ナルニア国物語6 魔術師のおい

著 者:C.S.ルイス (訳:瀬田貞二)
出版社:岩波書店
出版日:1966年9月1日第1刷 1984年6月15日第20刷
評 価:☆☆☆☆(説明)

 ナルニア国創世の物語。今までの疑問とまでは言わないまでも、明らかにされていなかったことや、物語の基になる世界観などがわかる。これが、7巻の内の6巻にしてあるところが、なかなかの演出だ。

 今回は、ポリーとディゴリーという2人が主人公。ディゴリーのおじのアンドルーが、不十分な形でも、異世界へ行く方法を発見したことから物語りは始まる。「魔術師のおい」とはディゴリーのことだ。
 物語の後半に来て、2人はナルニアの創世に立ち会う。最初は暗黒の何もない所だったのが、どこからともなく歌声が聞こえ、大地ができ草木が生え、動物たちが歌声に合わせて生まれてくる。なんと厳かな雰囲気だろう。そう言えば、トールキンの書いた創世も歌によるものだった。

 さらに、この物語で、私たちの住むこちら側の世界と、あちら側のナルニアの2つの世界しかないのではなく、もっと多くのパラレルワールドが存在することが明らかになっている。移動するための中間の場所があることも。そう、クレストマンシーシリーズと同じだ。
 ジョーンズはトールキンに師事したこともあり、そのオックスフォードにはルイスもいたことを考えれば、ジョーンズがルイスの影響も受けたことは間違いないだろう。この発想が英国では非常にポピュラーなものでない限り。
 ディゴリーの住む長屋は、屋根裏に通路があり、それ伝いに他の家にも入ることができる。これもこのパラレルワールドのあり方の暗喩になっている。

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