流星の絆

書影

著 者:東野圭吾
出版社:講談社
出版日:2008年3月5日第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 東野圭吾さんの近刊。図書館で予約して半年あまり待った。その間にTBS系列でドラマ化されたのだけれど見なかった。先に原作で読みたかったので。最近のテレビは小説やコミックの「原作もの」が多いですが、出版されて半年でテレビドラマ、というのは早すぎないか?と思う。

 主人公は、功一、泰輔、静奈の兄弟妹。物語は、幼い彼らが家を抜け出すシーンから始まる。ペルセウス座流星群を見ようと、両親には内緒で出かけようとしているのだ。このエピソードがタイトルにつながっている。そしてその夜、彼らの両親は何者かに殺害される。
 その後、大人になった彼らは、危ない橋も渡るけれど寄り添うように生きていく。そんな時、両親の殺害犯と思われる人物を、泰輔が見かけたことが、3人の運命の歯車を回す。そして、徐々にその人物を追い詰めていく。

 まぁ、テレビで放送されたのでストーリーはご存じの方も多いだろう。テレビの方はどんな展開だったのか知らないのだけれど、本の方は意外なぐらい素直に物語は進む。思いもかけないことは起こらない。最後の20ページまでは。
 本書は、この最後の20ページのためにあるような本だ。それまでの抑えた調子は、この最後の部分を際立たせるためだったのだろう。しかし、「抑えた調子」とはいえ、退屈はしない。常に「何か起きるかもしれない」と思わせる緊張感が常に漂っている。そういう意味では著者の巧さも際立っている。
 最後にひとこと。私はちょっと前にエラリー・クィーンを読んだせいもあって、常に誰が犯人かを考えてしまったが、本書は推理小説ではないので、読者は「犯人探し」をしないで、ストーリーを楽しむのがいい。その方が楽しめると思う。

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15つのコメントが “流星の絆”にありました

  1. □□ 本のこと あれこれ □□

    『流星の絆』よどみない会話とストーリー

    年末に一気に堪能いたしました
    くたびれて、床暖房にうっぷして寝てしまい
    ふと目覚めるなり、また読み始めるという…(なにやってんだか
    流星の絆/東野 圭吾
    印象的だったのは、会話が多いのですが
    不自然さがない。
    ストーリーもよどみない、という…

  2. チャウ子

    こんばんは。
    また、お邪魔致します。

    「流星の絆」も好きな作品です。
    東野作品はミステリーですがどこかに救いがあって好きです。
    「流星の絆」も兄弟愛を絡めながら、ミステリーの要素もありと、
    いろんな味わいが楽しめると思いました( ^ω^ )

  3. YO-SHI

    チャウ子さん、コメントありがとうございます。

    東野圭吾さんの作品はたぶん全部読んでいるという
    チャウ子さんが「好きな作品」とおっしゃるのだから
    本書は秀作なのでしょうね。

    あの兄弟は、功一が頼りがいのある兄だからか、
    結束が感じられます。決してほめられる生き方を
    していませんが、なぜか幸せになって欲しい、
    と思わせますね。
     

  4. chibee

    こんにちは。また来ました。
    「流星の絆」私も読みました。東野圭吾さんの人気はすごいですよね。私も、新作が出たと知った時点で、すぐに図書館に予約を入れるのですが、なかなか回ってきません。東野圭吾さんの本は、ほとんど読んでいると思うのですが、ハードカバーで購入するほどのファンではないので、いつも図書館利用なのです。なのでいつも読むのが遅れてしまいます。
    あと、「流星の絆」では、犯人が分かったときには、私はちょっと拍子抜けしました。犯人探しするお話じゃあないですね。ではまた。

  5. まどか

    このレビューを書くのは本当に難しかった・・・。
    仰るとおりミステリーを期待するとハズレますよね。
    私が東野圭吾を好きな理由は、これでもか、これでもかと
    ひとつのテーマをとことん追求するところ(しかも綺麗ごとがないところ)なので、
    この作品はちょっと物足りない感じもしました。
    しかし、全体的な完成度は高いし、色々な要素のバランスもいいので、
    東野さんをあまり読んだことがない方に是非お勧めしたいです!
    三兄妹の絆は美しかったですね~。静奈が羨ましいです。

    ドラマは全部見ました。
    最初は抵抗ありましたが、徐々にハマってしまいました。

  6. YO-SHI

    chibeeさん、コメントありがとうございます。

    私が利用している図書館でも、書棚に東野圭吾さんのプレート
    だけで本が1冊もない、なんてこともあるぐらいの人気です。
    この本は、犯人が分かった時は確かにちょっと微妙でしたね。

    —-

    まどかさん、コメントありがとうございます。

    おっしゃるとおり、完成度というかバランスの良い作品ですね。
    東野作品2冊目にしてこんなことを言うと、叱られそうですが、
    少し小さめにまとまった感じを受けました。

    ドラマが始まったころには、良くない評判も多く聞きましたが
    しばらくしてそういう声は治まったように思います。
    DVD-BOXが出るそうですから、機会があれば見たいと思います。
     

  7. チャウ子

    おはようございます。

    チャウ子です。

    先日ちょっと舌足らずの感があったので。

    「流星の絆」はもちろん好きなのですが、私は東野作品で
    これはイマイチだなと思った作品が2作品しかないのです
    (タイトルはもちろん書けませんが^^;)。

    「流星の絆」が東野作品の中で上位か?と言われると
    いえいえもっといい作品がありますよ!
    ということで、他の作品も是非読んでみて下さい。

  8. YO-SHI

    チャウ子さん、再びありがとうございます。

    あぁ、やっぱりそういう意味だったんですね。
    正直に告白すると、本書は「中の上」から「上の下」
    ぐらいに思ったので。
    いや、面白かったし楽しみました。これは、誤解の
    ないように言っておきますが。
    でも、期待はもっと面白い作品なので。もちろん
    他の作品も読みます。
     

  9. ぷぅちゃん☆

    図書館のほうはうんと予約待ちなので、邪道ですが本屋で立ち読みしました。
    あるブロガーの方が、「あの展開はフツーしない」とか「たかだかあんな金額で犯罪をおかさない」とやたら否定的だったので、おもいっきり反論してしまったことがあります。
    あの話は、本当に大事なものはなんだい?と問いかけている話だったと思うのです、けっして推理小説ではないんですよ。だからもっと素直に・・というか、こころで読んで欲しいなあと思いました。
    ちなみにドラマですが、そうですね、ちょっと・・ 脚本家の個性が多分に出てしまってはいます(汗) また違ったテイストでお楽しみいただけるかと思います

  10. YO-SHI

    ぷぅちゃん☆さん、コメントありがとうございます。

    何かを認めるよりも、欠点を指摘する方が頭がいいとかカッコいい
    と思っている(本人は意識していなくても)人というのが、私の周り
    にも何人もいます。そのブロガーさんも、そういった傾向のある人
    なのかもしれませんね。

    私がやっている書評という行為は、批評であって批判ではないの
    ですが、欠点探しの誘惑は常にあります。そこは意識して、そう
    ならないようにしています。

    ところで「あんな金額で..」という部分については、年末に
    連続して起きたタクシー運転手の殺傷事件のように、数万円の
    ために人を殺める事件もあり、全くあたらないのですけれどね。
     

  11. たかこの記憶領域

    流星の絆 / 東野圭吾

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    面白かった!一気に読みきった。
    泣けるような深みのある話ではないけれど、先へ先へと読み続けたくなってとまらない。どうやらドラマにもなるらしい。かなり面…….

  12. たかこ

    YO-SHIさん こんにちは。

    東野圭吾作品、人気ですよね。図書館でもいつもではらっていて、1冊もない状態です。私はドラマの前に読んだので、ドラマも見てました~。

    この作品は、いつもの東野圭吾さんほどは…と思いましたが、犯人さがしではなく、兄弟の絆で読ませてくれたなぁ、と思いました。
    私もお兄さん欲しい☆って思ったり…。

  13. YO-SHI

    たかこさん、コメントありがとうございます。

    突然売れた作品数の少ない作家さんならともかく、作品数もかなり多い
    東野圭吾さんの本が、品薄状態(図書館でもこう言うのでしょうか?)
    なのは、それだけ長くたくさん借りられている、ということで、スゴイ
    ことだと思います。

    功一はほんとうに良い兄さんでした。思いやりと責任感があって、
    頼りがいもある。こんなにパーフェクトではないとしても、
    私の兄も頼れる良い兄でした(過去形はマズイか)。私も大人になって、
    さすがに最近は頼ることもほとんどなくなりましたが。
     

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