著 者:加納朋子
出版社:東京創元社
出版日:1992年9月25日初版
評 価:☆☆☆☆(説明)
「ささらさや」の著者の作家としてのデビュー作品。第3回鮎川哲也賞受賞作。鮎川哲也賞というのは、長編推理小説に贈られる賞。本書がいわゆる推理小説かというと、そうではないと思う。巻末に選考委員の選評が載っていて、著者の力量は認めながらも、これを長編推理小説として良いものかどうか?、と悩んだ跡を見て取ることができる。悩んだ上で賞を贈っているのだから、本書が問題を抱えいてもなお捨てがたい優れた作品であった、ということなのだろう。
殺人事件も起きなければスパイも登場しない。ここで起きる事件は、デパートの屋上のビニールの恐竜が、一夜にして遠くはなれた保育園に現れた、とか、夜に畑からスイカを盗まれた、とかいうことだ。著者が扉のページで書いている言葉を借りれば、「日常に溢れている謎解き」がふんだんに盛り込まれている。
筋立ては、複雑かつ巧みだ。「ななつのこ」という架空の小説の中で、「あやめ」さんという名の女性が、その小説の主人公である「はやて」が体験する様々な不思議の謎解きをしてみせる。そして、本書の主人公である「駒子」と「ななつのこ」の作者である「綾乃」の往復書簡の中では、駒子が体験する事件の謎解きを綾乃がしてみせる。さらに….、と2重3重の入れ子構造になっている。
これだけの入り組んだストーリーを、混乱することもなく一気に読ませる筆運びが、著者の力量の表れだ。迷いながらも本作を選定した選考委員の気持ちも分かる気がする。そして感謝する。これは長編推理小説ではない、として選考されなければ本書を手にすることはなかっただろう。もしかしたら、後に続く著者の作品群を読む機会もなかったかもしれないのだから。
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お、この本おもしろそうですね。
二重三重の入り組んだストーリーってすごく好きです。
私はこの著者をはじめてしったんですが、
せっかくの機会なので読んでみようと思います!
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ななつのこ (創元推理文庫)加納 朋子 (1999/08)東京創元社 この商品の詳細を見る
YO-SHIさんの本読みな暮らしで紹介されていて
おもしろそうだったので読んでみました。
小さな不思議な問題を解決していく推理小説っぽいお…