今回は、ちょっと番外編。紹介するのは「松尾文藝」という冊子。ある高校の文芸班の作品集で、その学校の文化祭の時に販売されている。(この高校と周辺の学校では「部活動」ではなく「班活動」という。野球班、サッカー班、吹奏楽班..そして文芸班)この1部300円の冊子が、昨年の文化祭の時に目の前で売り切れてしまった。手に入らないと思うと惜しくて、今年は文化祭に行って、文芸班の机がある廊下に直行して入手した次第。
30編以上ある収録作品はすべて短編。「あとがき」や付録の「松尾文藝裏話」を読むと、班員の皆さんの不眠の奮闘が綴られていた。短編の方が書く方は負担が小さい、読む方は色々な作品を楽しめる。
確かに大きな期待はしていなかった、しかし軽んじてもいない。「芥川賞に最年少19歳」というニュースが流れた2004年は、今の高校生にはずいぶん昔かもしれないけれど、私には「ついこの前」ぐらいだ。受賞者の綿矢りささんは、それより前の17歳でデビューしている。まぁそんな話を持ち出さなくても、文化祭に足を運んでお金を出して買ったのは、もちろん期待があったからだ。そしてその期待には、十分に応えてくれたと思う。
「みんな良かった」と思う。その言葉にウソはないのだけれど、そう言われても本当に褒められた気持ちにはならないだろうと思うので、特に良かった作品を2つ。「echo」と「春へゆく」。著者の2人はどうやら3年生らしいので、しばらくは新しい作品は難しいのだろう。でもいつか、あなたたちの次回作を読んでみたいと思う。
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