ナルニア国物語5 馬と少年

書影

著 者:C・S・ルイス (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1966年11月1日初版 1986年6月15日第23刷改版 1994年5月16日第31刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 1巻でナルニアにやって来たピーターたちがナルニアの王となって治めているころの話。と言っても、物語の舞台はナルニアではなく、隣国のアーケン国と、更に南のカロールメン。主人公もアーケン国の王子たち、人間の子どもたちはほんの少し、脇役としてしかでてこない。言わば、ナルニア国物語外伝、というところか。少し趣向も変わって面白い。ナルニアが属する世界の世界観を重層的に補完する効果がある。

 話は、カロールメンの孤児が実は王子だったとか、親が決めた結婚を嫌って逃げ出した女の子だとか、昔から何度も物語に取り入れられてきた筋書き。もっとも、ルイスがこの話を発表したのは50年も前、その頃にすでにこういった筋書きが多くの物語でされていたかどうかは分からない。
 ナルニアのスーザン女王に横恋慕した、カロールメンの王子は、アーケン国を不意打ちして攻める。カロールメンの王は、失敗した時にはその責任を全部王子に押し付ける気でいる。などと、今度の話は随分と人間くさい。そう言えば、魔女とか魔法使いが出てこない。ちょっとした人間ドラマとしても読めそうだ。

 ところで、今回のアスランは、今までと違うように思う。主人公の2人と馬2頭を出会わせるために追いかけたり、召使の痛みを分からせるために主人公の背中に傷をつけたりと、人間への介入が強いようなのだけど。何か理由があるのか。

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