絵葉書や人形用の義眼など、売れそうもない品々のお店が集まるアーケードが舞台。お店ごとのエピソードを積み重ねていくと「何かが少しだけおかしい」という思いが募る。
原発ホワイトアウト / 若杉冽 Amazon
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現役キャリア官僚のリアル告発ノベル。原発推進のありようを小説の形で伝える。集金・献金システムや、デモ潰しの手法は、具体的で説得力がある。昨今のニュースで思い当たる節もある。
百貨の魔法 / 村山早紀 Amazon
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50年続く地方の老舗百貨店が舞台。従業員やテナントの店員らが入れ替わりで主人公になる。その一人ひとり、お客さんの一人ひとりの物語を、百貨店に伝わる子猫の伝説とともに丁寧に紡ぐ。
盤上の向日葵 / 柚月裕子 Amazon
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将棋の駒と一緒に、山中で発見された死体遺棄事件の捜査に携わる刑事が主人公。捜査の進展と容疑者の生い立ちを並行して描く。将棋の棋士の勝負の世界と、人間の深い業を描いたドラマ。
10 マスカレード・ナイト / 東野圭吾 Amazon
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高級ホテルが舞台のミステリーシリーズ第3弾。殺人の犯人が仮装パーティーに現れる、という密告状が届き、刑事がクラークとなって捜査にあたる。コンシェルジュの仕事ぶりも見どころ。

 今年の第1位「みかづき」は、昨年の本屋大賞の第2位。本屋大賞の関連では、第8位の「百貨の魔法」は今年の本屋大賞の第9位、第9位の「盤上の向日葵」は同じく第2位と、私と本屋大賞は相性がいいらしいです。(ちなみに昨年、私が第1位にした「かがみの孤城」は、今年の本屋大賞でも第1位になりました)

 第2位の「カフーを待ちわびて」は、著者のデビュー作で10年前の作品です。「暗幕のゲルニカ」「楽園のカンヴァス」「サロメ」「たゆたえども沈まず」のアートミステリー作品で、ファンになりましたが、ラブストーリーのこの作品もすごく好きです。続編の「花々」と併せて楽しんでいただきたいです。

 第4位「また、同じ夢を見ていた」、第5位「キッチン風見鶏」、第6位「最果てアーケード」、第8位「百貨の魔法」は、「不思議+ハートウォーム」な作品で、私はそういうのが好物のようです。

 選外の作品として、 今村昌弘さん「屍人荘の殺人」、碧野圭さん「書店ガール」、石田衣良さん「うつくしい子ども」、三上延さん「ビブリア古書堂の事件手帖」が、心に残りました。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
「南京事件」を調査せよ / 清水潔 Amazon
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「南京事件」「南京大虐殺」について、調査報道の手法で取り組んだレポート。関係者から話を聞き、資料や記録を調べ、分かったことを別の方法で「裏取り」する。渾身の力を込めた報告
AI vs. 教科書が読めない子どもたち / 新井紀子 Amazon
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「いずれは万能に」と思われがちなAIが、実は「意味は分かっていない」と、その限界を指摘。その一方で、今の中高生も大半は同じように「文章の意味が分かっていない」ことも明らかに。
世界の中で自分の役割を見つけること / 小松美羽 Amazon
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気鋭の現代アーティストである著者が、自分の半生と自分に与えられた「役割」について記したもの。この本を通じて「あなたのこれから」を見つけて欲しい、という祈りが込められている。
安倍官邸vs.NHK / 相澤冬樹 Amazon
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「森友学園問題のスクープを連発して左遷されたNHKの記者」が著者。著者がどう取材して、どう報じられたか(報じられなかったか)を記すことで、この問題とNHKの異常さを浮かび上がる。
日本が売られる / 堤未果 Amazon
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「規制改革」の名の下に、「水」「土」「農地」「森」「海」「学校」「医療」「食の選択」が、値札を付けられて売られる。「日本で今、起きているとんでもないこと」が書かれている。
マーケットでまちを変える / 鈴木美央 Amazon
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普段は道や公園などの場所に、ある期間だけ仮設テントなどのお店が集まってお客さまを迎える「マーケット」。「日本中のまちを、マーケットから変えていく」。それができそうに感じる本。
フェルメール最後の真実 / 秦新二、成田睦子 Amazon
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フェルメールの作品に「旅をさせる」(所蔵館から借り出す)ことの実際を、臨場感のある筆致で記したもの。現存する37作品すべてをカラーで掲載、来歴などを含めて解説。実物が見たくなる。
スノーデン 監視大国 日本を語る / 自由人権協会 Amazon
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「デジタル時代の監視とプライバシー」をテーマに、スノーデン氏のインタビューを含む、講演、パネルディスカッションを収録。日本では捜査機関の監視を制限する法律がないことを指摘。
日本史の内幕 / 磯田道史 Amazon
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歴史学者の著者による、古文書にまつわるエッセイ集。ほぼすべてのエッセイに、根拠となる古文書を示し、その意気込みが伝わる。日本の出版文化、災害からの再起など、テーマは深く広い。
10 赤松小三郎ともう一つの明治維新 / 関良基 Amazon
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「全国民に参政権を与える議会の開設」「法の下の平等」など、現行憲法につながる憲法構想を日本で初めて提案した、赤松小三郎の研究書。赤松にだけでなく、憲法観にも新しい光を当てる。

 第1位「「南京事件」を調査せよ」、第4位「安倍官邸vs.NHK」、第5位「日本が売られる」は、ジャーナリストによる作品です。ここ数年、ジャーナリズムに対する期待と不安を感じていますが、このように骨太な報告が出版されることに、小さな安心を感じました。

 第2位「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」は、深刻な問題提起を含んでいると思います。本書では「中高生」ですが、調査をすれば大人も同様の結果なのではないでしょうか?つまり「文章を読んでも意味が(正確に)理解できない」。様々な場面で対話がまともに成り立たないのは、このせいではないかと思います。

 第3位「世界の中で自分の役割を見つけること」、第6位「マーケットでまちを変える」は、何かに真剣に打ち込み結果を出している人の「確かさ」を感じます。その姿を見て、自らのことを顧みると、やりたいこと、やった方がいいことが浮かんで、少し力づけられます。

 選外の作品として、小室淑恵さんの「働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社」、鈴木博毅さんの「「超」入門 空気の研究」、小西美穂さんの「小西美穂の七転び八起き」が、良かったです。特に「働き方改革」は、私の「これから」につながりそうな気がします。

勝手に予想!2018本屋大賞




 明日4月10日(火)に本屋大賞が発表されます。10作品がノミネートされていて、今年はそのすべての作品を読むことができました。

 その10作品は「AX アックス」「かがみの孤城」「キラキラ共和国」「崩れる脳を抱きしめて」「屍人荘の殺人」「騙し絵の牙」「たゆたえども沈まず」「盤上の向日葵」「百貨の魔法」「星の子」です。

 これまでも何度か予想していても、大賞が当たったことがないのですが、懲りずに今年も、私の予想を発表します。

 大賞:「屍人荘の殺人」 2位:「かがみの孤城」 3位:「百貨の魔法」 4位:「たゆたえども沈まず」

 「屍人荘の殺人」は、ペンションを舞台にした「クローズドサークル(密室)殺人事件」のミステリ作品。粒ぞろいの候補作の中で、そのオリジナリティと完成度に「特別感」を感じました。すでに多くのミステリランキングで高い評価を受けていますが、本屋大賞受賞によって、ミステリファン以外にも読者を獲得できるでしょう。著者のデビュー作ということも、書店員さんが「売りたい本」という、本屋大賞の主旨に対するプラス要因になっていると思います。

 「かがみの孤城」は、中学生たちが鏡を通り抜けてお城に集う、ファンタジックな設定。それでいて、壮大な「救い」の物語。私は、この作品を昨年の「今年読んだ本ランキング」の1位にしたし、ノミネート10作品でただ一つ☆5つを付けた。だからこの本が、私の一番のおススメなのだけれど、本屋大賞の主旨を鑑みて敢えての二番にしました。

 「百家の魔法」は、地方の老舗百貨店を舞台にした、ハートウォーミングな物語。店員たちのそれぞれのストーリーを語りながら、同時に大きな物語が進む。 登場人物たちやこのお店を応援したくなるとともに、自分も励まされているように感じる。他の作品と比べて、とりわけ幅広い層の読者に受け入れられる作品だと思います。

 「たゆたえども沈まず」は、ファン・ゴッホを題材に「史実を巧み取り入れたフィクション」。著者は、この本と同様の、画家とその作品をテーマにした作品を多く記していて、これまでも何度かノミネートされているけれど、この本はこれまでとは違った完成度を感じました。昨年は6位ですが、今年はそれより上位になると思います。

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2017年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。小説部門、ビジネス・ノンフィクション部門ともに10位まで紹介します。
  (参考:過去のランキング 2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は102作品でした。☆の数は、「☆5つ」が4個、「☆4つ」が50個、「☆3つ」は44個、「☆2つ」が5個、です。
 「☆5つ」の4個のうち小説は1個だけで、少し評価が辛かったかな?と思いました。「☆4つ」(楽しめた(役に立った)。おススメ)が、半分の50個もありますから、今年も読書を楽しんだなぁと改めて実感しました。

■小説部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
かがみの孤城 / 辻村深月 Amazon
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少年少女が鏡を通り抜けてお城に集い、秘密の部屋の鍵を探す、というファンタジックな設定。それぞれに抱えているものがあり、それを丁寧に描くことで、本当に奥深い物語になっている。
蜜蜂と遠雷 / 恩田陸 Amazon
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直木賞と本屋大賞のダブル受賞作品。国際的なピアノコンクールを舞台とした出場者たちの群像劇。文章が、音楽と映像の両方の感覚を呼び覚ます。物語の力を示した著者渾身の作品。
君たちはどう生きるか / 吉野源三郎 Amazon
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80年前の1937年、日本が戦争を始めたころに出版された作品。倫理や哲学的なテーマを、少年と叔父の対話として身近な問題に引き付けて綴る。今なお大事なことが書いてある。
真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥 / 大沼紀子 Amazon
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「まよパン」シリーズの最終巻。真夜中に営業するパン屋と、そこにやってくる入り組んだ事情を持ったヤヤこしい人々が紡ぐ物語。ちょっと欠けた部分のある人間たちの優しさが素敵に感じる。
暗幕のゲルニカ / 原田マハ Amazon
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ピカソの「ゲルニカ」を巡るミステリー。MoMAのキュレーターが主人公の「現代」と、ピカソの愛人が生きる「過去」の、2つの物語が響き合う。キュレーターでもある著者にしか書けない物語。
ホワイトラビット / 伊坂幸太郎 Amazon
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誘拐をビジネスにしているグループで働いている男が引き起こした人質立てこもり事件。登場するのがクセのある人物ばかりで誰も信用できない。著者お得意のトリックが仕込まれた物語。
アキハバラ@DEEP / 石田衣良 Amazon
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アキハバラのオタクたちが作った会社と、そこで開発した画期的な検索エンジンを巡る、大企業との攻防。「不適応者の群れが、新しい時代のチャンピオンになる」痛快なストーリー。
玉依姫 / 阿部智里 Amazon
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ファンタジー、ミステリーファン注目の八咫烏するシリーズの第5弾。「山内」という異界を舞台としてきたシリーズで、突然現代の日本を舞台に。著者は新人ながら物語巧者であることを証明。
不時着する流星たち / 小川洋子 Amazon
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実在する人物や出来事からの連想によって、著者が紡ぎ出した10編の物語たち。何か少しだけ、でも決定的におかしい。例えると「リアルな夢」。そんな物語をたっぷりと楽しめる。
10 罪の声 / 塩田武士 Amazon
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山田風太郎賞受賞。1980年代の「グリコ・森永事件」を題材にした作品。犯人の家族を描くことで、未解決事件のありゆる「真相」を提示。「事件の後」を丁寧に描いたことも秀逸。

 今年の第1位「かがみの孤城」は、昨年の「東京會舘とわたし」に続いて2年連続の辻村深月さんの作品になりました。さらに一昨年は「ハケンアニメ」が第2位。辻村深月さんの作品が好きだとは感じていましたが、ランキングを付けることで「こんなに好きだったのか!」と、自分でも驚いています。

 4位「真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥」、8位「玉依姫」は、シリーズの中の1冊で、その本自体に加えてシリーズとしての評価も加味しました。もし読んでみようと思われたなら、ぜひシリーズの1冊目から順に。そして1冊目がそれほどでもなくても、2冊目3冊目ぐらいまでは読んでいただきたいです。

 選外の作品について言うと、 岡田淳さんの「こそあどの森の物語 はじまりの樹の神話」、西加奈子さんの「i(アイ)」 が、心に残りました。その他、小路幸也さんの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」、ジェフリー・アーチャーさんの「機は熟せり」は、長く続くシリーズの1冊で、こちらはシリーズ全体としておススメ。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
みみずくは黄昏に飛びたつ / 村上春樹 川上未映子 Amazon
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川上未映子さんが村上春樹さんに聞いたインタビュー。文字数にして25万字。同業者のインタビューだからか、機微に触れる話も。ファンではなくても、春樹さんに興味があれば楽しめる。
スノーデン 日本への警告 / エドワード・スノーデン Amazon
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エドワード・スノーデン氏が、滞在先のロシアから参加したシンポジウムを書籍化したもの。「言論の自由やプライバシーの権利は社会全体に利益をもたらす」という指摘を重く受け止めたい。
福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」 / NHK取材班 Amazon
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福島第一原発の事故について、6年間にわたる取材によって明らかになったことまとめたもの。「なぜそれが起きたか」「どうすれば防げたか」を調べて考えることが未来のために必要。
ライフ・シフト / リンダ・グラットン アンドリュー・スコット Amazon
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2007年生まれの人が半分に減る年齢は104歳。平均寿命が80歳台なので、人生80年と思っていたら100年だった。それに合わせた人生をしなければならないことに気付かせてくれる本。
歴史の愉しみ方 / 磯田道史 Amazon
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歴史学者の著者のエッセイが52編。「忍者の子孫を訪ね歩き、根こそぎ古文書を見ていく」という、フィールドワーク主体の歴史学者のスタイルを知った。歴史学の存在価値にも触れる本。
言葉にできるは武器になる / 梅田悟司 Amazon
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電通の現役のコピーライターによる「言葉」の指南書。特筆すべきは、言葉を「伝える道具」としてだけでなく「考える道具」としたこと。よりよくより深く考えるためにも言葉を磨かなくてはいけない。
日本会議の研究 / 菅野完 Amazon
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安倍内閣の閣僚の大半が関わりを持つ「日本会議」という民間団体を、ルーツから掘り起こしたレポート。今の世の中の動きと照らし合わせると、本書の内容が説得力を持って迫ってくる。
キャスターという仕事 / 国谷裕子 Amazon
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「クローズアップ現代」を降板した著者が、鋭い問題意識を通して番組について綴る。「映像」が最大の情報であるテレビの世界で、複雑な問題や思想を伝えるための「言葉」の力と怖さを指摘。
新聞記者 / 望月衣塑子 Amazon
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著者は、官房長官会見で有名になった東京新聞の記者。子どものころから書き起こして、駆け出し記者時代を経て現在に至るまでを綴る。著者の新聞記者としてのあり方の理由が分かる。
10 一汁一菜でよいという提案 / 土井善晴 Amazon
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著者料理は研究家。夕食は「ご飯と具だくさんのみそ汁」だけでOK。「きちんとした食事はおかずが何品以上」という固定観念へのアンチテーゼ。毎日の料理をする人は、これで気が楽に。

 下位とは言っても、菅野完、国谷裕子、望月衣塑子と並んでいて、上位の方には原発問題もリストアップされているので、一定の傾向が出ていることは否めません。現在の政治・社会のあり方に対する強い危機感が私にはあって、特に新書を手に取る時にその思いが強く影響しています。

 そんな中で、1位の「みみずくは黄昏に飛びたつ」は、政治・社会をテーマにしたものではありません。学生時代から30年以上も読み続けている、村上春樹さんのことをさらに知ることができました。聞き手の川上未映子さんに感謝です。

 こうして並べてみて気が付いたことがあります。本の間に一見では分からない関連性があることです。例えば、3位の「福島第一原発 1号機冷却「失敗の本質」」と、5位の「歴史の愉しみ方」。「歴史の~」で著者の磯田さんは、原発事故を経験して、歴史学の社会への生かし方について考え行動をとられています。

 また、6位の「言葉にできるは武器になる」と、8位の「キャスターという仕事」は、ともに「言葉の力」について書いています。9位の「新聞記者」にも通じます。そして、2位の「スノーデン 日本への警告」とも「報道の自由」というテーマが共通します。ちょっと面白かったです。

勝手に予想!2017本屋大賞




 明日4月11日(火)が本屋大賞の発表日です。今年は10作品がノミネートされていますが、そのうちの8作品を読みました。

 読んだのは「i(アイ)」「暗幕のゲルニカ」「桜風堂ものがたり」「コンビニ人間」「ツバキ文具店」「罪の声」「蜜蜂と遠雷」「夜行」です。読んでいないのは「コーヒーが冷めないうちに」「みかづき」です。

 全部は読んでいないし、これまでいいセンは行くけれど当たったことがないのですが、今年も、私の予想を発表します。

 大賞:「暗幕のゲルニカ」 2位:「蜜蜂と遠雷」 3位:「罪の声」 4位:「桜風堂ものがたり」

 「暗幕のゲルニカ」は、19世紀と21世紀、現実とフィクションが行き来する構成が見事で、とても上質な読み物になっていました。それに加えて「反戦」を象徴した「ゲルニカ」の時代背景や制作意図を取り込むことで得た、今の時代へのメッセージ性を評価して大賞にしました。

 「蜜蜂と遠雷」は、「暗幕のゲルニカ」とどちらにするかすごく迷いました。著者の描写力の高さが発揮されていて、作品としての完成度が抜きんでていると感じました。ただし既に直木賞を受賞しているので、それを追認するのでは書店員さんが選ぶ意味がないのではないかと思いました。実際のところ、直木賞受賞作が本屋大賞を受賞した例は、これまでにはありません。

 「罪の声」は、昭和の大事件をテーマとした作品で、「本当に「こうだったかもしれない」と思わせる読み応えがありました。この作品で山田風太郎賞を受賞していますが、まだデビュー5年ということで、書店員さんが発掘して世に出た、ということになるのではないでしょうか?

 「桜風堂ものがたり」は、売れる本を発掘する才能がある書店員が主人公。同僚たちも書棚づくりに熱意を持って取り組む。まさに「本屋大賞の心」を持った人たちの物語。完成度も高く、心を打つ場面もあり、きっと上位に入ってくるでしょう。

—-2017.4.12 追記—-

 大賞は「蜜蜂と遠雷」に決定しました。2位「みかづき」3位「罪の声」4位「ツバキ文具店」と続きます。3位の「罪の声」が的中しましたが、その他は外れました。直木賞とのダブル受賞は、少し前までは「あるかもしれない」と思っていたのですが、ずっとないので「ないものだ」と思ってしまいました。

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2016年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。小説部門は例年どおり10位まで、ビジネス・ノンフィクション部門は例年は5位までですが、今年は10位まで紹介します。
  (参考:過去のランキング 2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は103作品でした。☆の数は、「☆5つ」が3個、「☆4つ」が49個、「☆3つ」は48個、「☆2つ」が3個。です。
 「☆5つ」が3個あってよかったです。ない年も多くて、そういう年は少しさびしいので。「☆4つ」と「☆3つ」が半数ずつになりました。なんとなくいいバランスかな、と思います。

■小説部門■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
東京會舘とわたし(上)旧館(下)新館 / 辻村深月 Amazon
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皇居の向かいに実在する「東京會舘」が舞台、というか主人公。大正11年の創業後、地震と戦禍をくぐりぬた100年近い歴史を描く。著者自身に重なる部分もある10個の物語。珠玉の名品。
君の名は。Another Side:Earthbound
 / 加納新太
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大ヒット映画「君の名は。」のスピンオフ作品。脇役の4人を主人公として、映画にはないエピソードをつづる。それによって、映画では背景に隠れていた、作品の世界観が明らかになる。
羊と鋼の森 / 宮下奈都 Amazon
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2016年本屋大賞受賞作。北海道の青年がピアノ調律師のとして成長していく物語。「音楽」が聞こえてくるような、読んでいて心地いい文章。そんな「文章の力の可能性」を感じる作品。

 / 東山彰良
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2015年上半期の直木賞受賞作。1970~80年代のエネルギーに溢れる台北の街が舞台。主人公の若者の喧嘩、友情、恋、別離などを描きながら、その祖父の死の謎も追うミステリー。
夜行
 / 森見登美彦
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仲間の一人が失踪した「鞍馬の火祭」の見物、10年後に集まったかつての英会話サークル仲間たちの物語。それぞれが「夜行」という名の銅板画の連作との、不思議な因縁を語る怪異譚。
烏に単は似合わない / 阿部智里 Amazon
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八咫烏の一族が支配する、平安京に似た煌びやかな宮廷が舞台のファンタジーシリーズの第1作。シリーズは現在5作まで出ていて、巻を重ねるごとに物語の奥行きが深まるミステリー。
武士道シックスティーン / 誉田哲也 Amazon
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高校生の「剣道女子」を描く4巻のシリーズの第1作。宮本武蔵を「心の師」と仰ぎ、「五輪書」が愛読書という主人公がぶっ飛んでいる。剣の道を邁進する女子のちょっと不器用な友情物語。
はかぼんさん 空蝉風土記 / さだまさし Amazon
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ノンフィクション系作家が訪れた京都、能登、信州、津軽、四国、長崎、6か所で遭遇した不可思議な出来事をつづる奇譚集。「まっさん」と呼ばれる主人公を、まっさん(さだまさしさん)が描く。
ぼくは明日、昨日のきみとデートする / 七月隆文 Amazon
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「恋愛小説のおすすめランキング」で長く1位をキープ、映画化もされた作品。京都の美大男子の一目ぼれ恋愛物語。この恋愛には実は大きな仕掛けがあって、それがもうほんとうに切ない。
10 ローカル線で行こう! / 真保裕一 Amazon
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宮城県にある赤字ローカル線が舞台。そこに社長として大抜擢された若い女性と、県庁から送り込まれた副社長の男性の奮闘物語。ローカル線の再生は、地域の再生、人の再生でもある。

 今年の第1位「東京會舘とわたし」は、小説ではただ一つの☆5つの作品で文句なく決まりました。レビュー記事で書きましたが、10個の物語それぞれが、珠のように滑らかに優しく光って見えました。いい作品に出会えました。

 2位「君の名は。Another Side:Earthbound」は、映画のヒットがあってこその作品ではあります。しかし、その世界観や人物の背景は、単なるスピンオフの域を越えています。映画を観た人におススメしたくて上位にしました。

 選外の作品について言うと、加納朋子さんの「トオリヌケキンシ」、朝井リョウさんの「星やどりの声」、近藤史恵さんの「スーツケースの半分は」が、心に残りました。深緑野分さんの「戦場のコックたち」、市川憂人さんの「ジェリーフィッシュは凍らない」は、ミステリーとしてとても楽しめました。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
紙つなげ!彼らが本の紙を造っている / 佐々涼子 Amazon
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東日本大震災で壊滅的な被害を受けて完全に機能停止した「日本製紙石巻工場」の復活の記録。紙は私達になくてはならないものだけれど「ある」ことが当たり前すぎて、それに気がつかない。
政府は必ず嘘をつく 増補版 / 堤未果 Amazon
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著者が米国で取材中に何度も言われた言葉、それは「アメリカを見ろ、同じ過ちを犯すな」。9.11後のがれき除去の現場で米政府は「ただちに健康に被害はありません」と言い続けたという。
ドキュメント 戦争広告代理店 / 高木徹 Amazon
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ユーゴスラビアの紛争の際に、ボスニアと契約を結んだ米国のPR企業の「活躍」を記したノンフィクション。力のあるPR会社がついた方が「正義」になる。そんな怖いことが現実になっている。
幻影の時代 マスコミが製造する事実 / D・J・ブーアスティン Amazon
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「ドキュメント 戦争広告代理店」と同種の警鐘を鳴らす本。こちらは50年以上も前に出版された本。にすでに「ニュースの製造」という言葉で、マスコミの恣意的な報道姿勢を指摘していた。
「イスラム国」の内部へ / ユルゲン・トーデンヘーファー Amazon
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ドイツ人ジャーナリストがイスラム国に入り、その内情を伝えた貴重なレポート。危険極まりない行為は「真実を求めるには、常に双方との話し合いが必要になる」という信念に基づいている。
「学力」の経済学 / 中室牧子 Amazon
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「教育経済学」という「教育に関する施策の効果をデータを使って測る」学問の書。教育に関する様々な疑問を、「個人の体験」や「思い込み」を排除して、教育経済学の手法によって検証する
コンセプトのつくり方 / 山田壮夫 Amazon
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データを基にした「客観的・論理的思考」では辿りつかない「正解のない」課題の解決のための、主観的な経験や直感までも駆使する「身体的思考」。その方法論、トレーニング法を解説。
ネット炎上の研究 / 田中辰雄 山口真一 Amazon
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「ネットの炎上」を計量経済学の手法を用いて解き明かしたレポート。「炎上事件に書き込んでいるのはインターネットユーザの0.5%」「直接当事者を攻撃するのは10万人に数人と算出。
ぼくらの民主主義なんだぜ / 高橋源一郎 Amazon
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あまり意識する必要のなかった「民主主義」を、意識しなくてはいけないような時勢の中で出た本。朝日新聞の月一回掲載の「論壇時評」をまとめたもの。絶望的な状況に抗う言葉の数々。
10 あの日 / 小保方晴子 Amazon
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「STAP細胞」騒動の渦中の人物である小保方晴子さんの手記。あくまでも小保方さんが主張する「事実」で、真偽のほどは不明。でも、メディアが伝えていないことがたくさん書かれている。

 例年は5位までなのですが、今年は5つに絞り込むのがたいへん難しく、10位までとしました。それだけ今年は小説以外の本で、良い作品にたくさん巡り合ったということだと思います。☆5つの作品が2つあるのも初めてのことです。

 1位の「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」は、震災の被害から立ち直ったことに、私たち勇気付けられる作品です。しかしこの本の本当の価値は、日常に当たり前に存在しているものにも「それを作る人がいて流通を担う人がいる」、ということに気付かせてくれることだと思います。

 2位から5位と9位は、今の社会情勢への不安感、少しでもそれを解明したいと思って読んだものです。そういう意味では今年は、そういった社会情勢へと私の関心が向かった年でもあったようです。来年は明るいニュースが増えればいいと切に願います。

 10位「あの日」は、発売当初から批判の多い本です。真偽さえ分からない本を選定することに抵抗はありました。しかし5位の「「イスラム国」の内部へ」にもあるように、真実は両方の話を聞かないと分かりません。また、そのような機会は非常に少なく、今回はその貴重な機会だと思いました。その意味では選外ですが「捏造の科学者 STAP細胞事件」も併せて読むといいと思います。

レビュー記事が1000本になりました。

1000 先日の「君の膵臓をたべたい」の記事で、このブログのレビュー記事が1000本になりました。2002年の9月に書いた「海底二万海里」が1本目で、それから13年と9カ月、続けていればちょっとした財産ができるものだなと、我ながら感心しています。そして、いろいろなことに感謝です。

 2年前にレビュー記事が800本になった時にもやりましたが、ちょっと分析してみました。

 評価は☆5が23、☆4が431、☆3が500、☆2が41、☆1が2でした(評価しなかったのが3)。☆3がちょうど半分の500で一番多いですが、800本の時は半分以上あったので、最近は少し傾向が変わってきています。私としても少し積極的に評価を付けていこうと思ってやっています。☆5は約2%。厳選された作品です。

 カテゴリーは小説が279、ファンタジーが194、ミステリーが172、その他が109、経済・実用が99、ノンフィクションが90、エッセイが31、オピニオンが22、雑誌が4です。上位3つは物語でこれで約65%、基本的に娯楽としての読書ですね。

 ただ、これも800本の時より割合が下がって、他のジャンルのものを読むことが増えています。特に、政治や社会への関心が高まる出来事が多いためか、さまざまな人の意見や提言を読むことが多く、それを「オピニオン」というカテゴリーを作ってまとめました。

 1000本になったら記念に何か作ろうと思っていました。ちなみに10周年の時には、レビュー記事のマップを作りました(「本読みな暮らし」マップ(FLASH版)(画像版))。

 今回はこんな大がかりなものを作る気力体力がありませんが(そもそもFLASHは動かない端末が増えているし)、前からあればいいなと思っていた、☆の数別の記事一覧を作りました。ご興味があるようでしたら、右のサイドバーもしくは、このリンクからどうぞ

 最後に。いつも言っていることですが、こうして本が読めるのは、暮らしに大きな支障がないからです。そのことは本当にありがたく思っています。その幸せを感じつつ、これからもレビュー記事を積み重ねていきたいと思います。

あけましておめでとうございます。

 皆さん、あけましておめでとうございます。

 昨年は、このブログで102作品を紹介しました。これで2010年から6年連続で100作品超えとなりました。暮らしが安定しているからこそ本が読めるわけで、本が読める幸せに感謝しています。

 このブログでは昨年の7月に、記事数が1000本になりました。今年は、紹介作品数が1000作品になる予定です。現在956作品ですので、あと44作品、順調に行けば6月には1000作品目のレビュー記事を書けることになります。それまでは這ってでも続けるつもりです(笑)。

 今年は本当に穏やかな気候の正月を迎えました。スキー場などでは困惑しているようですが、日々の暮らしは楽で助かります。今年1年、日本が、また世界が、この気候のように穏やかであることを祈っています。

 それでは、今年が、皆さんにとって良い年でありますように。