著 者:伊坂幸太郎
出版社:祥伝社
出版日:2003年2月20日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
伊坂幸太郎さんの単行本としては3作目になる作品。「長編サスペンス 書下ろし」と表紙に小さく書いてあるが、私にはライトなコメディに思えた。現場で必ず演説をぶつ銀行強盗なんて、コメディでなければ何だというのだろう。そう、本書は銀行強盗の話。それも何とも軽いノリの4人組の銀行強盗が主人公。それでいて成功率は100%だ。
演説をぶつのは響野。口から出るのはウソばかりという男。でも仲間を裏切ることはしないし、自分にウソは付かない。真っ直ぐなヤツなのだ。彼の昔からの友人でもある成瀬はウソを見抜く名人。ウソつきとウソを見抜く名人の組み合わせとは相性が悪い、いや逆に抜群に良いのだろう、2人のコンビは息が合っていて最高だ。
この2人と久遠と雪子の4人組と響野の妻や雪子の息子らが、組み合わせを変えて登場する短めの場面がドンドン展開していく。テンポが良くて会話が面白いのでアッと言う間に読み進んでしまう。映画化されたのだが、映画の長さは90分あまり。あとがきによると、著者がそのくらいの長さの映画が体質にあっていると言い、ふと「そういうものが読みたくなり」書いた話らしい。コンパクトな話なのは、著者自身の狙いでもあったわけだ。
今年は、著者の作品を意識的に多く読んでいる。最近のものを読んだり本書のようにデビュー間もない頃のものを読んだり。その中で本書はおススメの1冊だ。伊坂作品の中で最初に読むとしたらこの本がイイかも。なぜなら本書は読者を選ばない。会話は面白いし、伏線は活きている。でも伏線の複雑さはホドホド、ついでに不思議さもホドホド、悪意や暴力もホドホド。伊坂作品の特長がホドホドに入っていて、万人にウケそうなので入門編として最適だ。
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私もこれが一番好きです。素直に身を委ねて?楽しめますから♪
最近古本屋さんで見つけて購入したので、また読み直して
みようと思ってます。
「砂漠」も同様に素直に楽しめて、伊坂さんらしいキャラや会話を楽しめるのでお気に入りの作品です。
るるる☆さん、コメントありがとうございます。
るるる☆さんのブログで拝見して、すぐにでも読もうと
思っていたのですが、図書館での待ちもあって、今頃に
なってしまいました。
「素朴に楽しめる素直な作品」というるるる☆さんの
評どおりの楽しい作品でした。
次は「砂漠」ですね。了解です。
伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)伊坂 幸太郎祥伝社
今回は、伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』を紹介します。4人の銀行強盗が銀行を襲ってお金を奪うことに成功したが、同じ逃走中の現金輸送車襲撃犯に襲われたという。その後、4人の現行強盗は奪還しようとするが、どうなるのか。
4人の銀行強盗(主人公たち)
成瀬:リーダーかつウソを見抜く名人
響野:演説の達人
雪子:正確な体内時計を持つ女
久遠:スリの達人
話の展開としてはベタな感じがするけど、スピード感があるということとキャラクターの…