著 者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 訳:市田泉
出版社:徳間書店
出版日:2010年3月31日 初版発行
評 価:☆☆☆(説明)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズさんの邦訳最新刊。約200ページと、短編を除けば著者の作品としては短い中編。原題は「The Game」で英国では2007年に出版されている。最近は、過去の作品の邦訳が続いていて、新しい作品は久しぶりだ。
今回の主人公はハレーという名の少女。両親はなく、ロンドンのはずれにある厳しい祖母と優しい祖父の家で暮らしていたが、あることが祖母の逆鱗に触れて、アイルランドのおばさんたちの家に送られた。
ハレーには「おばさん」が6人もいて、スコットランドに2人、このアイルランドの家には4人が集まっていて、その子供たちつまりいとこもたくさんいた。原題の「The Game」というのは、この子どもたちがやっているゲームのこと。一種の宝さがしなんだけれど、これがちょっとびっくりするようなものを探してくる。
ギリシャ・ローマ神話を題材にした登場人物たちと、いろいろな物語がチョコチョコと顔を出す。「宝島」や「アラジン」や「アリス」や「三びきのくま」も。「一つの指輪」も出てきて「はめちゃだめよ!危ないわ!」なんてセリフにニヤリ。結構楽しめた。
世界には、人間が生み出した物語が、色とりどりの糸や綱になった「話綱」というものがあって、それが複雑に絡み合ってできた「神話層」と呼ばれるものがある、という設定。「話綱」がらせん状になっていることが、邦題の「銀のらせんをたどれば」につながっている。
物語が糸となるのであれば、著者はさぞかしたくさんの美しくもユニークな輝きの糸を生み出したことだろう。訳者あとがきに「体調がよくないにもかかわらず...」とあったが、70代半ばのお年の著者の健康を祈らずにはいられない。美しい「話綱」を、まだまだ生み出してもらうために。
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初めまして
十六夜ともうします
「銀のらせん~」
お話は短いながら、DWJの楽しさがギュっと凝縮されていて楽しく読めました
特に、「話綱」の描写がものすごく綺麗で、この目でみれたらどんなに楽しいか!と思ってしまいました
十六夜さん、コメントありがとうございます。
物語のらせんの糸が銀色に輝いて..想像するにとてもきれいな光景でしょうね。
これからもよろしくお願いします。DWJのお話をたくさんしましょう。