著 者:東野圭吾
出版社:集英社
出版日:2012年1月25日 第1刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
本書は、2011年に「小説すばる」に掲載された短編12編を収録した短編集。著者には「〇笑小説」というユーモア短編集のシリーズがあり、本書はその4番目。
12編すべてが、小説家や編集者ら出版業界の人々の悲喜こもごもを軽妙に描いた作品。登場人物が共通していて、作品間につながりがあるので、連作短編集としても読める。
「編集者に必要な3G」は「ゴルフ、銀座、ゴマすり」。秘技「スライディング土下座」。冒頭の作品「伝説の男」では、小説家に気に入られ、原稿をもらうためのあの手この手が次々と繰り出される。
このような登場人物たちのいささか誇張された言動によって、ゴマスリ編集者をチクリと刺し、行き過ぎたファンをやんわりとたしなめ、本が読まれても作家に還元されない現状に異議を申立てる。そして返す刀では「普通の仕事ができないから...」「小学生以下」と、小説家つまり自身をも一刀両断する。
全部の物語にオチが付いている。どんでん返しあり、苦笑いあり、そして「いい話」あり。出版関係者を面白おかしくこき下ろしてはいるけれど、著者はきっとこの業界が好きなんだろう。随所に小説家の先輩や、編集者たちへのリスペクトを感る。
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「歪笑小説」東野圭吾
新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に……