著 者:有川浩
出版社:文藝春秋
出版日:2009年3月15日 第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
有川浩さんの最新作。図書館戦争シリーズで甘々のラブストーリーを展開して、「別冊1」ではついに私の「耐甘さ」の限界に達した後、様々な糖度のラブストリーを放ち続けた著者の最新作。その主人公は、何と還暦を迎えたじいさんの3人組(本人たちは「じいさん」と呼ばれたくはないようなので、タイトルは「おっさん」なのだ)。これでラブストーリーはツライ?著者の新境地か?
物語は、おっさんの1人である、清田清一(通称キヨ)が勤め上げたゼネコンを定年退職する辺りから始まる。本書はキヨの「地域デビュー」の物語でもある。団塊の世代が定年後に地域に自分の居場所や暮らしを見つけることが「地域デビュー」。定番と言えばボランティア活動なんかだろう。キヨの考えもボランティアなのだが、その内容は定番とはとても言えない。キヨが思いついたボランティアは「自警団」だ。
自警団のメンバーは3人。キヨは長らく剣道場の師範をしていた。長い物を持たせればちょっとした侍だ。仲間のシゲは柔道家で、こちらは組ませれば敵なし。もう1人のノリは町工場の経営者、腕っぷしは強くないが頭脳派。一撃必殺(殺さないように調節してある)のスタンガンを自作できる、ある意味では一番キケンなおっさんだ。
楽しめた。痛快だった。街のチンピラにレイプ犯に詐欺師、悪徳商法..と、悪いヤツらが次々登場しては3人の成敗を受ける。還暦を迎えるとはいえ、武道の達人2人と自作メカで武装したおっさんだから、生半可なワルなんかひとたまりもない。抵抗しても武力で制圧されてオワリだ。(法律的にはちょっとヤリ過ぎかもしれない)
冒頭の「著者の新境地か?」の答えはYESでありNOでもある。これまでの一連の作品で「ラブコメ」なんてなんか気恥かしい、という人でも本書はOKだろう。だからYES。しかし、ちょっと甘いラブストーリーが、ワル者成敗の痛快物語にしっかり絡んでいるし、家族の絆もあれば、犯罪のダークな描写まで含めて、著者のこれまでの作品の魅力や傾向は健在。新境地というよりは、ちょっと趣向を変えてみた、というところかも。それでNO。
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こんばんは。
しょっちゅうやって来てすみません(笑)
有川さんの新境地?と思いながら読みましたが、やっぱりいつもの有川さんでした。
こういうかっこいいおっさんたちがもっと増えてほしいとなぁと痛切に思いました。
チャウ子さん、コメントありがとうございます。
何度でも毎日でも来てください、ウェルカムです(笑)
著者の「おっさん萌え」の発露ですね、本書は。
私の周りでは、やたらと元気なおっさんが多いです。
例えば、取材で山に登った時のこと。一緒に行った
60越えたおっさんたちが、カメラを担いでドンドン
登ってしまって..「ちょっと休憩しましょうよ」って、
中では一番若い私が最初に音を上げました。
有川さんの新境地といわれればそうかも。
どうしても糖度に耐性ができてしまった私としては、今までのものを期待しすぎてたのかな。これはこれでアリかも。
あっでも、一番キケンなおっさんが好きですね~(笑)
たかこさん、コメントありがとうございます。
激甘を期待していたとしたら、これは期待ハズレですね。
おっさん(いや、じいさん)3人の激甘ラブストーリーって
ちょっと勇気がいりますけど(笑)
一番キケンなおっさん、私も好きです。
自分たちで人工衛星を作ってしまう町工場のおっちゃんの
ニュースをしばらく前に見ましたが、機械工作系のおっさんは
日本の宝ですよね。
おっさんの活躍
小説「三匹のおっさん」を読みました。
著書は 有川 浩
3人のおっさんの自警団、世直し物語
6つの話から構成されています
安定した面白さがあって
ストーリーもそれぞれ違い楽しめました
3人のおっさんのキャラも良くて…