ストーリーで学び直す大人の日本史講義

書影

著 者:野島博之
出版社:祥伝社
出版日:2018年4月10日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)

 「古代から平成まで一気に」は、やっぱり難しいかな?と思った本。

 著者は有名予備校でダントツの支持を集める日本史のカリスマ講師らしい。「まえがき」に著者からのメッセージがいくつか含まれている。「海外で日本の社会や歴史について聞かれるけど答えが出てこない」「歴史は暗記だという風説が根強いけど、歴史は本来有機的で重層的な無数のつながり」「今の大学を目指す層が身につけつつある日本史像は、昔と様変わりしている」

 特に3つ目の「昔と様変わりしている」が強調されて、「化石のような人間-シーラカンスになりたくないなら、「大人」も必死に学び続けるしかありません」とある。まったくその通り。歴史をキチンと学び直したい、できれば効率よく。そう思って本書を読んだ。

 サブタイトルが「古代から平成まで一気にわかる」。ざっくりとページ数を数えると、縄文時代が3ページ、弥生時代が4ページ、古墳時代が10ページ、飛鳥時代が18ページ、奈良時代が4ページ、平安時代が20ページ...けっこうなハイペースで時代が流れる。応仁の乱から関ヶ原までの戦国時代は23ページ。大坂冬の陣・夏の陣はたったの1行半!

 江戸時代は長いこともあって58ページ、そのうち幕末だけで30ページ。明治時代が40ページ..。昭和も日中戦争から戦後までの戦争の時代に30ページ。著者が近現代史専攻ということもあるのかもしれないけれど、時代が下るにしたがって記述が詳細になる。学校の歴史の事業でよく言われる「近現代史が手薄」の逆。

 何となく「各時代を均等に」だと思っていたので、読んでいる最中が戸惑ったけれど、読み終わってみれは、これでいいんじゃないかと思う。明治から戦後までの流れのおさらいができた。でも「ストーリーで学び直す」だからか、基本的に文章での説明。図表は最小限しかない。それがちょっとつらかった。年表も欲しかった。

 最後に。「参勤交代は幕府が諸大名の経済力を落とすために行ったものという説明を聞くことがありますが、全くの間違いです。」って、そうだったのか!

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