著 者:ロイド・アリグザンダー 訳:宮下嶺夫
出版社:評論社
出版日:2008年11月30日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
ユーモラスな登場人物、友情、成長、「そうだったんだ」という驚き、児童文学として子どもが楽しめそうなのはもちろん、大人も楽しめる。著者は、本書の出版社である評論社から、1970年代以降少なくない数の作品が出版されている。それでも私を含め馴染みがない場合は、劇団四季の「人間になりたがった猫」の原作者と言えば「ああそうなのか」と思う人もいるかもしれない。
舞台はウェストマークという架空の王国。主人公は、印刷工見習のテオ。時の宰相カバルスはいわゆる独裁者で、文筆活動だけでなく印刷所までを弾圧し、テオがいる印刷工場も、警察の襲撃を受けてテオ自身はお尋ね者になってしまう。
その後、口を開けばウソばかりのラス・ボンバス伯爵(伯爵というのもウソ)や、みなしご少女のミックル、革命家のフロリアンらと出会い。そして自分や国の「あるべき姿」のあり方について悩みながらも成長していく。
脇役ながらラス・ボンバス伯爵が良い味を出している。どうしょうもないウソつきだけれども、ウソつきは悪人とは限らないし、ウソつきは信用できないとも限らない(普通は信用できないけれど)のだ。
上に書いた通り、テオはこの国の「あるべき姿」について考える。それは難しい問いだ。革命家のフロリアンが目指すものはテオのそれとは違う。敵役のカバルスを倒せばみんなハッピー、というわかりやすい話ではない。「大人も楽しめる」とは「大人も悩む」ということでもある。
本書は、「ウェストマーク戦記」3部作の1冊目。この1冊で紆余曲折を経て、役者たちが落ち着くところへ落ち着いた、というところだ。個性の際立った登場人物たちが、これからの2冊でどんな物語を紡ぎだしてくれるのか楽しみだ。
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アガレスト戦記 ZERO
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面白そうですね♪
どこかで聞いたことがあるな~と思ったら、「タラン」シリーズの方だったのですね^^;
図書館には入っていたのですが、読んでいませんでした。
けっこう、読み漏らした本があるな~と痛感しきりです^^;
ねこのてさん、コメントありがとうございました。
「タラン」シリーズというのを知らなかったので、
今、検索して調べたんですが「プリデイン物語」って
やつですね。
そういえば、どこかで著者紹介に書いてありました。
著者の代表作だって。
読んでみようかなぁ、どうしようかな?