著 者:東川篤哉
出版社:文藝春秋
出版日:2012年9月30日 第1刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)
起きるのは凶悪事件なのに、ニヤニヤしながら軽~く読めてしまう本。
謎と魔法のユーモア・ミステリー。「魔法使いマリィシリーズ」として4冊が既刊。
主人公は八王子市警察の若手刑事、小山田聡介。上司の楠木綾乃警部に尊敬以上の気持ちを抱いている。事件現場に来て「よーく見てごらんなさい。なにか気づくことはない?」と聞かれて、「髪でも切りました?」と答える。彼女の逆鱗に触れた同僚が、ローキックの餌食になるのを見て「いっそ自分も」と倒錯した願望を抱く。
実は楠木綾乃警部もなかなかクセのある(刑事の資質としてどうなのかと思う)性格。そしてもう一人重要な登場人物がいる。マリィという名の魔法使いの少女。お金持ちのお家に家政婦として雇われて働いている。
マリィは正真正銘の魔法使いで、聡介が「じゃぁなにか」と「箒を使って飛べるのか」と聞けば「飛べるわよ」とあっさり。それで例えば「嘘をついた人はくしゃみをする魔法」をかけて、何人かいる容疑者に「あなたが殺したの?」という質問をする。くしゃみをした人が犯人で決定、というわけ。
こんな感じでマリィの魔法で犯人はすぐわかる。実は本書は「倒叙ミステリー」で、読者には早々に犯人が明かされている。その上で、マリィに助けられて主人公の聡介にも分かる。あとはそれをどうやって証明するのか?が一つの見どころになるわけだ。
その見どころが、ミステリーファンを満足させる出来なのかどうか、正直に言って分からない。でも本書は「謎と魔法のユーモア・ミステリー」だ。「ユーモア」の部分が、私がすごく好きな感じで、とても楽しめた。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)