眠れなくなるほど面白い 自律神経の本

書影

著 者:小林弘幸
出版社:日本文芸社
出版日:2020年3月1日 第1刷 2021年4月1日 第16刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 備えあれば憂いなし。そういうつもりで読んだ本。

 「自律神経失調症」という言葉を聞いたことのある人は多いだろうし、病院でそのように診断された人もいると思う。正式な病名ではなくて、めまいや倦怠感などの症状があり、特に身体に異常がみられない場合に用いられる診断名。

 つまり原因のよく分からない「謎の不調」ということだけれど、本書はその「謎」の正体をできる限り明らかにした上で、予防(自律神経を整える方法)について解説する。自律神経を整える方法は「生活習慣」「食生活」「メンタル力」「運動」の4つの章に分かれている。

 自律神経は、24時間休みなく働き続けて体の機能を維持する。自分の意思ではコントロールできない。交感神経と副交感神経に分かれ、通常は日中は交感神経が優位となって活動を助け、夜は副交感神経が優位となって身体を休める。このバランスが乱れると心身に不調をきたす。

 知っていることが多かったけれど「そうか!」と思ったこともある。例えば「ため息はついてもいい!」とか。心配事を抱えてたりすると、緊張で体がこわばり呼吸が浅くなっている。そんな時にゆっくり長く息をはくと、呼吸が深くなって血流も増える。要は「ため息」も「呼吸」なのだ。魂が抜け出てしまうような長~いため息ほど心身を整えることになる。もしかしたらため息は、元々そのための正常な体の反応なんじゃないかと思う。

 注意したいこともある。今現在、心身の重い不調を抱えている人には、本書は向かないと思う。上に書いた「ため息」のことは例外として、本書は基本的には「予防」に重心がある。「あれをやれ」とか「これをやるな」とか書いてあるわけで、重い不調を抱えている時にはそんなことも負担になる。そんな時には、とにかく体を休めるとか、医師に相談するとかした方がいい。

 そうではなくて、不調を抱えていても軽い人には参考になるだろう。ただし医療情報の一種なので取り扱いは慎重に。それぞれの状況に合う合わないもあるだろうし、不正確だったりするかもしれない。だからあくまで「参考」に。

 余談ではあるけれど、バランスが乱れて夜なのに交感神経が優位になると「眠れない」わけで、シリーズの共通のものとは言え「眠れなくなるほど面白い」は、なんとも皮肉なタイトルだ。シリーズには「~睡眠の話」というのもあって、もはや意図的なジョークなのではないかと勘繰ってしまう。

人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です