著 者:毎日新聞「桜を見る会」取材班
出版社:毎日新聞出版
出版日:2020年2月10日 第1刷 3月10日 第3刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
「そう言えばこのことは何にも明らかにならないままじゃん」と思って読んだ本。
安倍政権の「桜を見る会」疑惑を、毎日新聞の「統合デジタル取材センター」の記者たちが追った記録。タイトルの「49日」は、共産党の田村智子議員が参院予算委員会でこのことを取り上げた2019年11月8日から、年末の野党の政府ヒアリングが行われた12月26日までを指している。(法要の四十九日とのダブルミーニングがあるのかは分からない)
11月8日の委員会では、田村議員が「総理、つまり、自民党の閣僚や議員の皆さんは、後援会、支援者の招待枠、これ自民党の中で割り振っているということじゃないんですか。これ、総理じゃなきゃ答えられない!」と迫る。この質問によって安倍首相から「招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」という答弁を引き出している。
後には、招待者に「首相枠」があり、安倍事務所で招待者と取りまとめていたことも、政府として認めることになる。それでも「内閣官房や内閣府が行う招待者の最終的な取りまとめのプロセスには一切関与していない」と、安倍首相は例によって「ごはん論法」ですっとぼけている。この件ではこれ以外にもあきれるような答弁が繰り返され、様々な疑惑が持ち上がって、何が何だかわかりづらくなっているが、このように整理すると分かりやすい。言うことが整合性を欠いている。
「様々な疑惑」を例示する。「昭恵夫人は私人なのに推薦枠がある」「料理を提供しているのが昭恵夫人の友人」「800人もの「前夜祭」で明細書が発行されていない」「招待者名簿が議員から請求された当日に破棄された」「データもそのころ破棄された」「サーバーのバックアップは公文書ではない」「整理番号60は何を指すのか、担当者に確認するかどうかも検討中」...。これらも全部本書に網羅されている。
本書の執筆が終わった2020年1月には、新型コロナウイルス感染症がこんな大きな問題になるとは予想されなかった。感染症の問題と比べると「桜を見る会」は分が悪いように感じる。しかし忘れてはいけない。その意味で、こうして1冊の書籍として、誰もが手に取ることができる形でまとめられている意義はとても大きい。
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