下町ロケット2 ガウディ計画

書影

著 者:池井戸潤
出版社:小学館
出版日:2015年11月10日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 2011年上半期の直木賞受賞作品の「下町ロケット」の続編。昨年TBS系列で放映されたテレビドラマの後半は、本書が原作となっているらしい。(私は先に本を読みたかったので観なかった)

 舞台は前作と同じく佃製作所という中小企業(かなり大きい方だけれど)。前作で佃製作所のバルブシステムを採用した、国産ロケットの打ち上げが成功してから約4年後。日本クラインという大企業から、バルブの試作品製造の依頼が舞い込むところから物語は始まる。

 この依頼が何とも怪しい。価格が技術的対価としては安すぎる。その後の量産を前提としなければとても受けられない。そして何よりも、何の部品であるかを教えてもらえない。黙って図面の通り作れ、というわけだ。そんな「舐めた話」でも、受ける(受けざるを得ない)のが中小企業の心意気と哀しさだ。

 ここを端緒に物語は、「技術力のある中小企業」対「横暴な大企業」の図式に、「やり手のベンチャー企業」と「白い巨塔の権力争い」が絡んで、スリリングな展開となっている。

 ただし、正直に言うと前作ほどはハラハラしなかった。途中で「悪者」が判明する。現実世界では「悪者」が勝ってしまうことだってあり得る。しかし小説でそれはないだろう?という前提に、どうしたって立ってしまって、安心して読めるからだ。

 とは言え、面白かった。スッキリ感もちゃんと味わえる。「ガウディ計画」の名前の由来がちょっと笑ってしまった。

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