指輪物語6 王の帰還(下)

書影

著 者:J・R・R・トールキン (訳:瀬田貞二)
出版社:評論社
出版日:1975年2月28日初版
評 価:☆☆☆☆☆(説明)

 いよいよ6分冊の6刷目。長い指輪を捨てる苦難の旅と戦いの日々がクライマックに達し、そして大団円を迎える。と思っていたら、指輪を捨てる旅はこの分冊の序盤であっさりと完結し、冥王サウロンも滅んでしまう。(もちろん、それなりのドンデン返しやストーリーの工夫はあるのだが)
 この時点で、まだ200ページもの残りがあって、この先いったい何があるのだろうと思っていたら、後日談が続いていた。
 トールキンの世界観では、西方に神々の国があって、寿命に限りがないエルフたちは然るべきときに船に乗ってそちらに渡ることになっている。だからフロドも含めガンダルフやエルロンドらが、船に乗って旅立つシーンは、重要な意味を持つとして良いだろう。でも、一度やられてしまったはずのサルーマンが、ちょこちょこと出てきて悪さするなんてエピソードは必要なのか理解に苦しむ。巻末の筆者ことわりがきには、「話の構想の中では重要な部分」とあるが。
 「追補編」は、資料編にしか見えないし、相当読みづらいがガマンして読んでよかった。この物語の背景には、数倍か数十倍の壮大なドラマがあり、その一端でも垣間見ることができる。本編に数倍の厚みを加える効果がある。

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