真夜中のパン屋さん 午前5時の朝告鳥

書影

著 者:大沼紀子
出版社:ポプラ社
出版日:2017年6月15日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 「まよパン」シリーズの第6弾。舞台となっているパン屋「ブランジェリークレバヤシ」の営業時間が午前5時で、前作のタイトルが「午前4時の共犯者」だから、今回が最終巻、という予想ができた。その予想通りについに完結。

 これまでを振り返ると、主人公の女子高校生の希実は、「ブランジェリークレバヤシ」の亡くなった奥さんの美和子の腹違いの妹、ということで転がり込んできた。しかしそれはウソで、もっともっと入り組んだ事情があった。そのあたりの事情が、前作であらかたあきらかになった。

 そして、希実と「ブランジェリークレバヤシ」には、希実にまつわる事情と同じぐらい入り組んだヤヤこしい人たちが集っている。夜中に徘徊する小学生、でかいけれど超美人のニューハーフ、のぞき魔の変態、腹話術の人形を抱えた高校生、裏社会で生きてきた飲食店経営者、結婚詐欺師の女と双子の姉妹...。

 読み始めると、「のぞき魔の変態」が主人公になっている??結婚して3歳の子どもがいることになっている???そんな記憶がまったくないのだけれどどういうことかと訝しんでいると、おぼろげに分かってきた。どうやら前作から5年ほど経っているらしい。「ヤヤこしい人たち」も含めて、それぞれが新しい道を歩み出している。

 最終巻はどんな結末になるのか?と期待していた。特に「こんな結末かなぁ?」と予想していたものはないのだけれど、この「5年後」の設定に「こう来たか!」という驚きがあった。それぞれの人に5年の歩みがあって、変わったこと、前進したことがある。しかし修復できなかったこともある。読み終わってみると「この結末しかない」という納得の最終巻だった。

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