著 者:いとうせいこう
出版社:河出書房新社
出版日:2015年3月11日 初版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
野間文芸新人賞受賞、キノベス!2014、ダ・ヴィンチ編集部が選ぶプラチナ本 OF THE YEAR 2013の第1位。芥川賞でも本屋大賞でも候補作になっていた。だから名前は知っていた。内容は知らなかったけれど、書店で見かけて手にとってみた。
主人公の一人はDJアーク、本名は芥川冬助。38才。洋楽を中心にした音楽をかけるラジオのDJをしている。もう一人は作家のS。東北の震災後にボランティアに何度か通っている。
DJアークの番組は、本書のタイトル通りの「想像上のラジオ」の番組。ラジオ局もスタジオもない。DJアークが想像力で発信し、リスナーもその想像力で受信する。誰でもが聞ける番組ではないのだ。ただDJアークには、自分の声を届けたいと強く思う人がいて、リスナーたちにはある理由があって、ラジオの声が聞こえる。
この説明では「なんか良くわからん!それって面白いの?」と思うだろう。それは私が、大事なことを言っていないからだ。でも、大事なことだけに明かすことがためらわれる。
その代り、「生者と死者との新たな関係を描き出してベストセラーに」裏表紙のこの言葉を手掛かりに想像して欲しい。面白いとは言わないけれど、とても深く胸を打つ物語だ。本当に必要としていれば、DJアークの声があなたにも聞こえるかもしれない。
最後に。今年になって読んだ「ぼくらの民主主義なんだぜ」と「紙つなげ!」と本書「想像ラジオ」は、東日本大震災と関連している。20日間に3冊。まったくの偶然。でも、たくさん本を読んでいると、時々こういうことが起きる。
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