14歳からの世界金融危機。

書影

著 者:池上彰
出版社:マガジンハウス
出版日:2009年3月23日 第3刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 最近は、「簡単」で「すぐ読める」本がバカ売れすることがあり(「1Q84」はこれに当たらないが)、あらすじで名作を読もうという本まである。私はこうしたお手軽な本には、否定的な感想を持っていた。簡単にしたことで重要なものが抜け落ちて、それがないと物事は全然違って見えるかもしれないからだ。
 そこへ来て本書は「45分でわかる!」と銘打ったシリーズの1番手。さらに、先日本書の著者による本書をベースにしたと思われる、「池上彰のやさしい経済教室」なる記事が朝日新聞に載っていた。45分でわかる本をさらに要約して2500字前後、まぁ5分ぐらいで読めるようにしたわけだ。なんてお手軽志向なんだろう。

 それで新聞の記事を読んで思ったことが2つ。1つ目は、やっぱりこれでは物事を単純化しすぎなのではないか、ということ。「サブプライムローン」の破たんの原因が「信用力の低い人に貸したこと」としか書かれていない。
 2つ目は、私が知らないことが書いてある、ということ。まぁ、全てのことを知っていると驕るつもりは毛頭ないが、それでも、「グローバル恐慌」も読んだし、新聞も結構読む方だし、毎晩ニュースも見るし、5分で読める解説の内容ぐらいは知っていると思っていた(これだって充分に驕りだったわけだ)。

 前置きが長くなったが、本書を読んだ感想。100ページに満たない薄~い本だけれど、45分の時間をかける価値は充分にあると思う。もちろん2500字が100ページ弱に増えても、単純化の弊害からは免れてはいない。しかし、1つ1つを短く説明することでより多くのことが書けているし、それらを関連付けて説明することに成功している。簡潔に書くことで、逆に新聞やニュースでは見えなかったことやつながりが見えてくるのだ。
 本書は、少し前にブログ友達のさーにんさんが教えてくれたものだが、その時には「物語とは違って、説明は分かりやすく簡単にすることはとても大切」などと答えていた。今も改めて同じことを思う。

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5つのコメントが “14歳からの世界金融危機。”にありました

  1. チャウ子

    私もお手軽志向にどちらかと言えば否定的です。
    ただ、一般大衆向けの本に関して言えばわかりやすいというのは大事ではないかなぁと思います。
    特に経済や金融の本なんかは特に(^_^;)

  2. YO-SHI

    チャウ子さん、コメントありがとうございます。

    経済や金融については、おっしゃる通りに分かりやすいことは
    大事ですね。特に今は、「100年に1度の経済危機」なんて
    言われて、経済や金融に興味を持った人も多いと思うので、
    この際に、まずはお手軽に勉強もいいかもしれないですね。
     

  3. tig

    はじめまして。実はと言ってアレですが、書籍購入の際にはレビューを参考にさせて頂いております。

    以前から小説レビューに特化したブログを模索しておりまして、事後報告ではありますが勝手にLINK張らせていただきました。

    相変わらず雑多な内容のブログですので、不適切であれば削除いたしますのが今回は大目に見てやってください(笑)

    よろしくです!

  4. YO-SHI

    tigさん、コメントありがとうございました。

    1か月ぐらい前にもコメントいただいてますよ。
    tigさんのブログのプロフィール写真が
    印象的で覚えていました。(笑)

    リンクの件、了解しました。
    これからもよろしくお願いします。
     

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