著 者:半藤一利
出版社:文藝春秋
出版日:2012年10月20日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
本書のことを某所で少しだけ聞き、タイトルから現在の日本のリーダーの失敗を分析したものだと思って、書店で購入した。小泉総理が退任した2006年以降、6年で6人の総理。どうしてこうも短命なのかの理由が分かるかもしれないと思った。
ところが、本書は現在の日本のリーダーを読み解いたものではなく、西南戦争や日露戦争から「参謀」を重視する「日本型リーダーシップ」を導き出し、太平洋戦争での日本軍(+アメリカ軍)の参謀や司令官を考察したものだった。よくぞここまで、というぐらいに微に入り細に入り、様々な戦場の様々な作戦について、その時の参謀や司令官がどのような判断をしたのかを紹介している。
最初の目論みとは全く違う本であることが分かり、最初は少し面食らったし、半世紀以上も前の、聞いたこともない名前の軍人の失敗の話に退屈を感じたことは確かだ。でも、不思議と途中で投げ出そうという気は起きなかった。
その理由の一つは、著者の筆致が臨場感たっぷりで徐々に引き込まれてしまったこと。もう一つは、太平洋戦争のことをもっと知りたいと思った、いや知っておくべきだったと思ったこと。歴史から学んで現在に生かす、本書の意図はここにあるわけだ。
ただ、「歴史から学ぶ」とは言うは易しで、では今どうすべきかはなかなか像を結ばない。それを見越した著者は、リーダーの条件として「最大の仕事は決断にあり」「明確な目標を示せ」などの6つを挙げ、さらに例示と詳細な解説を加えている。正直に言ってハードルが高い。
最後に。著者は「後口上」という最後の章で、「強いリーダーシップが声高に求められている」ことへの懸念を表している(先日レビューを書いた「「独裁」入門」とも通じる)。本書の意図とは外れるかもしれないが、あるべきリーダーシップのハードルの高さと考え合わせると、日本という巨大な集合の牽引を、誰か一人のリーダーシップに期待するのは間違いなのではないかと、私には思えてきた。
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わかりやすい紹介に接し、私も読んで見ようと思っています。
じゅんちゃんさん、コメントありがとうございます。
興味を持たれたようですので、是非読んでみてください。
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