ぼくは明日、昨日のきみとデートする

書影

著 者:七月隆文
出版社:宝島社
出版日:2014年8月20日 第1刷 2016年2月5日 第18刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 本書のことは、私は新聞広告で最近知ったのだけれど、ずいぶん前から評判だったらしい。2014年の刊行以来「読書メーター」の「恋愛小説のおすすめランキング」で長く1位をキープしていたそうだ。そんなわけで現在75万部。福士蒼汰さん、小松菜奈さんの共演で映画化も決定した。

 主人公は南山高寿。京都の美術大学のマンガ学科の2年生。通学に使っている京阪電車の中で、「少し和風の清楚で品がある顔立ち」の女性と出会う。そして、一目ぼれ。

 その女性の名は福寿愛美。美容師の専門学校に通う。歳は二十歳。高寿は、普段はそんなことをしないのに、途中駅の「宝ケ池」で降りた彼女を追いかけて自分も電車を降りて声をかけた。「メアド教えてくださいっ」

 この絶望的な「ナンパ」が奇跡的にうまく行って、2人はしばらく宝が池公園を散策。用事でもう行かなくてはならなくなった愛美に、高寿が確かめる。「また会える?」。

 そうしたら愛美が泣き出した。ぽろぽろとすごい勢いで涙が落ちる。

 こんな感じで物語が始まる。「恋愛小説」が好きな人なら、この時点で物語にガッシリつかまってしまうだろう。好きでない人は...たぶん読んでられないと思う。そのくらい「甘い」予感がする。

 私は...「きらいではない」ぐらい。でも、この物語には大きな秘密というか仕掛けがあって、愛美が泣いた理由もそれで明らかになる。それがもうほんとうに切ない。私は、読んでしばらく切なさが後をひいて、なんだか心細くなってしまった。感情移入するタイプの人は、覚悟して読んだ方がいいと思う。

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