著 者:荻原規子
出版社:徳間書店
出版日:1996年7月31日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
「空色勾玉」に続く「勾玉」シリーズ3部作の2作目。前作から時代がずっと下って、前作で語られた物語が伝説となったころの物語。
主人公は遠子(とおこ)と言う名の少女と、幼馴染の小倶那(おぐな)という名の少年。遠子は橘という一族の分家の娘で、小倶那は生まれたばかりの頃に捨てられ、川を流れてきたところを、遠子の母に拾われた。活発な遠子がおとなしい小倶那を心ないいじめから守る、という図式ではあるが、2人は双子のように育てられた。
2人が12歳の時、まほろばの都から来た大王(おおきみ)の息子、大碓皇子(おおうすのおうじ)に見い出され、都に上って大碓皇子の元で教育を受けることになった。別れに際して小倶那は「強くなって戻ってくる」と、遠子と約束する。
物語は別々の場所で暮らす2人の運命を描く。2人は場所だけでなく、その生き方までが大きく隔たってしまう。しかもそれぞれの、特に小倶那の意思に反する形で。後になって2人の別れの約束は、哀しくも皮肉な形で訪れる..。
実は遠子は、前作で語られた「闇(くら)」の血を引き、小倶那は「輝(かぐ)」の血を引く。つまり、「空色勾玉」の主人公である狭也と稚羽矢のそれぞれの末裔にあたる。その血が2人に過酷な運命をもたらす。
主人公2人の位置付けも、物語全体の雰囲気も前作とよく似ている。しかし、本書の方が物語の拡がりが感じられた。魅力的な登場人物が配置され、キャラ読みしても面白いかもしれない。
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