著 者:木山泰嗣
出版社:実務教育出版
出版日:2011年9月10日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
「本が好き!」プロジェクトで献本いただきました。感謝。
まずは、「こんな本をよく出したなぁ」と感心した。「こんな本」とは「論理的な文章の書き方を書いた本」という意味だ。論理的な文書の書き方を書いた本の文章は、当然論理的でなければならない。万一そうでなければ、本も著者も自滅してしまう。
そうすると読む方も、「どれどれ、どれだけ論理的か見てやろうじゃないか」と、意地悪くなりがちだ。意地悪く読めば、アラの一つや二つは見つかる。こんな本を出す著者はよほど勇気があるか、自信があるか、浅薄なのか。弁護士で法科大学院で文章セミナーの講師を務めるというから、この著者は「自信がある」のだろう。
私も実は意地悪く読み始めた。いくつかの「論理的でない(少なくとも私はそう思う)」文章も見つかった。それを書評に書けば、弁護士の著者の鼻を明かして、ちょっと気分が良かったかもしれない。しかし3分の1ぐらい読んできたところで、著者のこんな文章が目に留まった。
「でも、しかし」とは考えずに素直にお読みください。
そうなのだ。素直に読むことが肝要なのだ。意地悪く読めば気分が良いかもしれないが、素直に読めば得るものがある。どっちを取るかは読む人次第なのだ。
以前に読んだものにあった、「講演会に来て「目新しいことがなく、得るものがなかった」という人がいますが..」という話を思い出した。いわゆる「エリート」は勉強熱心な人が多くて、本もよく読んで講演会などにも顔を出す。だから大概のことは知識として知っている。けれども、知っているのと実行するのは別のこと。
学ぶべきは「目新しいすぐに役立つHowTo」ではなく、如何にして実現するかということ。それを実現した当人が目の前にいても「これはもう知っている」と、感覚をシャットアウトしたら何も学べない。ざっと言うとこんな話だった。
今回の私の場合は、最初っからアラ探しをしていたわけだから、「これはもう知っている」以前の問題だけれど、「学ぼうとする態度次第」という部分は共通する。そう思って読み返すと、この本は結構内容豊富だった。やや「カタチ」に重点が置かれ過ぎな感じがするが、著者は、「すぐに役立つHowTo」の提供を意識したのだと思う。
少しだけ本書を補足したい。本書の本当のテーマは「説得力のある文章を書こう」なのだ。本書でいう文章とは、小説などではなく主にはビジネス文書の文章のこと。そしてビジネス文書は「説得するための文章」だ。著者は「論理的な文章」=「説得力のある文章」だと考えている。だから「論理的な文章を書く」ようにしましょう、とタイトルにつながっている。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
確かに、挑戦的なタイトルですよね(笑)
学びというものは、やはりフラットな状態になることが
必要なのかな、と私も思います。
読書や情報集はそれなりの量になるとは思いますが
妙なプライドが邪魔をして、貴重な学びの機会を逃す
のは本末転倒なのだと自分を戒めています。
鼻持ちならない、自分よがりのえせ知識人には
なりたくないものです。
なんちゃって読書人さん、コメントありがとうございます。
挑戦的だし、良く考えると偉そうな感じがするんですよね。このタイトル。
それで、「そんな偉そうにするだけのことはあるんだろなぁ(怒)」、と
なってしまったんでしょう。
それは、さらによく考えると、「自分は他人を評価できる人」という
前提に立っているわけです。
「自分以外はみんなバカ」とでもいうように、他人の批判をまき散らす人が
時々いますが、それと紙一重かもしれない、と思って自戒した次第です。