著 者:和田竜
出版社:小学館
出版日:2007年12月3日初版第1刷 2008年7月22日第11刷 発行
評 価:☆☆☆(説明)
2008年上半期の直木賞候補、2009年の本屋大賞第2位。映画化され2011年秋公開予定。何とも華やかな経緯を辿っているが、本書は著者のデビュー作。
時は天正18年(1590年)、織田信長が本能寺で討たれて8年。天下の西半分を手中に収めた豊臣秀吉が、関東の大家である北条氏を攻略しようとしていた時。所は武州忍城。今の埼玉県行田市にある、北条氏に当時は臣従していた成田氏の居城だ。
物語は、石田三成を総大将とする2万3000の兵を、武士の数ならわずかに500人、戦力となる領民をあわせても2600人で迎え討った忍城の籠城戦を描く。そう、この物語は史実を基にしている。豊臣秀吉、石田三成、大谷吉継ら大坂方の武将はもちろん、成田長親、正木利英、甲斐姫ら忍城に籠もる面々も実在の人物だ。
タイトルの「のぼう」とは「でくのぼう」の略。こともあろうに、忍城の総大将となる成田長親に付けられたあだ名だ。無意味に大きな身体で、何一つ真っ当にできない不器用さから、領内の農民にまで面と向かってそう呼ばれている。しかし、彼に大きな将器を感じる者もいる。戦が進むにつれて、敵に回した石田三成、大谷吉継も「果たして賢か愚か」と悩む。読者も悩む。
寡兵で大軍に対抗し時に打ち破る。痛快物語の鉄板とも言える。そこに、勇将智将はもちろん、武勇に優れた美しい姫を加えてもまだ足りず、「でくのぼう」の総大将まで配し、エンタテイメント性も加えた。正直その年の代表作か?と言われると戸惑うが、楽しめることは間違いないだろう。映画もきっと楽しい娯楽作品となると思う。
この本は、本よみうり堂「書店員のオススメ読書日記」でも紹介されています。
人気ブログランキング「本・読書」ページへ
にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
(たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)
花咲アキラさんによるコミック化で、もっと古い作品との印象を勝手に持っていました。
比較的最近の本なのですね。
文庫版も出たようなので、私もチャレンジしてみたいと思います。
>>正直その年の代表作か?と言われると戸惑うが、楽しめることは間違いないだろう。
映画もきっと楽しい娯楽作品となると思う。
私も同じような感想でした。
出た当初に購入したので
映画の話はまだなかったのですが、
これは映像向きだなぁと思ったものです。
映画楽しみです。
masa_wさん、コメントありがとうございます。
コミックになってるんですね。美味しんぼの花咲アキラさんで。
知りませんでした。教えていただいてありがとうございます。
—-
藤介さん、コメントありがとうございます。
藤介さんも少し前に読まれたのですね。
この本は、元々映画の脚本を想定した書かれたものだそうで、
「映像向きだなぁ」という感想は、当を得たものですね。
私も、映画楽しみです。
『のぼうの城』の町 行田市散策
和田竜のベストセラー『のぼうの城』を読んだものだから、一度歩いてみたかった。
行田市は「古代ハス」が有名で前に訪ねたことがあったが、忍城というのはまるで知りませんでした。
豊臣秀吉の関東平定に際して石田三成の水攻めに耐えた難攻不落の浮き城。忍藩十万石の城下町として栄えた町です。
それと昭和43年に国宝「金錯銘鉄剣」の出土により、一躍有名になった貴重な古墳群がある歴史の町なのです。…
「のぼうの城」 和田 竜
大人気戦国小説「のぼうの城」を読みました。私は生来のひねくれ者なので、流行りの本を読むのにはやや抵抗があったのですが、「のぼうの城」は単純明快で面白かった。また、今まであまり知らなかった歴史に隠れた地方領主たちの様子も垣間見れたのもよかった。いわゆる「負け組」にあたる関東の小城・忍城が、豊臣秀吉という巨大権力に一矢を報いるためにたちあがるところが人の心をとらえるのでしょうね。もちろん、私も捉えられた一人です。「少人数が大多数を打ち負かす」、「愚鈍な人物が実は賢者」という設定って、日本人は大好きなんで…