著 者:真保裕一
出版社:講談社
出版日:2009年8月25日 第1刷 9月15日 第2刷
評 価:☆☆☆☆(説明)
これは楽しい作品だった。著者のことは硬派のミステリー作家だと思っていた(実際にそうなのかもしれないけれど)。でもこの作品はコメディだ。いや怪しげな登場人物たちの物語が複雑に交錯し、徐々にナゾが明らかになる展開はミステリーに違いない。でも、登場人物たちが誰一人として面白いことをしようとしているのではなくて、それぞれの事情から必死なんだけれど、その必死さが絡み合うと何故か可笑しくなってしまうのだ。
舞台は鈴膳という創業100年を迎える老舗デパート。その閉店間際から翌朝までの半日の物語。つまりほとんどが閉店後の、本来なら人がいない時間帯のデパートでの一夜の出来事。そこに、リストラされたサラリーマン、ヤクザに追われる元警察官、家出してきた未成年のカップル、鈴膳の社長、ゼネラル・マネージャー、従業員のOLらが徘徊する。これに、深夜のデパートにいて当然の警備員たちが絡んで、照明が落ちた今夜の鈴膳はやたらと賑やかだ。
地下1階、地上7階に屋上まであるデパートは広く、暗闇の中でに侵入者たちが身を潜ませる場所はいくらでもある。しかし、ある者は目的を持って動き、別の者は空腹を満たすために動きしているうちに、あちこちでニアミスや鉢合わせが起きる。お互いに「自分しかいない」と思っている暗闇での遭遇だから、面白い反応が起きる。みんな手探りで動くので、全体的にスローテンポなんだけれど、まぁ読んでいて飽きない。
物語の背景には、時代の変化にもがく百貨店業界の苦境や、社内の派閥争い、贈収賄事件などが見え隠れするが、社長をはじめとする社員を除けば、人々がここに来たことは偶然のように思える。しかし、登場人物のほぼ全員に隠された物語がある。それが明らかになってくる後半は加速度的に面白くなってくる。この人にまでこんな物語が!と最後の数ページでは脱帽。
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真保裕一 『デパートへ行こう!』 懐かしさあふれる涙と笑いの傑作の人情劇
真保裕一らしからぬ、エクスクラメーションマークがついているタイトルからして軽いのりだなと第一印象!『ホワイトアウト』や『奪取』という代表作のイメージからすれば真保裕一の新境地である。そしてわれわれ初老族にとっては実に楽しい小説でした。デパートが子供の遊び場であったことを覚えている世代ならこの作品の絶妙な味わいをかみしめることができそうだ。…
こんにちは~。
この本凄く面白かったですよね。
真保さんってこんな本も書けるんだ~!と嬉しくなりました(^^)
TBもお願いします(´∀`)
「デパートへ行こう」 真保裕一
デパートへ行こう 真保裕一
所持金143円、全てを失った男は、深夜のデパートにうずくまっていた。そこは男にとつて、家族との幸せな…
igaigaさん、コメントありがとうございます。
面白かったですね。最後まで目が離せない感じでした。
igaigaさんは、他の作品も読まれているんですね。
そちらも読んでみようかと思います。
デパートへ行こう<真保裕一>−本:2010-27−
デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)クチコミを見る
# 出版社: 講談社 (2009/8/26)
# ISBN-10: 4062157217
評価:80点
本当に真保裕一が書いたのだろうかと一瞬疑ってみたくなるほどこれまでと毛色の違う作品。それでも読み始めてすぐに作品世界に没頭させてくれるあた……
書籍「デパートへ行こう」今どきデパートって言われてもねぇ
書籍「デパートへ行こう」★★★
真保祐一 著、講談社
(1,680円、378ページ )
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「買ってから半年以上経って
やっと読み終えた本、
この本も以前「週間ブックレビュー」で紹介されていて
買ってそのまま積んでいた、
まず、タイトルが良い、
普段あまり行かないデパートへ
行きたくなるのかどうか、そんな感じで読み始めた」
デパート、そこは
フロアご…