著 者:片田珠美
出版社:PHP研究所
出版日:2013年12月2日 第1版第1刷 2014年8月25日 第1版第21刷
評 価:☆☆☆(説明)
4年前に読んだ「一億総ガキ社会「成熟拒否」という病」の著者の近刊。話題になっているようなので(帯には「15万部突破 反響続々!」とあるし、奥付によると発行後9か月で21刷になっている)、読んでみた。
著者は精神科医で、その元を訪れる患者さんの話を聞いて「他人を攻撃せずにはいられない人が世の中には随分いるんだなあ」と思ったそうだ。そして「他人を攻撃せずにはいられない人」=「攻撃欲の強い人」として、それは「どんな人」で「どんなことを」「どうして」するのか。そして「どんな人が影響を受けやすいのか」「どう対応」したらいいのか、といったことを事例を挙げて、本書では説明する。
「攻撃欲の強い人」は、自身がそう意識していない場合も含めて、他の誰かがうまく行っているのが許せない。怒りや敵意に突き動かされて、他人の幸福や成功を壊そうとする。おまけにそれで何か得をするわけでもない、というケースも多く厄介だ。
例えば、大きな契約が取れたと喜んで報告する部下に対して、一切の労いもほめ言葉もなく「経費をたくさん使っていたら会社の利益にならないんだぞ!」と叱責する上司。研究が認められて留学の話が持ち上がったことを喜ぶ息子を、「そんなことで喜んでいるようではまだまだ甘い。おれが若いころは...」と一喝する父親。「攻撃欲の強い人」は職場にも家庭にも現れる。
幸いなことに私の近しい人たちには、こういう人はいない。しかし、少し範囲を広げれば何人か思い当たる。その中に一人として「悪人」はいない。職務に忠実であったり、相手のためを思った忠告であったりと、本人は「自分は正しい」と思ってやっているのだろうと、傍目に見ても分かる。だから誰にもそれを正すことなんてできない。そんな人たちだ。
「処方箋」と題した最終章に、様々な対処法が述べられている。ただ「根性曲りにつける薬はない」という項目があるように、相手を変えることはできない。それでも「うまい処し方」というのはあるもので、もし現在悩んでいる人がいれば、参考にはなると思う。
最後に。本書ではあくまでも面と向かった関係での事例に限って論じているが、ネット上には「他人を攻撃せずにはいられない人」が、もっともっとたくさん見つかる。このことについての著者の見解も聞いてみたい。
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