著 者:伊坂幸太郎
出版社:祥伝社
出版日:2006年5月20日 初版第1刷発行 6月10日 第6刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
「陽気なギャングが地球を回す」の続編。あの銀行強盗の4人組が帰ってきた。演説(内容はまったくない)の達人 響野、人間ウソ発見器 成瀬、動物を愛する天才スリ 久遠、精密体内時計を持つ天才ドライバー 雪子。
今回の物語は、成瀬の職場である市役所から始まる。定年退職したばかりの男性から「最近、町に変な奴がうろついている」という訴えが持ち込まれる。これが発端となって4人は、大がかりな犯罪組織と事件に巻き込まれる。
全部で4章からなる内の第1章は、4人がそれぞれ別々の事件に遭遇して、持ち前の才能を生かして一応の解決を見る。「あぁ今回はこういう趣向なのね」と、短編集なのかと思っていた。「それはそれで面白そうじゃん」とも思った。
ところが、第1章は前ふりで、第2章以降に起きる様々な事件に、あるものは緊密に別のものは緩やかに絡んでくる。響野が経営する喫茶店「ロマン」で交わされる、空疎で上っすべりな会話も、後になって意味を持ってくる。巧みな伏線が特長の伊坂作品の魅力が今回も生きている。
最初私が短編集だと思ったのもムリはなく、第1章は2004年から2005年にかけて月刊誌「小説NON」に載った4つの短編を改稿したものだそうだ。以降の描き下ろし部分につなげるために「大掛かりな」改稿をしたそうなので、月刊誌の読者も第1章から読んだ方がいい。もっと言えば、「陽気なギャングが地球を回す」のエピソードが関連する部分もあるので、1作目から順番に読んだ方がいいと思う。
この後は書評ではなく、この本を読んで思ったことを書いています。お付き合いいただける方はどうぞ。
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本の本筋とは関係ないんですが、冒頭の市役所のシーンにニヤニヤしました。役所に苦情を言いにくる人は「役所を啓発に来る」方が多いそうです。私は役所関連の施設で仕事をしているんですが、確かにそんな感じの苦情は多いです。
ある時には、電話に出た途端に「電話の出方が暗い!何度言ったらわかるんだ!」と怒鳴られてしまいました。「何度言ったらって、あなたの電話を取るの初めてなんですけれど」という言葉を飲み込んでいるうちに、「もう1回やり直し!」と言って切られてしまいました。未だに「もう1回」の機会がありませんが、どうなったのでしょうか。
また、先日雑誌で「企業悩ます2007年問題」という記事を読みました。一般的に2007年問題というのは、技術やノウハウのある団塊の世代が大量に退職することで、事業に支障が出ることを言います。
しかし、この記事はそれではなく、退職して時間があるこの世代の人が、さかんに企業に苦情を入れて消費者対策窓口を困らせている、というもの。退職前は組織を引っ張ってきた人が多く、自分の経験を活かして企業に「改善提案」をする人がたくさんいるそうです。中には「提案をどれだけ実施したかの報告」を求める人まで。そう言えば、本書冒頭に苦情を言いにきた男性も定年退職まもない人でした。
決して苦情を言う人を揶揄するつもりはありません。不利益を被った場合にはその回復を主張するのは当然ですし、企業にとっては改善の大事なヒントが苦情には含まれていることがままあると思います。念のため。
お久しぶりです。
今年も宜しくお願いしますね。
年末年始に何読もう・・・と悩んでた時に、YO-SHIさんのランキング8位『陽気なギャングが地球を回す』のコメントで「伊坂氏のコメディ作品」に目がとまり、コメディ!?と驚き、早速手にしたんですよ。私が想う伊坂さんのイメージにピッタリな本でした。『あるキング』でモヤモヤしてた私なので【黒伊坂】と【白伊坂】を知り、なるほど!と納得できました。どうやら私は【白伊坂】が好みのようです。続編である本書も手にしたいと思ってます。読後は是非TBさせてもらいますね^^
すももさん、コメントありがとうございます。
ご無沙汰です。こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
「陽気なギャング~」を「コメディ」と呼んでいるのは私だけかも
しれない。本には「長編サスペンス」と書いてあったし。
でも、それですももさんが手に取ったのだから、良かったです。
白黒で言えば「白」の方が好き、という方は多いようです。
このシリーズは、軽妙な会話やウィットと伏線という、伊坂作品の
「気持ちいい」ところを抽出したような作品なので、
「白伊坂」ファンにはオススメです。
陽気なギャングの日常と襲撃 / 伊坂幸太郎
「陽気なギャングが地球を回す」の続編。あの4人組のギャングが帰ってきた!
もともと4人それぞれの短編だったはずが、長編の一部として組み込まれた形となったこの作品。どんでん返しあり、複雑に伏線がからみあって、とにかく楽しめた。
最後の最後、成瀬がやっ…….
YO-SHIさん こんにちは。
サスペンスというよりコメディに私も一票です(笑)
だって、楽しいし…。
何よりこれは楽にテンポよく楽しく読めますよね。
で、伊坂さんも白黒があるんですね。
「白伊坂」納得です。
たかこさん、コメントありがとうございます。
楽しく読めることって大切ですよね。
伊坂さんの作品には、怖い話、得体のしれない話..
いろいろな話があって、誰かに薦めるときにちょっと
ためらってしまうんですが、これは安心して薦められる。
うちの高校生の娘も楽しく読んでました。
清き一票をありがとうござます(笑)
陽気なギャングの日常と襲撃 / 伊坂幸太郎
陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)おすすめ平均 軽妙にして洒脱文庫限定のおまけつき!期待していただけにちょっとガッカリ少し間延びする二章以降が残念大満足の続編Amazonで詳しく見る by G-Toolsよにんよっつの短編含む、陽気なギャング第2弾!(オマケ付き)伊坂……
『陽気なギャングの日常と襲撃』 伊坂幸太郎
「伊坂幸太郎」のサスペンス小説『陽気なギャングの日常と襲撃』を読みました。
[陽気なギャングの日常と襲撃]
先日読んだ『陽気なギャングが地球を回す』の続篇です。
—–story————-
「伊坂幸太郎」ブームは彼らが作った ―― 史上最強の天才強盗 あの4人組が帰って来た!
4つの奇妙な事件と銀行襲撃の裏に…… 文庫化記念ボーナス短編付き!
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