編 者:新潮社ストーリーセラー編集部
出版社:新潮社
出版日:2010年2月1日 発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書は、月刊の文芸誌の「小説新潮」2009年5月号の別冊として発売された雑誌を文庫化したもの。「Story Seller」という本がちょうど1年前に出ているので、これから毎年こうした形のアンソロジーが出るのだろうか。だとしたら、それはとても楽しみなことだ。
今回は、沢木耕太郎さん、伊坂幸太郎さん、近藤史恵さん、有川浩さん、米澤穂信さん、佐藤友哉さん、本多孝好さんの7人の書き下ろし短編が収録されている。伊坂さん、近藤さん、有川さんは、大好きな作家さん。裏表紙の紹介文に「日本作家界のドリームチームが再び競演」とあるが、缶コーヒーのコマーシャルのように「贅沢だぁ!」と言いたい気分だ。
伊坂さんの作品「合コンの話」は、男3人女3人の社会人の合コンが舞台。何度か主人公や視点が代わりながら、六者六様に秘められた物語が徐々に明らかにされる。「合コンは3対3がベスト」とか「おしぼりサイン」とかの豆知識を交えながらの展開や会話が気持ちいい。ラストのサプライズも含めて「私が読みたい伊坂作品」だった。
近藤さんの作品「レミング」は、「サクリファイス」の前日譚で、「Story Seller」に収録されていた「プロトンの中の孤独」の翌年ぐらいだろうか。この作品の中のセリフ「おまえにはわかるのか?一生ゴールを目指さずに走り続ける選手の気持ちが」が、この一連の自転車ロードレースを題材にした物語のテーマだ。そしてそこにドラマが起きる。
有川さんの作品「ヒトモドキ」。もし小学校六年生の女の子に、倹約家で人目をはばからない叔母がいて、突然同居することになったら?という物語。伊坂さんの作品とは違って、これは「できれば読みたくない有川作品」だった。胸がむかつくというか、何とも気が滅入るというか、読み終わってしばし沈黙してしまった。主人公の家族の結束が固いことが救いだったけれど。
他の4人の作家さんの話もそれなりに面白かった。沢木さんの作品「マリーとメアリー」は小説ではなくてエッセイ。
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YO-SHIさん
ブログにコメントありがとうございました。
ブログチラリと拝見しましたが、ハイペースで読書なさっていますね!
感心いたします。
わたしは移動の時のみの読書ゆえ週に1~読めて2冊です。
さてお尋ねの件ですが、わたしも有川浩さんの『Story・・』作品はイマイチだと思います。
人間のこういう部分も書けるのよ的なチャレンジなのかわかりませんが、イケてないですよね(-.-;)
松田さん、コメントありがとうございます。
京都の街を駆けるお忙しい中、わざわざお返事をいただいて恐縮です。
私は学生時代を京都で過ごしていますので、とても懐かしい想いで
ブログを拝見しました。
StorySellerの有川さんの作品についてですが、お友達の中には
「とても良かった」という方もいて、評価は分かれるようです。
「有川さんの新境地」と評する記事も見かけました。
「新境地でなくて、いつものような私が好きな作品を書いて欲しい」
というのは読者のワガママかもしれませんが、そういう気持ちです。
※コメント先を移動させていただきました。ご了承ください。