著 者:池井戸潤
出版社:小学館
出版日:2018年10月3日 初版第1刷発行
評 価:☆☆☆☆(説明)
「下町ロケット」シリーズの第4作。前作の「下町ロケット ゴースト」と一体の物語。昨年TBS系列で放映されたテレビドラマの後半は、本書が原作となっているらしい。(私は観ていないけれど)
前作「ゴースト」で、トランスミッションの開発に参入した佃製作所が、今回手掛けるのは「無人農業ロボット」。衛星の測位情報を基に、誤差数センチで自動運転を行う。作業は昼夜問わず可能で、作業効率が向上し経営面積を増やせることで、世帯収入が飛躍的に増加する。日本の農業の危機を救えるかもしれない。
「手掛ける」と言っても、佃製作所の担当はトランスミッションとエンジン。トラクターは、因縁はあるものの佃製作所の取引先である帝国重工で製造し、肝心の自動運転の制御部分は、大学の研究室の研究成果を利用する。ロケット開発に勝るとも劣らない「最先端」の技術開発に挑む。
物語に引き込まれた。著者は今回もたくさんの要素を盛り込んた。今回、大企業の帝国重工と組んだ佃製作所のライバルは、中小企業の技術を結集した「ダーウィン・プロジェクト」。いつもの「大企業vs.中小企業」。ただし佃製作所は、今回は「大企業」側だ。
それから、技術開発に対する姿勢の問題。どんな小さなものでも、問題の兆候を見逃してはいけない。ましてや保身のために目を逸らしてはいけない。あとは、何のための技術開発か?ということ、技術は結局「人」なのだということ、それから日本の農業が直面している問題、等々。
実用までのどの段階にあるのかは分からないけれど、実際に「無人農業ロボット」の研究は進んでいるらしい。期待が膨らむ。
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