ローマ人の物語13 最後の努力

書影

著 者:塩野七生
出版社:新潮社
出版日:2004年12月25日発行
評 価:☆☆☆☆(説明)

 1200年に及ぶローマの歴史で、ディオクレティアヌス帝とコンスタンティヌス帝の3世紀後半から4世紀初めにかけての物語。コンスタンティヌス帝の死後60年で帝国は東西に分断され、その80年後には西ローマ帝国は滅亡してしまう。終焉間際だ。
 ディオクテティアヌス帝からを専制君主制と言うそうだ。ローマの歴史は、伝説時代を含めた王政の後、約500年の共和政、アウグストゥスから始まる帝政と続く。本書の前100年ぐらいは、軍人皇帝の時代と言われる。終身の位である皇帝においては、リコールとは殺されることを意味する。皇帝が殺されては軍隊が新しい皇帝を擁立する、といったことが繰り返され、混乱した時期だ。

 ディオクレティアヌスは、それに終止符を打つため、皇帝の地位と権力を高めた。人々や兵士から遠い存在にすることで、地位の保全を図った。また、帝国の統治を分担制にした。皇帝を4人にして地域分担して統治した。(この分担の地区分けで面白いのが、イタリアと北アフリカが同じ地区であること。地中海が境界線ではなく、通路として考えられていた)この政策は中々うまく機能した。ディオクレティアヌスの時代1代限りは。
 次のコンスタンティヌスは、キリスト教を公認したことで有名だ。しかし、そのことで有名なミラノ勅令は、キリスト教を国教にしたのではなく、「キリスト教の他の宗教と同じように、信じるのは自由だよ」と言ったに過ぎないらしい。統治の道具としてキリスト教を公認したのではないか、という著者の分析は的を射ていると思う。
(ダヴィンチコードにもそのようなくだりがあったように思う。)

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