著 者:キース・ソーヤー 訳:金子宣子
出版社:ダイヤモンド社
出版日:2009年3月5日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
図書館の新刊棚にあった本書を、タイトルに魅かれて手に取り、読んでみることにした。凡才でも天才に勝てる、となれば少しはいい気分になれそうな気がしたのだ。つまり、私が凡才だということの何よりの証だ。
著者は創造性やイノベーションの科学分析が専門の大学教授でジャズピアニストでもある。本書は、米国で2007年のイノベーションやマネジメント関連のビジネス書の賞をいくつか受賞している。
著者が本書で主張したいことはこうだ。「イノベーション(革新)は、多くの人々の協力の積み重ねによって実現される」。裏返して言えば「1人の天才の閃きが画期的な出来事を生みだした、というストーリーは魅力的だが事実ではない」ということだ。
このために、ライト兄弟の飛行機の発明から始まり、モールス信号や進化論、「指輪物語」などの文学作品やピカソらの絵画と、1人の天才の名前と結びつけられている発明や創造の数々を取り上げる。実はこれらは全部、天才1人の閃きによるものではなく、多くの人々のコラボレーションの結果なのだと言うわけだ。
この「天才の閃きが~」という論の否定が余りに執拗な気がした。しかし、最後の1節になってやっと著者の意向がわかった。「天才の神話」を信じることは、私たちの創造性を減殺することにつながるのだ。詳しくは本書を読んでもらいたいが、だからこそ「天才の神話」の影にあるコラボレーションの真実を知る必要がある。納得。
それから、後半には「コラボレーションを促進する組織への10の秘訣」やイノベーションを実現したコラボレーションの例など、大きな組織から小規模なグループにまで役立つ話が多くある。米国でビジネス書の賞を受賞したのは、この部分が評価されたのだろう。
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(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
こんにちは!お邪魔いたします。この本、すっごく気になりました。
タイトルから読みたい気分になりますね。
そして、YO-SHIさんの書評でますます読みたくなりました。
>天才1人の閃きによるものではなく、多くの人々のコラボレーションの結果
なんだか、勇気づけられる言葉です。チェックします!
(ふらふらなコメントですみません<(_ _)>)
ジーナフウガさん、コメントありがとうございます。
この本の原題は「Group genius」とシンプルなんです。
「集団による天才(的な偉業)」とでもいう意味でしょうか。
書いてあることを端的に表しているのは原題の方で、邦題は
ちょっとズレている気がしないでもないですが、本を手に
取らせるインパクトは邦題の方が上ですね。
ふらっとよってみました。月4~5冊くらいしか読みませんが、レヴュー冒頭分でなんだか心の奥がざわめいたので参考に書店で色々探してみようかと思います。
ぽちり。
tigさん、コメントありがとうございます。
冒頭部分のどの部分でしょう?凡才でも天才に勝てる
ってところでしょうか?それとも、ミュージシャンの
tigさんだから、ジャズピアニストってところでしょうか。
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いだだけるとうれしいです。