学生時代にやらなくてもいい20のこと

書影

著 者:朝井リョウ
出版社:文藝春秋
出版日:2012年6月25日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「桐島、部活やめるってよ」でデビューし、「何者」で昨年度の下半期の直木賞を、戦後史上最年少で受賞した著者のエッセイ集。著者の早稲田大学在学中の体験を中心につづった20編を収録。面白い。ただし、どれもこれも他の人には、同じことをやってみれば?と、おススメできない。だから「学生時代にやらなくてもいい~」

 20編のエッセイ全部に、面白さとバカバカしさが満ちている。大学生時代の4年間に、よくもこれだけの面白いことに遭遇したものだと思う。その理由は読んでいれば分かる。正確には、面白いことに「遭遇」したのではなく、著者自身が面白いことに「なってしまっている」。自分から呼び込んだ「面白さとバカバカしさ」なのだ。

 それは著者(とその仲間)が「後先を考えずに行動する」からだ。「東京から京都まで、自転車で行こうよ」と友達に誘われ、「もちろんさ」と答える著者(ちなみに著者に長距離サイクリングの経験はない)。フェリーで8時間かかる島の花火大会に、「行くに決まってますが何か」と即答する仲間たち。無計画無鉄砲だから、こんな面白いことになる。さらに、面白いことが(壮絶な苦労と共に)向こうからもやってくるのだ。

 「今の大学生もなかなか元気じゃないか」という、おじさん目線のコメントは、あまりに陳腐すぎるかもしれない。著者と仲間たちをして「今の大学生」を語るわけにはいかない。でも、こういう学生さんたちが今も昔も変わらずいる、ということが、私の心を明るくした。早稲田大学、侮れませんね(そもそも侮れないって)

 最後に。本書は、電車の中などの公共の場では読まない方がいい。笑いを堪えられないと思うからだ。私は、家で読んでいたのだけれど、一度などは息ができないほど笑ってしまった。

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