著 者:フィッツジェラルド 訳:野崎孝
出版社:新潮社
出版日:1974年6月30日 発行 1988年5月25日 第37刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
本好きのためのSNS「本カフェ」の読書会の2月の指定図書。
スコット・フィッツジェラルドの名作。アメリカ文学を代表する作品の一つ、とも言われている。いまさら私が紹介し評することに、どれだけの価値があるのか疑問だけれど、十数年ぶりに再読したので、思ったところを書くことにする。
舞台は、1920年代のアメリカはニューヨーク郊外のロング・アイランド。主人公は、ニック・キャラウェイ、裕福な家庭で育った29歳。彼の目から見た、当時のアメリカの上流階級の暮らし振りを描く。
タイトルのギャツビーは、ニックの隣家の大邸宅の主で、2週間に1回は大パーティを開いている大富豪。招待されていない人までが押し寄せるという、この「大パーティ」の豪華さと軽薄さという2面性が、自身も属する上流階級へのニックの気持ちを表していて、ひいてはこの物語の空気を特徴付けている。
他の国の90年も前の話がどうして今も読まれているのか?この物語が好きだ、という人もたくさんいるのはどうしてか?それは「カッコいい」からだと思う。(もう少しましな語彙はないのか、と切に思うが、「カッコいい」以上に適切な言葉が思い浮かばない)
実は、登場人物たちの生い立ちは意外に複雑で、著者自身の経歴や暮らし、1920年代という時代も考え合わせると、もっと深い読み方ができる。ただし、そういう読み方は、この物語が「好き」になってからのこと。まずは物語の空気に魅かれる、そういうことだと思う。
私はその「空気」に魅かれたひとり。そして何かの空気に似ていると思った。(「村上春樹さんの作品の空気」とは、敢えて言わない。)80~90年代のトレンディドラマの空気だ。この物語のファンからはお叱りを受けそうだけれど、華やかな時代の、生活の臭いが希薄なカッコ良さが、トレンディドラマの主人公たちの暮らしと似ていると思った。
今回は、20年以上前に買った(表紙はロバート・レッドフォードさんの映画のスチール写真だ)野崎孝訳で読んだけれど、手元には村上春樹訳の「グレート・ギャツビー」もある。読み比べてみようと思う。
レオナルド・ディカプリオさんがギャツビーを演じる映画「華麗なるギャツビー」の公開が間近になっている。米国では5月10日、日本では6月14日。
映画「華麗なるギャツビー」公式サイト
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『グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー)』スコット・フィッツジェラルド
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グレート・ギャツビー
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