著 者:三崎亜記
出版社:角川書店
出版日:2012年1月31日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
昨年6月に「これはハマってしまった」とレビューに書いた「コロヨシ!!」の続編。月刊小説誌「野生時代」に連載された「コロヨシ!!シーズン2」を書籍化したもの。
主人公は高校3年生で「掃除部」の主将の藤代樹。「掃除」はこのシリーズでは、芸術性や技術の高さを競うスポーツになっている。前作で樹は「掃除」の全国大会に出場し、個人競技第3位になった。これまでは、政府直轄校が上位を独占していて、一般校の樹が3位に入ったことで注目の受けている。
樹が注目を受けるのには他の理由もある。この国では先の敗戦によって、国技を持つ権利を失った。「掃除」も理由は定かではないが、政府の厳しい規制の元にあった。それが、敗戦から40年がたち、新国技の候補となって、脚光を浴びているのだ。ただ「居留地」「西域」という名の、この国を取り巻く国々は、その動きに警戒感を募らせている。
このような説明から、独特の世界観を少し感じてもらえただろうか。この世界観を理由として、前作のレビューで「普通の青春小説とは一味違う」と書いた。逆に言えば一味違うとは言え、前作は「青春小説」だった。友情、家族との葛藤、挫折と克服、淡い恋。
しかし、本作では「青春要素」は背景に引いて、陰謀渦巻くアクションサスペンスになっている。著者が作り上げた世界観も、前作では「一風変わった設定」にしか感じなかったが、ストーリーに深く関わって生きてくる。前作の延長線上にはない、思わぬ大がかりな展開。タイトルの「決起!」と樹が叫ぶ時には、読者は遥か遠くまで連れて来られている。
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「コロヨシ2決起」三崎亜紀
藤代樹はスポーツ「掃除」の全国大会で第三位の成績を収め、高校三年生で掃除部の主将となった。マイナー競技であった「掃除」への注目度が上がり、入部希望者も殺到。順風満帆な一年が始まるかと思われたのだが、校長の差し金で部費が半減、部室も奪われる。さらに、思いを寄せる高倉偲と指導者・寺西顧問が樹の前から姿を消してしまう…。前代未聞の奇想青春小説、第二弾。
競技としての「掃除」を描いた青春小説の第2……