アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史

書影

著 者:マックス・フォン・シュラー
出版社:ハート出版
出版日:2016年11月19日 第1刷 2017年1月15日 第4刷 発行
評 価:☆(説明)

 太平洋戦争(著者は「大東亜戦争」という呼称を使っている)の前後のアメリカ軍が、日本軍より攻撃的で残虐だった、ということを、アメリカ人である著者が「中立な立場で」述べる、という主旨の本。「アメリカが隠しておきたい」のは「日本の歴史」というよりは、「日本でのアメリカ軍の歴史」。

 最初に言っておくと、本書から得るものはほとんどない。一見するとアメリカ人自身によるアメリカの告発で、信頼性に富む新事実の暴露のようだけれど、実態は虚実がないまぜになった、戦前戦中の日本(軍)の礼賛本だ。「歴史修正主義」の本と言ってもいい。「嫌韓本」と言ってもいい。ページ数で6割ぐらいは韓国を貶める記述に割かれている。

 「虚実ないまぜ」と言ったけれど、正直に言うと、どの部分が「虚」でどの部分が「実」なのかよく分からない。数多くの「あまり知られていない事実」を指摘しているけれど、注釈や出典の記述が全くないので、確かめようがない。「元韓国人慰安婦は、イベント会場で痛ましいパフォーマンスを行った後に、裏口でお金が入った封筒をもらっている」なんて書かれても、そのまま信じることはできない。

 特徴的なパターンとして、ありえない命題を立てておいて、正しいかどうか検証する振りをして否定する、ということが多い。例えば命題として「日本人と会話すると「アメリカ人は優しい人たちで、絶対に悪いことをしない」とよく言われます」とか、9条に関して「日本が侵略された場合、抵抗しないで皆殺しにされても良い、と話していました」なんてのもある。読んでいて滅入ってしまった。

 ☆1つ。☆0個があればそうしたい。

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