著 者:リー・ソーズビー 訳:柘植めぐみ
出版社:アスキー
出版日:2008年3月14日初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
銀竜の騎士団シリーズの第2弾。前作の「大魔法使いとゴブリン王」のレビューでは、「大人が読んでも読みごたえがあるという類のものではない」という意地悪なコメントを付けた。無粋なことを..と断ってではあるが、「ムリな展開」「構造が単純」などと、ホントに無粋なことを書いている。
本書は、いくらか読ませるものになっている。詳しく紹介するわけにはいかないけれども、物語の背景が、最後になるまで明かされない謎として存在している。読者をミスリードする仕掛けもある。つまり、構造が単純ではなくなった。こうなると、多少のムリな展開もあまり気にならなくなるから不思議だ。
登場人物は前作と同じ、前作で晴れて伝説の「銀竜の騎士団」に任命された3人、魔法使いの弟子ケラック、弟のドリスコル、盗賊の娘モイラが主人公だ。年に1度の「プロミスの祭り」の日が近づき、衛兵が2人行方不明になる。そして大人たちの様子が変だ、何だかボーっとして、心ここにあらずの感じ。ケラックの師匠の大魔法使いでさえ、いつもと様子が違う。
モイラの父の具合が特に悪く、それを助けようとして探りを入れていくと、どうも誰かがこの街の支配を目論んでいるらしい。例によって、大人は頼りにならないので、子どもたちで事件の解決に乗り出す。
繰り返しになるが、今回はいくらか読ませるものになっている。読みながら「前よりいいじゃん!作者も少し腕をあげたかな」なんて偉そうなことを思っていたら、訳者にによるあとがきで、真相(そんな大げさなもんじゃないけれど)が明らかになった。
何と本書は前作と作者が違うのだ。米国では2年間に12冊も出版されていて、1人の作家ではこのペースは実現しえないので、キャラクターや世界観を設定して何人もの作家が分担して書いているのだそうだ。別の言い方をすれば、このシリーズは、次々と新しい作品を提供するという企画の「商品」だったのだ。
ということは、3作目はまた違ったテイストの物語が楽しめる、と言える一方、1作目より2作目が良かったから3作目はさらに良くなるだろう、とは言えないわけだ。作家で本を選ぶ傾向のある私としては、ちょっと悩ましい。
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>キャラクターや世界観を設定して何人もの作家が分担して書いている
私も設定ではなく作家を好きで本を選ぶので手を出すには勇気が要りそうですが、
なかなか面白そうですね。「Shared world」という用語まであるのに驚きました。
そういえば、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を下敷きにした連作
「ファンタージエン」が、同じように色々な人によって書かれていて、
前から気になっていたのを思い出しました(文庫化しないかな…と。笑)
liquidfishさん、コメントありがとうございます。
「Shared world」なんて用語まであるんですね。
企画としては面白いかもしれませんね。
同じキャラクターと設定で、私が好きな作家さんたち
(右のサイドバーのカテゴリー欄にあるような)が、
それぞれ作品を書いたら…ワクワクしますね。
「ファンタージエン」私も気になっています。
何度か手に取ってもいますが、読まずにいます。
なんか本自体がちょっと大きい感じがするのですが
気のせいでしょうか?
ねにもつタイプ
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