著 者:加納朋子
出版社:幻冬舎
出版日:2005年5月25日
評 価:☆☆☆(説明)
「ささらさや」の続編、「佐々良」という同じ街を舞台とした、1人の少女が経験した半年余りの物語。登場人物の街の住人たちは、前作と同じ面々。「ささらさや」の主人公のサヤも登場する。あれからどれだけ経ったのか分からないが、サヤの子のユウ坊がまだ赤ん坊のままだから、それほど月日は流れていないようだ。
今回の主人公、照代は15歳、志望校に合格し、晴れて入学式を迎えるはずだった4月に、夜逃げするハメに陥って、遠い親戚である久代を訪ねて一人佐々良に来た。15歳の少女には少し過酷な境遇だ。子どもと言うには成長しすぎているが、一人生きていくのは難しい、まだ大人の保護が必要な年ごろ。
この街では不思議なことが起きる。前作でサヤの死別した夫が、サヤを助けるために度々現れたような不思議なことが。今回も、照代の周辺には不思議がいっぱいだ。少女の幽霊が現れたり、発信元不明のメールが届いたり。しかし、幽霊が出てくるからと言って怪談ではない。少しホッとする物語がやわらかい文章で展開する。
この物語は、照代の心の再生物語だ。照代は羽振りの好い家庭で育った。だが夜逃げをしなければならなくなったのは、まっとうな金銭感覚がない浪費家の両親のせいだ。多重債務によって実現した羽振りの良さだったのだ。
カネやモノは欲しがるだけ与えていたが、愛情は十分に注がなかったようだ。少なくとも、照代自身はそう感じていた。そのためか、やさしくまっすぐなサヤから受ける言葉や親切さえ、嫌悪してしまうほど心がササクレていた。
しかし、久代やサヤ、そしてクセのある佐々良の街の人々から、たくさんの親切を受けることで、照代の心も穏やかさを取り戻していく。
このように書いてしまうと、ひどく一本調子でありがちな話のように思える。しかし、この著者は日常に潜むミステリーを書く人だ。ちょっとした伏線が張られていたり、意外な幽霊の正体など、良い意味で読者を裏切る仕掛けがあって楽しめる。
最後に、この本を読まれた方にお伺いしたいことが...ここからどうぞ(ちょっとネタバレ)
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ユウ坊がタダの赤ん坊とは思えません。本書冒頭にも「不思議な赤ん坊」と書かれています。
私は、メールの送り主はユウ坊なのではないかと思うのですが。皆さん、どう思われますか?
こんばんは!コメントありがとうございました。
ユウ坊は謎の人物ですよね~(笑)
「ささらさや」から外見描写だけだし。
(記憶違いだったらすいません)
メールの件は
俊彦さん、実は時折近くに来ていて、
ユウ坊にアドバイスしたのかもしれませんね。
コメントありがとうございました(^_^)
私もお邪魔します♪
てるてるあした、を読んだのは、だいぶ前で…ユウ坊の記憶があまりなくて…スミマセン(^_^;)
私は「ささらさや」の、さやさんが、嫌いじゃないけど、特別好きでなく(^。^;)
…わけは、なよなよし過ぎ、などありますが、主な理由は、「ダンナ様が素敵すぎる」という私の心の狭さによるものです、はい。(←それも幽霊だというのに)
「てるてるあした」の、主人公のひねくれた性格に、親近感を覚えてしまいました(*^_^*)
だから余計に、ラスト、泣けたのかもしれません。
ようせいさん、コメントありがとうございました。
メールの主はユウ坊で、その後ろに俊彦さん、ですね。
それは、思い付かなかったけれど、ありそうなことですね。
ユウ坊には、色々なものが見えているようですから。
—-
そらきりんさん、コメントありがとうございました。
サヤさんについては、好きとか大好きとかいう人は
意外に少ないんじゃないでしょうか?あの性格では
周りに迷惑をかけます、きっと。
それから、照代の性格ですが、自己チューとか、
そらきりんさんのように、ひねくれてるとか思う
意見が大勢のようです。
(著者までが「いやな女の子」と言ってます)
ただ、私は、15歳であの境遇で何とか暮らしている
姿がただただ健気に思えるのですが、変でしょうか?
こんにちは。
これ、テレビドラマ化されていましたよね。
照代を演じた若い女優さんはアイドルっぽい方でしたが、
本格的に演技の勉強をされた方ではないかと感じたのを
覚えています。
テレビ朝日系列で、毎週夜の金曜日11:30から放送
されていました。1年~2年位前。
原作本があったのは知りませんでした。
トマトさん、コメントありがとうございます。
テレビドラマも見ました。というか、ドラマを見て、
原作を読もうと思って図書館で本を探したところ、
この本はなくて、他の本を借りたのが、原作者の
加納朋子さんの作品を読むようになった始まりです。
ドラマは2006年なので、読もうと思ってから2年も
経ってしまったわけですが。
てるてるあした
書評リンク – てるてるあした