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犬がいた季節

著 者:伊吹有喜
出版社:双葉社
出版日:2020年10月18日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品.

 「そうそう、あの頃はそうだった」と思った本。

 舞台は三重県四日市市にある八稜高校、県内有数の進学校。物語の主人公は、その学校の昭和63年度、平成3年度、6年度、9年度、平成11年度のそれぞれの年の卒業生。そしてもう一匹、その間に学校で飼われていた犬。

 犬の名前はコーシローという。昭和63年の夏休み明けに学校に来た。美術部の無口な生徒、早瀬光司郎の席にちょこんと座っていたところを、生徒に見つけられた。「コーシロー、お前、ずいぶん小さくなっちゃって」と、盛り上がって、コーシローと名付けられ、曲折を経て学校で飼うことになった。

 物語は、2,3年ごとに卒業生の一人を主人公として描き、その様子をコーシローの視点から見た、コーシローの気持ちを交えながら進む。主人公たちは高校3年生であるから進路のこと、そして家庭のこと、友達のこと、恋愛のこと、多くの悩みや葛藤を抱えていて、それが時には瑞々しく、時には張り詰めた緊張感をもって描かれる。

 読み終わってとても満ち足りた気持ちになった。年代の違う5つの物語が並んでいるのだけれど、同時1つの切ないストーリーが進んでいる。そしてコーシローは鼻がいい。恋する人の匂いが分かったりする。本人たちが口にしない、時にはそれと気づいていない気持ちまで、コーシローには分かる。言葉が話せればアドバイスもできるが、犬の身ではそれも叶わない。

 もうひとつ、本書の楽しみを。物語の年を明らかにして、その時々のトピックが描きこまれていることで、その時代の自分を思うことになる。昭和63年はソウルオリンピック、BOØWYの解散、平成の始まり。平成3年はF1日本グランプリ、ジュリアナ東京、平成6年は翌1月の阪神・淡路大震災..。昔を思いながら高校生の物語を読んでいると、この物語の始まりより何年か前の、自分の高校生の時のことまで思い出した。

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52ヘルツのクジラたち

著 者:町田そのこ
出版社:中央公論新社
出版日:2020年4月25日 初版 7月5日 4版 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。

 子どもがつらい目に会う話が苦手なので、読むのがつらかったのだけれど、読んでよかったと思った本。

 主人公は三島貴瑚、26歳。友人たちの誰にも言わずに東京から大分の小さな海辺の町に引っ越してきた。携帯電話も解約して。周辺の住人の間では「東京から逃げてきた風俗嬢でヤクザに追われている」という噂が立っている。

 貴瑚が、ある雨の日に出会った中学生の濡れそぼった体は、やけに薄汚れていた。ここで別れてはいけない気がして家に連れて帰ったその子の、肋骨の浮いた痩せた体には、模様のように痣が散っていた。それは貴瑚が見慣れた色だった..。

 物語は、貴瑚がこの中学生と関わることで、一旦は自ら手放した「人と関わること」を取り戻していく様を描く。貴瑚が抱える過去はとても重いものだ。「人と関わること」を手放すに至る事情も重い。この中学生の境遇も負けず劣らず重い。この物語の大半が重い空気に包まれている。

 かなりヘビーな本だった。読むのがつらくて途中で本を閉じてしまいたくなる。それでも最後には明かりが見える。ひどい人間がたくさん出てくるけれど、善良で力強い人も闇を照らす明かりのよう登場する。壮絶な人生を送ってきたけれど、それでも貴瑚は人に恵まれた方なのだろう。読者もそのことで救われる。

 最後にタイトル「52ヘルツのクジラたち」について。クジラは海中で歌を歌うように、鳴き声を出して仲間に呼びかける。その音の周波数はだいたい10~39ヘルツ。しかし52ヘルツのクジラの鳴き声が実際に定期的に検出されているそうだ。その声は、広大な海の中で誰にも受け止めてもらえない。「世界でもっとも孤独なクジラ」と呼ばれている。

 この本は、そのクジラと同じように「受け止めてもらえない声を発している」人たち、そして「その声を受け止めた」人たちを描いた物語。

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この本を盗む者は

著 者:深緑野分
出版社:角川書店
出版日:2020年10月8日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)

 本屋大賞ノミネート作品。

 エンタテインメント性があって、連続ドラマにしたら面白そうだと思った本。

 主人公は御倉深冬、高校1年生。読長町という町に住んでいる。読長町では深倉家は名士。深冬の曽祖父の深倉嘉市が、全国に名の知れた書物の蒐集家で、その蔵書を収めた地上2階地下2階の巨大な書庫である「御倉館」が、町の真ん中に建ち、名所となっていた。

 御倉館の蔵書はかつては公開されていたけれど、稀覯本200冊の盗難事件を機に、嘉市の娘のたまきが閉鎖し、建物のあらゆる場所に警報装置を付けて、御倉一族以外の立ち入りを禁じた。そして、たまきの死後ある噂が流れた。「たまきが仕込んだ警報装置は普通のものだけではない」という噂だ。

 一族と言っても、深冬と、深冬の父のあゆむと、叔母のひるね、の3人しかいない(親類はいるらしいけれど疎遠にしている)。叔母のひるねは、その名の通りに寝てばっかりで生活能力がない。あゆむが事故で入院してしまい、御倉館の管理とひるねの世話が、深冬の役割となった。

 深冬が御倉館に行くと、ひるねは案の定寝ていた。その手には何やら護符のようで、書いてある文字を深冬が読み上げると...。なんだかとんでもないことが起こった。雪のように真っ白な髪の少女が現れるし、外に出ると見慣れた街の様子が変で、なんと真珠の雨が降っている。

 ここまで50ページ。意外な展開だった。これまでに読んだ著者の作品は「戦場のコックたち」「ベルリンは晴れているか」と、外国を舞台としたリアリティのあるものだったけれど、本書は主人公が異世界に紛れ込むファンタジーだ。主人公が、異世界での課題をクリアしないと、元には戻らない。一種のミステリーの要素もある。

 森見登美彦さんが帯に言葉を寄せているけれど、本をめぐる謎があること、気が付くと異世界に入り込んでいることなど、「熱帯」と共通点がいくつかあるかも?と思った。

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2020年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。小説部門、ビジネス・ノンフィクション部門ともに10位まで紹介します。このランキングも今年で12年目。干支がひと回り。生まれた赤ちゃんが小学校を卒業するまでの時間です。
  (参考:過去のランキング 2019年2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は101作品でした。☆の数は、「☆5つ」が4個、「☆4つ」が55個、「☆3つ」は38個、「☆2つ」が4個、です。
 「☆5つ」「☆2つ」の一番上と下の評価は昨年と同じ数で、「☆4つ」は一つ多く「☆3つ」は2つ少なくなりました。毎年同じような数に落ち着くのが不思議です。今年は感染症のせいで落ち着かない年になってしまいましたが、私の読書は「例年並み」をキープできました。ありがたいことです。

■小説部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
1 熱源 / 川越宗一 Amazon
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明治から昭和にかけての北海道、サハリンなどの北の大地を舞台に、樺太出身のアイヌら複数の半生を描く群像劇。「私は何者か?」を問うテーマの訴求力と、実話を基にした物語の構成力に圧倒される。
2 書店ガール3 託された一冊 / 碧野圭 Amazon
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書店員の女性2人が主人公のシリーズ第3巻。そのうちの1人がエリア・マネージャーに昇格し、仙台の書店も担当に。物語の背景に東日本大震災があり、「あの時自分は」と「あれから自分は」を考えさせる。
3 満天のゴール / 藤岡陽子 Amazon
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10歳の息子を連れて実家に帰ってきた女性が主人公。廃屋が点在する寂れた土地で、地域で唯一の総合病院がなんとか支えている地域医療に携わることになった。そこで出会った人々やその人生を描く。
4 天上の葦(上)(下) / 太田愛 Amazon
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物語の発端は渋谷の駅前のスクランブル交差点。信号が変わって無人であるべきその真ん中で、青空を指さして老人が絶命した。大きくは「権力と民主主義」をテーマとした緊迫感に満ちたミステリー。
5 少年と犬 / 馳星周 Amazon
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日本の各地の様々な人々を描く6編の連作短編。すべてに1頭の犬が登場する。犬が出会う人々は決まって問題を抱えている。犬だからセリフはない、ほとんど吠えもしない。でもその存在感は圧倒的。
6 常設展示室 / 原田マハ Amazon
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人生の岐路に立つ人々を描いた6編の短編集。どの短編にも世界各地の美術館で常設展示されている、著名な絵画が登場する。その絵画に絡めて、人生や家族に関わる機微をシャープにしかし優しく描く。
7 線は、僕を描く / 砥上裕將 Amazon
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水墨画の大家に弟子入りすることになった大学生が主人公。その水墨画修行を描く。実は主人公には水墨画に向かう「必然」とも言える事情があった。「紙に一本の線を引く」ことの意味を考える物語。
8 いつかの岸辺に跳ねていく / 加納朋子 Amazon
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生まれた時からの幼馴染の男女が主人公。でも恋とか愛とかとは無縁。とは言ってもやっぱりお互い意識して、という甘酸っぱい話だと思ったら、後半はキリキリと引き絞るような緊張感が漂う展開に。
9 マチネの終わりに / 平野啓一郎 Amazon
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天才ギタリストの男性と通信社の記者の女性の物語。物語の始めには38歳と40歳。女性には婚約者がいた。それでも互いの思いは募る。ドロドロしがちな大人の恋愛を美しく描いたラブストーリー。
10 イマジン? / 有川ひろ Amazon
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連続ドラマの制作アルバイトとして働く若者を主人公に、映像制作の現場を描く。監督、スタッフ、キャストが個性的な面々で、爽快なエンターテインメントになっている。社会への問題提起もある。

 今年の第1位の「熱源」は、北海道と樺太、果ては南極と極寒の地を舞台としているのに、とても熱量を感じる壮大な作品でした。この作品と5位の「少年と犬」は、ともに直木賞受賞作です。私と直木賞は相性がいいようです。

 第2位の「書店ガール3」は、書店を舞台としたシリーズものの第3巻です。2人の女性の書店員が生き生きと描かれている人気シリーズですが、本作はこれまでより飛び抜けて心に残りました。東日本大震災が背景に描かれています。あの震災は多くの作家さんに大きな影響を与えたようです。

 第3位「満天のゴール」は、地域医療の現場を描いた作品です。病院まで車で1時間とか2時間とかかかる集落にお年寄りが住んでいる。私事で恐縮ですが、私の父は私がこの本を読んだ2か月後に亡くなりました。読んでいる時は他人事とは思えず身につまされました。

 選外の作品として、 小野不由美さん「白銀の墟 玄の月」、阿部智里さん「楽園の烏」の、2つの人気ファンタジーシリーズの最新刊、恩田陸さん「祝祭と予感」、原田マハさん「キネマの神様」が候補になりました。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
1 あいちトリエンナーレ「展示中止」事件 / 岡本有佳 アライ=ヒロユキ Amazon
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「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」が展示中止を強いられた事件の克明な記録。「表現の自由を侵す側」対「守る側」という分かりやすい対立構造ではなかったことが分かる。
2 ほんとうのリーダーのみつけかた / 梨木香歩 Amazon
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著者が、2015年当時の社会情勢に危機感を抱いて、若者に送ったメッセージ。それは「社会などの群れに所属する前に、個人として存在すること。盲目的に相手に自分を明け渡さず、自分で考えること」
3 精神科医・安克昌さんが遺したもの / 河村直哉 Amazon
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阪神大震災において、精神科救護所・避難所などで、カウンセリング・診療などを行った医師の記録。震災時だけでなく「その後」の生き方も含めて。心の傷と癒しについて大切なことを教えてくれる。
4 13坪の本屋の奇跡 / 木村元彦 Amazon
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1冊の本を3ケタを優に超える売り上げを出す、大阪の「町の本屋」を追ったノンフィクション。「町の本屋」の苦境のウラには、私たちが知らない書籍流通の悪弊があった。その解消のための闘いの記録。
5 ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー / ブレイディみかこ Amazon
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英国在住の日本人の著者によるエッセイ集。父が英国の白人、母が東洋人というアイデンティティを持った英国の中学生の暮らしを生き生きと描く。英国のことを読みながら、日本のことを考えさせられる。
6 日本の文化をデジタル世界に伝える / 永﨑研宣 Amazon
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日本の文化に関する紙の資料を、デジタルの世界で情報として流通させることの考察。デジタルアーカイブの事業について、考え方から実践・評価まで幅広く、かつ要点を抑えてコンパクトに収めた本。
7 汚れた桜 「桜を見る会」疑惑に迫った49日 / 毎日新聞「桜を見る会」取材班 Amazon
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うやむやのままに忘れられそうになっていた「桜を見る会」疑惑についての詳細なレポート。「明恵夫人の推薦枠」「前夜祭の明細書」「招待者名簿の破棄」などの様々な疑惑を記録し論点を整理している。
8 新聞記者・桐生悠々忖度ニッポンを「嗤う」 / 黒崎正己 Amazon
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満州事変後に世論が軍部支持の一色だったころに、新聞の社説で「関東防空演習」の無意味さ嗤ってみせた記者「桐生悠々」について書いた本。90年前と現代を重ねて、現代の危機と教訓を浮かび上がらせる。
9 女性のいない民主主義 / 前田健太郎 Amazon
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日本では圧倒的に男性の手に政治権力が集中している。それはなぜなのか?それなのに日本が民主主義の国とされている。それはなぜなのか?という問題意識から、ジェンダーを視点にして社会を見直した本。
10 となりの難民 / 織田朝日 Amazon
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突然に収容が決まる。弁護士もつかず身一つで収容される。持病の薬も持ち込めない。期限が決まっていない。在留資格のない外国人「非正規滞在者」を収容する「外国人収容施設」の実態を伝えるレポート。

 第1位の「あいちトリエンナーレ「展示中止」事件」は、報道をなんとなく見ているだけでは分からない、「事件の真相」を垣間見ることができました。「分かりやすい構図」が示されても、そういう時こそ気をつけないといけません。

 さらに4位の「13坪の本屋の奇跡」や10位の「となりの難民」には、おそらくほとんど報道されていない事実が書かれていました。私たちの国や社会は、私たちから見えないところで別の顔を見せているようです。

 第2位の「ほんとうのリーダーのみつけかた」、第7位の「汚れた桜 「桜を見る会」疑惑に迫った49日帝国の慰安婦」、第8位「新聞記者・桐生悠々忖度ニッポンを「嗤う」」は、安倍政権下の日本の社会に危機感を感じた本です。政権は変わりましたが状況がよくなったとは言えません。

 第3位の「精神科医・安克昌さんが遺したもの」は、神戸で生まれ育った私には特別の意味がありました。著者は新聞社の記者だそうですが、よくぞこれだけ取材し原稿を書き、そして一旦は封印したものを出版してくれました。

 選外の作品として、岩田健太郎さんの「新型コロナウイルスの真実 」、内田樹さんの「サル化する世界」、永松茂久さんの「人は話し方が9割」が候補になりました。

不平等と再分配の経済学

著 者:トマ・ピケティ 訳:尾上修悟
出版社:明石書店
出版日:2020年2月28日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 分量を目算して軽い気持ちで手を出したら、読むのがけっこうたいへんだった本。

 著者のトマ・ピケティさんはフランスの経済学者で、数年前に「21世紀の資本」という著書が世界的なベストセラーになって、日本でも知られるようになった。その本は、注釈を含めて700ページを超える大書で、告白すると、私は読み通すことができなかった。本書は200ページあまりで「これならば...」と思って読んでみた。

 本書のテーマは、「不平等」と「再分配」によるその解消。

 本書で扱う「不平等」は大きく2つで、「資本」と「労働」の間の不平等と、「労働所得」の不平等。前者は、機械や設備などの「資本を持つ資本家」と「労働力を提供する労働者」の間の不平等。後者は、高賃金の労働者と低賃金の労働者の間の所得の不平等だ。

そして「再分配」も2つ。「直接的」再分配と「財政的」再分配。前者は、不平等で劣位にある労働者や低賃金の労働者の「賃金を増やす」方法で、後者は、一旦課税によって資本家や高賃金の労働者から徴収して、それを劣位にある労働者に分配する方法。

 本書は、この2つの「不平等」のそれぞれについて、どちらの「再分配」が望ましいのかを、国別のマクロな統計を駆使して検討する。

 ページ数に比して読むのに時間のかかる本だった。元の文章がそうなのか、訳文がそうなのか(「訳者解題」を読むと両方の可能性がある)、複雑な構造の文章で、理解するのに集中を要する。

 「このような~」「これらの~」と、前の段落を受けての深堀りが繰り返されるのはまだしも、「しかし...ところが...」と「逆接の逆接」があったり、けっこう長い論説の最後に、「しかしこのことが...実現されるとは考えられない」と否定してみたり。(関西人なら「考えられへんのか~い!」とツッコむと思う)

 最後に、本書のテーマとは別に感じたことを。統計による国際比較をしているのだけれど、英国や米国(著者は「アングロ・サクソン諸国」と称している)と、フランスではずいぶん様子が違い、ドイツもまた違う(日本にはほとんど触れられない)。日本語に訳される海外の経済書は、おそらく圧倒的に米国(か英国)のものだと思う。国によってこうも違うのであれば、この偏重は問題だと思った。

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デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳

著 者:メアリアン・ウルフ 訳:大田直子
出版社:インターシフト
出版日:2020年2月20日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本は9割は紙で読む私としては、「これでよかったのだ」と思えた本。

 本書は、紙の本を読むこととデジタル媒体を読むことを比較して論じる。曰く「紙の本では「深い読み」ができるけれど、デジタル媒体では「キーワード読み」になってしまう」。これは実感としてある。少なくとも私にはある。

 それと同時に、この話はこれまでも度々話題になっていて、別に目新しいことではない、とも思う。人によっては「新しいものを否定しているだけで、しばらくすればそんなことを言う人はいなくなるんじゃない?」と言いそうだ。

 しかし本書はそう言って切り捨ててしまうには惜しい。紙の本の「深い読み」のプロセスを深く掘り下げてあるし、デジタル媒体の「キーワード読み」は、批判の対象としてではなく中立な立場で考察してある。そして「文字を読む」ことに関して様々に話題を広げた後で、未来を担う子どもたちの「読字」の教育への提言に至る。

 つまり、深さと広さと時間軸の長さにおいて、類を見ない構成になっている。新しい知見も多いし、新しいものを否定しているだけでもない。「切り捨ててしまうには惜しい」と言ったのは、そうした理由からだ。

 ごく粗くまとめた内容を2つ。ます「深い読み」のプロセスについて。物語を丁寧に読むことで、登場人物が「感じる」ことと「する」ことの両方に対応する脳の領域が活性化する。他人の感情や感覚をシミュレーションとして体験するわけだ。一方で「深い読み」には、自身の体験と照らし合わせる背景知識が必要で、シミュレーションとしての体験はその背景知識となり、「深い読み」にさらに磨きがかかる。

 次は「子どもたちの教育への提言」。紙とデジタル媒体のそれぞれに適した読み方を習得しする。必要に応じて切り替える、というもの。複数の言語を切り替えて使える「バイリンガル」のように、「バイリテラシー」の脳を育てる(その一部は著者によって既に実行済みだ)。

 最後に。文中に「読字脳」という言葉が頻繁に登場する。日本語で「読字」という単語は、私が知る限りほとんどの場合「障害」と一緒に使われる。「読字障害」。ディスレクシアという疾患の症状。ディスレクシアは著者の研究領域でもあり、お子さんが抱える疾患でもある。

 脳の研究は、ある機能が失われた脳を調べることで進んできた。何かがなくなることで、初めてその機能の仕組みが明らかになるわけだ。「「読む」ができない」から「「読む」とはどういうことか」を考察する著者の研究は、正鵠を射たものかもしれない。

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書店ガール2 最強のふたり

著 者:碧野圭
出版社:PHP研究所
出版日:2013年4月1日 第1版第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 重労働で大変なお仕事だとは知っているけれど、書店員っていい職業だなぁと思った本。

 「書店ガール」の続編。主人公は前作と同じで西岡理子と小幡亜紀の2人。舞台も書店であることは同じだけれど、店は変わっている。前作で二人が勤めていた「ペガサス書房吉祥寺店」は、理子と亜紀ら店員の奮闘にも関わらず閉店となり、半年後にオープンした「新興堂書店吉祥寺店」に移っている。理子はスカウトされた形で店長に、亜紀は文芸書担当の正社員として採用された。

 理子は42歳。亜紀は29歳。前作では衝突の絶えなかった二人だけれど、本書ではいい関係が築けている。理子は亜紀を信頼しているし、亜紀は理子を尊敬している。勤め先の書店が大型書店チェーンになって労働環境が良くなったこと、亜紀が仕掛けた本が評判となって本屋大賞を受賞するなど、文芸書担当としての書店員として認められ充実していることも、二人の関係にいい影響を与えているのだろう。

 物語の初めの方で亜紀の妊娠が分かる。そのことで夫の保守的な面が顕わになる。「子供が三歳になるまでは母親の手で育てた方がいいっていうのは、常識だろ」とか言うのだ。亜紀は亜紀で「いずれは子供をと思ってはいたけれど、もうちょっと後がよかったな」というのが本音。業界的な繋がりも広がりつつあり、仕事が面白くて仕方ない時期で、ここで半年、一年休んでしまったら..という不安がある。

 この亜紀の妊娠や夫との関係を折々に描きながら、物語は多くのテーマを取り込みながら進む。書店業界全体の停滞。大型書店と中小の書店の間の齟齬と協調。言葉狩りのような言論空間の閉塞と不寛容。そんな中で協力し味方になってくれる仲間の有難さ。出版に携わる者の喜び。そして理子の恋愛模様まで。

 面白かった。ほぼ一気読み。ストーリーの本筋からは少し離れているのだけれど、心に残った場面がある。物語の中にいろいろな書店が「五十年後にも残したい本」を選ぶ、というところ。私はその書名を興味津々で追った。「あの本が選ばれてる!」とか思いながら。

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空気を読む脳

著 者:中野信子
出版社:講談社
出版日:2020年3月1日 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 日本では他の国に比べて、新型コロナウイルス感染症に「感染する人は自業自得だ」と思う人が多い理由が分かる、と聞いて読んだ本。

 日本人が「激しいバッシングが止まらないのはなぜか」「失敗を恐れるのはどうしてか」「幸福度が低いわけは?」といったテーマを、遺伝子特性や脳科学を切り口に語る。また「容姿や性へのペナルティ」と題して、性別や性に関する調査研究を紹介。

 「バッシング」についての考察が心に残ったので、そのことを紹介する。

 本書の最初に語られるのが「最後通牒ゲーム」という実験について。ゲームは2人で行われる。一方の人(A)が資金の配分権を持つ。自分にどれだけ多く配分してもいい。ただし、もう一方の人(B)は拒否権を持ち、それを発動すると双方の取り分がゼロになる。Bは例え1円でも配分があれば、拒否権を発動しない方が取り分が多い。

 それでも拒否権は発動される。自分が損してでも不公平な配分をしたAを懲らしめるためだ。そして拒否権を発動する率が高い人は、脳にあるセロトニントランスポーターという物質の密度が低い。さらに日本人は、その量が世界でも一番少ない部類に入る。「悪いヤツを懲らしめる」傾向が強い集団なのだ

 ネットで他人を追い込むような激しいバッシングが起きるのは、日本人のこの傾向が関係しているという仮説。加えてバッシングすることは、自分が正義の側にいることを確認する行為で、脳はさらなる報酬を得る。つまり「快感」なのだ。さらに日本は、大きな災害が相次いだことで「絆」(集団の結束)をより重視する社会にシフトしている。暗澹たる思いがするけれど、これじゃ「バッシング」がなくなりそうもない。

 最初の「感染する人は自業自得だ」について。セロトニンは「安心感」をもたらす神経伝達物質で、それが少ない日本人は単純化していうと「不安」傾向が強い。「感染した人には何かをちゃんとやらなかったんだ」と思うことで、その「不安」に対処している、と考えることができる。なるほど、うまく説明できる。

 「おわりに」が印象的だった。著者のこれまでの曲折や苦悩が垣間見える。

 そんなに快感なの?「それ」は?

という言葉を起点に語られる文書は、書籍のあとがきの範疇を越えて、告白あるいは告発のようだ。「それ」によって、人々は知能のスイッチが切られ、思考停止してしまう。著者は「それ」が理解できない。大多数の人はオートマチックに「それ」を運用できるらしいのに..

 「それ」が何かは、本書のタイトルにある「空気を読む」が有力候補だろう。でも敢えて最後まで「それ」と書いたのは、意味があるのだろうと思う。例えばもっと掴みどころのないものを指しているのだとか。

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勝手に予想!2020本屋大賞

 明後日4月7日(火)に本屋大賞が発表されます。10作品がノミネートされていて、今年はそのすべての作品を読むことができました。

 その10作品は「線は、僕を描く」「店長がバカすぎて」「夏物語」「熱源」「ノースライト」「むかしむかしあるところに、死体がありました。」「ムゲンのi」「medium霊媒探偵城塚翡翠」「ライオンのおやつ」「流浪の月」です。

 何度も予想して一度も大賞が当たったことがないのですが、懲りずに今年も、私の予想を発表します。

 大賞:「熱源」 2位:「流浪の月」 3位:「線は、僕を描く」 4位:「ノースライト」

 「熱源」は、明治から昭和初期にかけての、樺太のアイヌや祖国を失ったポーランド人らの群像劇で、「自分は何者か?」を問う骨太の群像劇です。正直にって他の作品とは一線を画す秀作だと思います。直木賞も受賞していることが気がかりですが、過去にもダブル受賞の例があるので。

 「流浪の月」は、幼児誘拐事件と、その被害者の「その後」を描いた作品です。事件があると、私たちは分かりやすい説明を求めます。本書は、その世間が納得しやすい分かりやすい説明と事実のギャップを浮き彫りにしたものです。

 「線は、僕を描く」は、著名な水墨画家に弟子入りした大学生の物語です。白い画仙紙に墨だけで描く水墨画の世界が、主人公自身の境遇や成長とともに、魅力的かつユーモラスに描かれています。先輩たち登場人物も魅力的でした。

 「ノースライト」は、一級建築士を主人公とした一家失踪事件を追うミステリーを入口にした、様々な要素が縦横に絡む人間ドラマです。入口から予想したものとはずい分違うところに着地して、心地よく裏切られました。

 最後に少し苦言を呈します。ノミネート10作品に「子どものころの出来事のトラウマ」を扱う作品が多いのです。

 主人公に関して、目前で肉親が殺される作品が2つ、両親の突然の死で心に傷を負う作品が1つ、性的虐待を受ける作品が1つ。主人公が父親に叩かれ、別の登場人物が性的虐待を受けている作品が1つ。つまり半数の5作品が「トラウマ」を描いている。(残りの5作品でも、子どものころの父の死がストーリーに絡む作品が1つ、両親が亡くなっている作品が1つ。)

 本屋大賞は、個々の書店員さんの投票によってノミネート作品が決まりますから、総体としての意思があるわけではありませんが、「書店員はトラウマがそんなに好きなのか?」と思わずにいられませんでした。

—-2020.4.7 追記—-

 大賞は「流浪の月」2位「ライオンのおやつ」3位「線は、僕を描く」4位「ノースライト」で5位が「熱源」でした。私の予想の大賞は5位だけれど、2位が大賞、3位と4位は的中です。かなりいいセンいったんじゃないでしょうか。

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2019年の「今年読んだ本ランキング」を作りました。

 恒例となった「今年読んだ本のランキング」を作りました。小説部門、ビジネス・ノンフィクション部門ともに10位まで紹介します。このランキングも今年で11年目。新しい10年の最初の年ととして、新たな気持ちで向き合いたいと思っています。
  (参考:過去のランキング 2018年2017年2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年2009年2008年

 今年このブログで紹介した本は102作品でした。☆の数は、「☆5つ」が4個、「☆4つ」が54個、「☆3つ」は40個、「☆2つ」が4個、です。
 「☆5つ」「☆4つ」は昨年より1つずつ多く、「☆3つ」「☆2つ」は昨年と同じ数です。特に意図していないのに、毎年同じような数に落ち着くのが不思議です。今年も読書を楽しめました。

■小説部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
美しき愚かものたちのタブロー / 原田マハ Amazon
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傑出した美術コレクションである「松方コレクション」にまつわる物語。コレクションを遺した松方幸次郎その人と、そのアドバイザーを務めた美術史家を中心に「日本に美術館を創る」という強い想いを描く。
傲慢と善良 / 辻村深月 Amazon
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婚約者が突然失踪した39歳の男性が主人公。婚約者はストーカー被害にあっていた。主人公は失踪との関係と彼女の行方を調べるために彼女の出身地の群馬に。その過程で彼女と自分との間の溝が浮き彫りになる。
宝島 / 真藤順丈 Amazon
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返還前の沖縄の20年間を、アメリカ軍の倉庫から資材や食料などを盗み出してくる「戦果アギヤー」たちの目で描く。冒頭から主人公たちが疾走していて、そのままの勢いで物語が奔流のように流れる。
鹿の王 水底の橋 / 上橋菜穂子 Amazon
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医療を主なテーマにしたファンタジー。先進的な医療技術と、宗教を根本とした医術。2つを対峙させて「医療とはどうあるべきか?」を、民族の存亡、愛する人への想い、などのテーマとともに重層的に描く。
彼女は頭が悪いから / 姫野カオルコ Amazon
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2016年に起きた「東大生強制わいせつ事件」に着想を得たフィクション。後に加害者と被害者になる男女を主人公に、それぞれの「青春」を描き、そして「事件」が起きる。様々な意味で物議をかもした問題作。
愛なき世界 / 三浦しをん Amazon
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洋食屋の店員の男性が、T大理学部の大学院生の女性に恋をした、でも彼女は「植物の研究にすべてを捧げる」と決めている、という物語。影響を与え合う2人や、他のキャラクターのエピソードがとても心地いい。
テミスの休息 / 藤岡陽子 Amazon
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個人事務所を開いた弁護士の男性と、その弁護士事務所の事務員の女性の物語。事務所で受けた相談の経過を語りながら、2人のこととそれぞれのことを描く。「信頼できる人と一緒にいる」ことの安らかさを感じる。
さざなみのよる / 木皿泉 Amazon
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富士山の近くで生まれ、20代で東京に出て、故郷に戻って43歳で亡くなった女性。生前に関係のあった人々が主人公の14話の連作短編。それぞれの話から浮かび上がる女性はとてもチャーミングな人だった。
下町ロケット ヤタガラス / 池井戸潤 Amazon
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「下町ロケット」シリーズの第4作。前作「下町ロケット ゴースト」と一体の物語。日本の農業を救うかもしれない「無人農業ロボット」の開発を軸に、「何のための技術開発か?」という根源的なテーマを描く。
10 ベルリンは晴れているか / 深緑野分 Amazon
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第二次世界大戦終戦直後のドイツ、ベルリンが舞台。主人公は17歳のドイツ人の少女。ソ連の秘密警察から殺人の疑いのある人物を探すように命じられる。場面の描写が詳細で映像を見たように光景が浮かぶ。

 今年の第1位「美しき愚かものたちのタブロー」の原田マハさんは、一昨年は「暗幕のゲルニカ」で5位に、昨年は(10年以上前の作品ですが)「カフーを待ちわびて」で2位。すっかり私の好きな作家さんになりました。

 第2位の「傲慢と善良」は、予想外の展開に翻弄されましたが、最後にはしっかり着地しました。「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」と似た二部構成がそれを可能にしていると思います。ただ「予想外」と思うのは男性だけで、女性なら最初から分かる、という意見もあります。

 第3位「宝島」は、直木賞受賞作。返還前の沖縄を「内側から描いた」作品です。私たちが接する沖縄の情報は、本土からさらに言えば東京から、つまり外側から描かれたものですが、内側の視点では違うものが見えているのだろうなぁ、と思いました。

 選外の作品として、 門井慶喜さん「銀河鉄道の父」、夏川草介さん「新章 神様のカルテ」、伊坂幸太郎さん「クジラアタマの王様」が候補になりました。

■ビジネス・ノンフィクション部門■

順位 タイトル/著者/ひとこと Amazonリンク
武器としての世論調査 / 三春充希 Amazon
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世論調査をはじめとする政治に関する様々な調査データを、自然科学のデータ処理の方法を活かして、精緻に分析した本。「内閣支持率が実感と違う」と思う、私の違和感の理由がこれで晴れました。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) / ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング Amazon
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世界の様々な事実を、私たちがどれだけ誤認しているかを知らせてくれる。報道で知る「世界」は、センセーショナルな方向への偏りがあって、多くの人が悲観的に捉えている。そのことを知る必要があると思いました。
戦争の記憶 コロンビア大学特別講義-学生との対話- / キャロル・グラック Amazon
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第二次世界大戦を各国の人がどう記憶しているのか?をテーマとした、日本、中国、韓国、アメリカ、カナダ、インドネシアの学生との対話を収録。各国で「自国に都合が良い記憶」が政治に利用されていることが分かります。
帝国の慰安婦 / 朴裕河 Amazon
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いわゆる「慰安婦問題」について、感情や政治的立場を排して、事実に忠実にあろうと努めた報告書。日韓の間はもちろん、国内でも主張が対立しているけれど、どの主張も問題を不用意に「単純化」していると分かります。
「決め方」の経済学 「みんなの意見のまとめ方」を科学する / 坂井豊貴 Amazon
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多数決は人々の意思をまとめて集団としての決定を与えるのに適しているのか?という問いに答えた本。多数決は二択の投票以外には向いていない、もっと優れた決め方がいくつもある、ことが分かります。
命に国境はない 紛争地イラクで考える戦争と平和 / 高遠菜穂子 Amazon
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著者は2004年の「イラク日本人人質事件」の人質の一人。今もイラクで人道支援をしています。イラクの現状と日本やアメリカの見え方を、現地に身を置いて伝える。私たちが知っていることとは、まったく違いました。
PTAのトリセツ~保護者と校長の奮闘記~ / 今関明子 福本靖 Amazon
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神戸市の中学校で実際に成し遂げた「PTA改革」の報告。ネガティブな文脈で語られることの多く、不要論まで言われるPTAについて、「ではどうすればいいのか?」という答えがここにあります。
絵を見る技術 / 秋田麻早子 Amazon
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「名画をちゃんと見られるようになりたい」という人のために、絵画の見方を「絵画の構造」の視点から説明。「バランスがいいな」と感じるのはどうしてか?を言葉にできます。この次に美術展に行くのが楽しみになりました。
物語と歩いてきた道 / 上橋菜穂子 Amazon
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著者が30歳から53歳までの間に書いたエッセイ、インタビュー、スピーチを14編収録した本。物語作品に比べると長くは残らない文章を、「足跡」として集めることで、著者が辿って来たくねくね道が浮かび上がります。
10 55歳からの時間管理術 「折り返し後」の生き方のコツ / 齋藤孝 Amazon
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「無理がきかなくなる」「社会的な立ち位置に変化がある(暇になる)」のが、だいたい55歳ぐらい。そうなったときに時間をどう使えばいいのか?人生100年時代の後半生の「コツ」や「心構え」を指南してくれる。

 第1位「武器としての世論調査」、第5位「「決め方」の経済学」は、どちらも選挙制度に関わる作品です。ここ何回かの国政選挙の結果に大きな違和感を私が感じていて、その気持ちがこれらの本を読むきっかけになりました。違和感の原因が相当程度明らかになりました。

 第3位「戦争の記憶」、第4位「帝国の慰安婦」、第6位「命に国境はない」は、どれも「戦争」に関する本です。そして「戦争の記憶」で主テーマになっている「それぞれに都合の良い記憶」のことが書かれています。それは、第2位「FACTFULNESS(ファクトフルネス」に、さらには第9位「物語と歩いてきた道」に書かれた「他社への理解」にまで通じています。

 選外の作品として、広野郁子さんの「「60点女子」最強論 」、伊藤羊一さんの「1分で話せ」、朽木ゆり子さんの「消えたフェルメール」が候補になりました。