著 者:塔山郁
出版社:宝島社
出版日:2019年5月24日 第1刷 2021年2月27日 第7刷 発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
登場人物のキャラが立っているし、すぐにでもテレビドラマになりそうだと思った本
主人公は水尾爽太。25歳。神楽坂にあるホテル・ミネルヴァのフロント係。ある日、昼食に入った喫茶店で、隣のテーブルの若い女性二人の会話が耳に入った。退職する同僚に贈るものの相談。おなかに赤ちゃんがいるからアルコールやカフェインはダメ。ちょっと面白い名前のハーブティに決まった...と思ったら、「さしでがましいとは思いますが、やめた方がいいと思います。」と言う声。
声の主は、長い髪をゴムで束ねて、黒縁のスクエアな眼鏡をかけた20代後半くらいの女性。爽太は後日水虫の薬を処方してもらうために訪れた調剤薬局で、この女性に後日再会する。その薬局の薬剤師で名前は毒島花織。まぁ長々と書いたけれど、サブタイトル(実はシリーズのタイトル)に名前があるように、この毒島さんが本書の真の主人公。薬剤師としての薬の知識を生かして、様々なトラブルや事件を解決する。
「なるほどそういうことか、勉強になるなぁ」という感想。もちろん、事件の解決の鮮やかさや、毒島さんのキャラクター設定や、爽太の毒島さんに近づきたい気持ちの描写、医薬分業の医療現場の実際など、物語として楽しめることは多い。でも一番に感じるのは、知らなかった薬の知識が得られて「勉強になるなぁ」ということ。
病気の時に薬ほど頼りになるものもない。だけど使い方を間違えたり、悪用したりすれば、とても怖いものになる。「用法用量を守って」という言葉を知らない人はいないと思う。私ももちろん何度も聞いたことがあるけれど、本書のアトピー性皮膚炎のステロイド剤のエピソードを読んで、改めて強く認識した。
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