国民の違和感は9割正しい

書影

著 者:堤未果
出版社:PHP研究所
出版日:2024年4月8日 第1刷 5月29日第3刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)

 前から変に思っていたことが「やっぱりそういうことなのか」と思った本。

 国民の違和感(いや私の違和感)。それは例えば「新NISA」。どうして政府はこんなに勧めるのか?老後の資金が不安だという高齢者にどうしてリスクテイクを勧めるのか?それも日経平均株価の最高値を更新という、株式を買うには最悪のタイミングに。私の「常識」では「株は安い時に買って高い時に売ると儲かる」最高値の時に買うことを勧めるなんてどうかしている。

 それは例えば「水道民営化」。どうしてライフラインに関わる事業を企業(それも外資というケースも)に売るのか?政府は法律を改正してまでどうしてそれを後押しするのか?それも人口減などの影響で自治体の採算性の悪化を理由に。私の「常識」では「採算性が悪い事業は民間では請けられない。それでも必要な事業は公が担う」採算性が悪いから民間に任せるなんて正反対だと思う。

 著者は、こうした違和感を掬い取って「その違和感は正しい。それは実はこういうカラクリなのだ」と解説してくれる。まぁ、明確な答えが有るような無いようなことも多いのだけれど、少し違った角度からの視点を示してくれるので、自分で考える端緒になる

 また、あるいは私たちがあまり気が付いていない(であろう)問題も取り上げて説明してくれる。上に書いた「新NISA」「水道民営化」以外には「能登半島地震」「原発」「農業基本法」「ウクライナ紛争」「ガザ侵攻」「ツイッター」等々。

 正直に言って、知らない方がよかったかも?知ってしまったら知らなかった頃に戻れない、というような感想も持った。どうにかしなくちゃと思っても、私たちは無力ではないにしてもあまりにも微力だ。それでもなお「できることがある」と、著者がいくつかの事例やアドバイスを述べてくれているのが救いでもある。

 最後に、気付きのあったこと。
 それは「ニュースに接したときに先入観を外す」こと。そのために「個人を取り除いてみる」こと。「誰がやったか(言ったか)」で判断しない。そうすることで、出来事をありのままに見ることができる。これはけっこう労力が要る。「誰が~」で決めれば判断の省力化ができるから..

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