学者は語れない儲かる里山資本テクニック

書影

著 者:横石知二
出版社:SBクリエイティブ
出版日:2015年8月25日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 著者は徳島県の上勝町で、日本料理に彩りを添える葉っぱ(つまもの)を栽培・出荷・販売する「葉っぱビジネス」を展開・成功させた立役者。地域の再活性化に取り組む人で、上勝町の「葉っぱビジネス」のことを知らない人はいないだろう、そう思うぐらい有名な事例。そして上勝町はさらに進化していた。

 「進化」とは例えば、70代80代のおじいちゃん、おばあちゃんたちが、タブレットを操って市場情報を分析して、高値で売れるように出荷数を調整している、という驚くべきことだ。これだけでもじっくり聞きたい話なのだけれど、本書のメインはこの「葉っぱビジネス」のことではない。

 章タイトルをいくつか紹介すると、本書のメインが分かると思う。「里山資本で儲ける仕組み」「地元の"重鎮"に気をつけろ!」「効率を重視すると失敗する」..。本書は、著者が経験した数々の「成功」と、それより多い「失敗」から得た、「葉っぱビジネス」の成功を普遍化した、地方の生き残りのノウハウを記したものだ。

 実は、私は以前から疑問に思っていた。上勝町が最初に話題になったのは90年代で、今から20年も前のことなのだ。「山にいっぱいある葉っぱを商品として売る」というシンプルなビジネス。どうしてマネをして成功する「第二の上勝町」が現れないのだろう?それが私の疑問。

 本書を読んで、その疑問が少し晴れた。「地元の"重鎮"に気をつけろ!」など、書いてあることは「地方あるある」の類が多くて、地方に住む人にとっては「常識」に近い。

 秘密はその「常識」への取り組み方にあった。正直言って私にはマネできない。私だけでなく、マネできる人がなかなかいないから、「第二の上勝町」が現れないのだろう。

 それでも私にもできそうなこと、役立ちそうなこともあった。「人を生かすためには「出番」と「役割」を作ること」。これは「地域の再活性化」のような大きな取り組みでなく、もっと小さなことにも応用ができそうだ。

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