著 者:荻原規子
出版社:徳間書店
出版日:1996年8月31日 初版発行 1998年1月10日 9刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
「空色勾玉」「白鳥異伝」に続く「勾玉」シリーズ3部作の3作目。正確な年代は定かではないが、「空色勾玉」から「白鳥異伝」までに数百年。本書「薄紅天女」は、そこからさらに数百年下り、奈良時代の末の物語。伝説の勾玉の1つで「白鳥異伝」で失われた「明玉(あかるたま)」が、キーアイテムになる。
本書は二部構成で、第一部の主人公は、武蔵の国に17歳の少年の藤太(とうた)と阿高(あたか)。2人は叔父と甥という関係ながら同じ歳でもあり、双子のように育った。
実は、阿高の出生には秘密があり、その秘密に引き寄せられるように、出生の地である蝦夷へ向かう。藤太と友人2人は、都から来た少将の坂上田村麻呂と共に阿高を追う。そして彼らは蝦夷の地で、阿高が秘める力と重すぎる運命を知ることになる。
第二部の主人公は、時の帝の娘、つまり内親王の苑上(そのえ)15歳。その頃、都には頻繁に怨霊が出没し人々を害していた。皇族であってもその被害を免れず、兄の皇太子にまで危害が及んでいること知り、苑上は怨霊に立ち向かうために宮を出て、その途上で阿高に出会う。
面白かった。前作「白鳥異伝」のレビューの最後に「魅力的な登場人物が配置され、キャラ読みしても面白いかもしれない」と書いたが、本書はそれに輪をかけて登場人物が魅力的だ。以前の自民党の総裁の言葉を借りれば「キャラが立っている」
例を挙げると、優しい藤太とつれない阿高は、二人とも若い娘にモテモテのイケメン。お転婆な内親王の苑上。大男の豪傑ながら面倒見の良い田村麻呂。その他にも、武芸に長けた男装の麗人、若くして一門を開いた型破りの僧....その人を主人公にスピンアウト作品ができそうな登場人物がゴロゴロいる。
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