著 者:フィリップ・リーヴ 訳:井辻朱美
出版社:東京創元社
出版日:2009年4月30日 初版
評 価:☆☆☆(説明)
「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。
アーサー王物語はあまりにも有名。名剣エクスカリバー、魔術師マーリン、円卓の騎士などなど。5世紀初めにローマがブリテン島から撤退した後、サクソン人の侵入などによる混乱を治めた伝説の王だ。聖杯伝説などと結びついて、様々な物語が生み出されているが、大筋において英明な王として描かれている。(例えば、サトクリフのアーサー王物語)
しかし本書は、それらの英明なアーサー王物語とは趣を異にする。少なくとも私はこのような描かれ方のアーサー王を知らなかった。著者はあとがきで「これによって「アーサー王の実像」を描き出すつもりもなかった。」と書いているが、わざわざこう書くのはこの物語が「アーサー王の実像」に見えてしまうからだ。
本書の主人公はアーサーではない。主人公はアーサーの軍勢の末端にいる少女グウィナ。グウィナは戦乱の中でアーサーに近しい吟遊詩人のミルディンに拾われたみなしごだ。彼女が、自分の体験や聞き知ったことを綴る形で、その背景に軍勢の首領であるアーサーの姿が映し出される。
ミルディンは戦乱を治めて平和を築くためには、1人の強い覇者が必要だと考え、その役割をアーサーに与えようと考えている。そのために吟遊詩人として、大幅な脚色や嘘によって作られたアーサーの英明な勲しを国中に広める。人々はミルディンが語る物語を受け入れる。人は信じたいと思うものを信じるからだ。(それが語り継がれて、私たちが知る伝説となるのだ。)
登場人物の多くが、アーサー王物語の登場人物と相関している。ミルディンはマーリン、妃のグウェニファーはグィネヴィア、アーサーの兄のカイはケイ、甥のペドウィルはランスロットか?それぞれ伝説とは少し違う形でその役回りを演じる。
すでに知っているアーサー王物語を思い描いて読むと面食らうが、物語としてはよくできている。2008年の英国図書館協会が贈る児童文学賞であるカーネギー賞受賞というから、英国人もちょっと異色のこんなアーサー王物語を受け入れたわけだ。
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アーサー王ここに眠る
「ここにアーサー王眠る。かっての王にして、来るべき王」(アーサー王墓碑銘)
アーサー王は、イギリスの伝説に近い物語に出てくる英雄である。我が国でも、アーサー王の物語に登場してくる神剣エクスカリバーや円卓の騎士などは聞いたことのある人は多いだろうと思…….
私は本好きがこうじて古書組合に入会してみました。
相互リンクをしていただけたら有り難いです。
東読のきもと屋
きもと屋さん、コメントありがとうございます。
本の仕入れのために古書組合に入られた行動力は素晴らしいです。
本の面白い話題や感想などがあれば、教えてもらいたいです。
相互リンクの件ですが、誠に申し訳ないのですが、リンクは
「読書・書評」かお友達のブログに限らせていただいています。
ご期待に添えませんが悪しからずご了承ください。
こんばんは(^^ゞ
「本カフェ」の方から飛んで来ました♪
アーサー王といえば、「二人のアーサー」とか「コンウォールの聖杯」「マーリン」が
思いつくのですが、こちらも面白そうですね!
でも、実は私「アーサー王」もきちんと読んでいなかったりして^^;
先ずは「アーサー王」から読まなきゃ~と改めて思いました。
ねこのてさん、コメントありがとうございました。
「アーサー王物語」っていうのは、英雄のアーサーと
その人を取り巻く騎士たちを主人公にした、複数の伝承と
創作が集まったもののようですね。
その中で昔からある有名な物語は、それをモチーフに
さらにオリジナルストーリーが作られるみたいです。
私は、サトクリフの本を読んで、次にトールキンのを
読んだら「あれ?これ読んだことある」と思いました。
どちらも元は有名な「緑の騎士」の話だったんですね。
YO-SHIさん初めまして、猫祭りといいます。
私は、この物語で、伝説とはこうやって作られるのか~と興味深く読みました。
アーサー王の物語には明るくない私にも、すごく楽しめました。
私の拙筆なブログにYO-SHIさんからコメント頂けてすごく嬉しかったです。
早速YO-SHIさんのブログにお邪魔させて頂きました。
わ~本が沢山!!素晴らしいです。
本達の道先案内をして下さるYO-SHIさんのブログに訪ねる事が出来てとても嬉しいです。
次はどの物語を読もうかな~(^v^)
YO-SHIさんの書庫をゆっくり閲覧させて頂きますね♪。
はじめまして、FORESTRと申します。
拙ブログへのコメントありがとうございました。
私はアーサー王伝説をほとんど知らないで本書を読みましたが
いろいろと知っている方が読むと、
伝説との違いなどにも着目できて
より面白そうですね!
猫祭りさん、コメントありがとうございました。
アーサー王伝説を知っている人もそうでない人も、それぞれに
楽しめるようになっている物語だったと思います。
>YO-SHIさんの書庫をゆっくり閲覧させて頂きますね♪。
どうぞどうぞ。激しい乱読ですが、これが幸いして、
お好みにあう本が少しは見つかると思います。もし、読まれた
本があれば、感想などを書いてくださると、うれしいです。
—-
FORESTRさん、コメントありがとうございます。
上の猫祭りさんへのコメントにも書きましたが、アーサー王
伝説をよく知らなくてもこの本は楽しめるようになってますね。
ただ、おっしゃるように少しでも知っていると「あぁ、ここは
あの話のことだな」なんて考えながら読むことができます。
ご興味があれば、少し正統派アーサー王伝説も読まれると
面白いかもしれませんね。
「アーサー王ここに眠る」フィリップ・リーヴ
[amazon] 紀元500年頃。ブリテン島南部で、アーサーことアルトリアス・…
YO-SHIさん、こんにちは。
コメントがいっぱい!
新しく入られたというSNSのお友達でしょうか。
この作品、まさかこんなに現実味のある作品とは思ってなくて…
羽住都さんの表紙からも、てっきりもっとファンタジックなお話かと…(笑)
びっくりしました。でも面白かったですね。
アーサー王伝説をこんな風に逆手に取ってくれると
なんだか、読みながらにやにやしてしまいます~。
それに、ああ、やっぱり私は物語が好きなんだな、と
そんな当たり前のことを再確認した読書になりました。
四季さん、コメントありがとうございます。
そうそう、表紙と「アーサー王ここに眠る」っていう
タイトルからはこういう話だとは思いませんよね。
私は、もっと線の細いアーサーを思い浮かべていました。
「熊」なんかじゃなくて(笑)。
コメントをくださっているのは、どちらかと言えば、
SNSのお友達でない方が多いかな。
このブログの記事は、SNSの日記にも読み込まれるように
なっていて、SNSのお友達はそっちにコメントをつけて
下さる方もいらっしゃるので。
もしよかったら、四季さんもどうですか?
歓迎してもらえると思いますよ。