著 者:伊坂幸太郎
出版社:新潮社
出版日:2005年5月1日発行 2008年12月5日30刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
様々な文学賞を受賞し、「ゴールデンスランバー」で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞(直木賞は選考対象となることを辞退したそうだ)した人気作家である著者の、出版作品としてはデビュー作に続く2冊目。本書は無冠だが、著者が注目されるきっかけになった作品だという。
複雑かつ精巧に張り巡らされた伏線が著者の作品の特長なのだが、デビュー2作目の本書にして、その特長はすでに他の作家には見られないような、特異なものとなっている。ストーリーは、精神科医、泥棒、リストラされた元デザイナー、新興宗教の信者である青年、画家などを主人公とした、複数の物語が並行して進行する。
この構成だけで伏線好きな私は、物語の絡み合いを予感してワクワクしてしまった。もちろん予感は的中し、コインロッカーのカギや犬、音楽や銃声といったアイテムを介して別々の物語がつながっていく。登場人物同士のニアミスも起きる。
これだけでも十分にエンタテイメントな作品だが、著者はさらに様々な仕掛けを施していて、最後までそれとは分からない接点や、完全に騙すためだけの思わせぶりな構成もある。多くの読者が読み終わってから「あぁ、そうだったのかぁ」という感想を持ち、その内の何割かは、物語を正確に理解しようとバラバラのエピソードを組み立て直そうとするだろう。現に検索してみると、エピソードを時系列に並べようと試みたサイトがたくさん見つかる。
頂点と謳っている「ゴールデンスランバー」に比べれば見劣りしてしまうのだが、そういう言い方はあまりに酷だ。伊坂作品を1冊でも読んだ方はもちろん、まだだという方にもおススメする。伊坂作品の特長が良く出ていると思う。だた1つだけ、死体に対する嫌悪感が強い方はご用心を。
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ラッシュライフ (新潮文庫)
書評リンク – ラッシュライフ (新潮文庫)
こんにちは~。
ブログにコメントくださり、ありがとうございました。
こういう、バラバラに見えていたものがひとつにつながっていくような話、大好きです。
映像にしたらすぐわかってしまうような、小説ならではのつながりみたいなものもあって、面白いですよね。
『容疑者Xの献身』文春文庫
映画を観終わって、これは原作も読まなくては、と本屋さんに駆け込んで買った本。個人的には、映画が好き。とはいっても、映画では『技師』などを映像でうまく表現しなければいけないし、登場人物の心理描写なんかも、俳優さんが仕草や表情で示さなくてはいけない。小説では、風景などを丁寧な描写で読者に頭の中で映像を再生させないといけない。だから、どちらが良いとか、そういうのはないんだろうなあ。伊坂さんが好きな私には、東野さんの文章が分かりやすいがために、少々つまらなく感じてしまったのかもしれない。★★★☆☆…
cherryさん、コメントありがとうございます。
映像にしたらすぐわかってしまう、というところは
確かにありますよね。顔を見て「この人、確かあそこにいた人だ」
みたいなことが起きてしまう。
今後ともよろしくお願いします。
YO-SHIさん、こんにちは。
ブログへのコメントありがとうございました。
本当にごく最近ラッシュライフ読まれたんですね!
ランキングを見ると、スカイクロラも入っているし好みが合いそうでね。
他にランクインしている本も読んでみたいと思います。
あ。図書館戦争もわりと好きですが、まだ別冊2は読んでいないのでビターなのを心しておきます。
tomocoさん、コメントありがとうございました。
tomocoさんのブログの本の紹介を見ていると、
確かに好みが合いそうですね。
伊坂幸太郎と、スカイ・クロラと図書館戦争、
どれも、私のストライクゾーンです。
別冊2を読まれたら、感想を教えてくださいね。
コメントありがとうございます。
今、完璧にこの作者にハマっていまして
今日は、「重力ピエロ」読んでいます。
なかなかはずれが無い 作品ばかりで
読み応え充分です。
はしごさん、コメントありがとうございます。
伊坂幸太郎さんは、他の作品も読みたいと思わせる
作家さんですね。確かに。
私も、今のところは作品によって差はあるけれども
ハズレはないですね。
「重力ピエロ」も読み終わられたら、是非感想を
聞かせてくださいね。
ラッシュライフ / 伊坂幸太郎
ここのところ、忙しくてまともに本を読む時間がとれない。そんな中、手にとってしまったのがこの本。これだけ複雑にからみあう話を細切れで読むはめになろうとは…(-_-、)
でも、やっぱり伊坂節炸裂!初期作品なんだけど、いい味が出ているというか、土台はこの頃からしっ……
YO-SHIさん こんにちは。
本の内容もすごいと思ったのですが、
この話は、伊坂さんに騙されちゃいけないぞ!という覚悟で読みました(笑)
ただ、まとめ読みができなかったので、気付いていない伏線があるかも…。
それにしても、この構成楽しめますね。
たかこさん、コメントありがとうございます。
たかこさんのブログでも書かれていますが、初期作品のこのころから
土台はしっかりできていた、ということが分かりますね。
伊坂さんの作品をいくつか読んでいる方なら、著者名を伏せていても
(登場人物が他の作品と共通していなくても)これは伊坂作品なんじゃ
ないかと分かるぐらい特長がハッキリ現れています。
騙されちゃいけないぞ!って思ってても騙されちゃいますよね。