著 者:三浦しをん
出版社:大和書房
出版日:2012年10月15日 第1刷発行
評 価:☆☆☆(説明)
讀賣新聞の「読書委員」を務めておられた著者による「書評集」。讀賣新聞の他に日経新聞などに書いた記事が約80本と、「東海道四谷怪談」についてのエッセイを12本、さらに「おわりに」に20本あまりの本の紹介が収録されている。「一日の大半を本や漫画を読んで過ごしている(本人談)」というだけあって、膨大な読書量が伺える。
率直に言って肩すかしを食った気持ちがした。先日紹介した「お友だちからお願いします」のことを、著者は「よそゆき仕様」と言っていたが、本書はさらに改まった感じ。前書と違ってニヤニヤするところはほとんどなかった。つまり私は、ニヤニヤやゲラゲラを期待していたわけだ。(「おわりに」でBLをまとめて紹介しているのが、著者らしいのだけれど、私はBLには興味がないので)
作家が他の人の本を評するのは難しいのかもしれない。「ピンとこなかったものについては、最初から黙して語らない」そうなので、悪くは書かないまでも、面白可笑しく評してしまうのも不謹慎かもしれないし。100を優に超える紹介作品の中に、小説がわずかしかないのも、同業者の難しさ故かもしれない。
とは言え、本書は「書評集」だ。そもそもニヤニヤやゲラゲラを期待すべきものではない。本書は「ブックガイド」としては私には有益な本だった。「東海道四谷怪談」をちゃんと読んでみようと思った。そして何よりも紹介されているのが、読んだことがないどころか、聞いたこともない本ばかりなのだ。「読みたい本リスト」に何冊も書き加えることになった。
※本書と「お友だちからお願いします」はセットなようだ。両方の素敵な装画を手がけたのは、イラストレーターのスカイエマさん。表紙の絵を並べて見ると、そこに物語が立ち上ってくる。
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