著 者:池上彰
出版社:角川書店
出版日:2012年12月10日 初版発行 12月25日 再版発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
複雑な問題を、丁寧に分かりやすく説明してくれる池上彰さんの近著。日本が抱える10個の問題の選択について解説している。書かれたのは昨年末の総選挙の直前、投票の前に本書を読んでいたら、1票の行き先が違った、という人もいるかもしれない。
10個の問題とは、「消費税」「社会保障制度」「ものづくり」「領土問題」「日本維新の会」「大学の秋入学」「教育員会制度」「原発」「選挙制度」「震災がれき」。それぞれを、必要であればその起源まで遡って説明し、「賛成」「反対」などの「どちらを選びますか?」という選択を読者に促す。
本書は一昨年の震災後まもなく出版された「先送りできない日本 」を受けて作られたもの。著者は本書の「おわりに」で、前書を「もう先送りなどできない状態のはず」と希望を込めて世の中に送り出したのに、「その後の状況に驚きを通り越して呆れることも多々」と、その心情を吐露している。
「先送り」は事態をより困難にするばかり。政治家や官僚には期待できないと踏んだ著者が、私たち国民に「選択をすべきだ」と言っているわけだ。しかし著者は、丁寧に分かりやすく説明してくれるが、答えを示してはくれない。それを決めるのは、私たち一人一人。私たちも永らく「選択」せずに来てしまったらしい。
最後に。池上彰さんは得難い人材だと思う。混迷の時代にこういう人が現れたことは幸運でさえある。ただ、テレビも活字メディアも池上さんに頼り過ぎのような気がする。今日もテレビで「巨大地震」をテーマに4時間スペシャルが組まれていた。
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【考え選択しなければならない】日本の選択
日本の政治がうまくいかないのは、政治家が「票集め」に走り、国民は「幸せの青い鳥」を追い求めているからです。(129ページより)