ガリヴァー旅行記

著 者:ジョナサン・スウィフト (訳 平井正穂)
出版社:岩波書店
出版日:1982年6月2日発行 1984年6月10日第3刷
評 価:☆☆☆(説明)

 子ども向けのおとぎ話の定番とも言える物語の原作。
 船が難破して、小人国(リリパット)に流れ着いて...という冒険譚は、なるほど子どもが好きそうなワクワクした話だけれど、作者の意図するところは、そんな楽しげなものではないようだ。
 なにしろ毒気が強いなんてものじゃない。リリパット、ブログディンナグ(大人国)、ラピュータと、冒険が進むのにつれて文明批判の度合いが強くなり、最後のフウイヌムでは、完全な人間不信、否定に至るのだから。
 「ガリヴァーの冒険」は、日本だけでなく世界各地で子供向けの話になっているようだけれど、最初に子供向けに焼き直すことをした人は、原作や原作者についてどう考えていたのかと思う。それから、ヤフーという生き物が、フウイヌムで下等なきたならしい人類として登場する。検索エンジンの名前にYAHOO!とつけようと思ったひとは、どういうつもりだったのだろう。

 子ども向けの「ガリヴァーの冒険」は、小人国か大人国で終わりのものが多い。その他の冒険も読みたい人、ラピュータがスタジオジブリの「天空の城ラピュタ」と関係がありそうだと思った人、ガリヴァーが日本にも来たことを確かめたい人にはお勧め。

 人気ブログランキング「本・読書」ページへ
 にほんブログ村「書評・レビュー」ページへ
 (たくさんの感想や書評のブログ記事が集まっています。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です